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#あいうえお作文

まんまるおつきさま

まんまるおつきさま

あかるかったんだ
いつもよりずっと
うえをむいたら
えにかいたような
おつきさま

かなしくてないていたような
きみとけんかしてしまったような
くるしいなあなんて
けっとばしたこいしが
こつんとじぶんにもどってきたような
さみしいよるだとおもってたんだ

しずかなおつきさまがいて
すずしいかぜがふいて
せかいのどこかで
そばにいないだれかも
ただそらをみあげてるのかなっておもったら

ちょっとだけ

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daydream

daydream

アナウンサーは
いつものように笑っている

うつむくまつ毛は
エリザベスさながらで
オリンピアの戦士を讃えている

感染する
気味の悪い価値観を
くびれた腰に巻きつけて
原稿どおりの
言葉を吐き続ける

囁くような
静かな声で
すみませんと聞こえた気がした

世界の切り取り方が
想像していたものと違うんです
玉の輿に乗りたかっただけなんです

挑発的な言葉尻は
つまらないセリフなんです
てにをはさ

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romanticist

romanticist

アイスクリーム
いちごのケーキ
ウイスキーボンボン
エクレアに
おおばんやきに
カスタードプリン

君のうちまで届けよう
くつのかかとを2回ならして

ケーキが崩れないように
ころばないように
桜色の大きな紙袋に
しっかりしまって

スケジュールは確認した
青天の霹靂が起きない限り
そっと運べば大丈夫

たのしみに待っている
ちょっとだけラフな格好の君に
月が綺麗ですねって
手をぎゅっと握って

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詩|monochrome

詩|monochrome

あいちゃんは
行ってみることにしました
生まれて育った家に

遠足気分でたどり着いた家には
思い出がいっぱいありました

かえるの鳴き声
綺麗な星空
草のにおい
喧嘩したこと

子どものころの思い出がいっぱいです

寂しいできごともありました
しあわせなできごとを
少しだけ
背中を
そっとおすように思い出しました

立ち上がればこんなに色んなものが
小さかったのだろうかと思いました

冷たい水で

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詩|tomorrow

詩|tomorrow

あしたに
いろをつけよう
うんとすてきな
えのぐで

おもいのままに
カラフルに
きれいじゃなくてもいい
クレヨンでもいいよね

けしごむで
こすってもきえないぐらいえがこう

さっそうと
しずかに
すずしげなかおしてあしたはやってくる

せなかばかりおいかけそうになるけど
そんなのごめんだ

たまには
ちょっとくらいだけでも
つまさきだけでもおいぬきたい

てをたたいてよろこんで
とまったしゅん

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詩|afternoon tea

詩|afternoon tea

あしたもたべたい
いつでもたべたい
うんとたべたい
えがおでたべたい
おなかいっぱいたべたいな

カロリーなんか
きにしないで
クリームたっぷりぬっちゃって
けっとうちも
このさいむしして

さわやかなかぜにふかれながら
しあわせなきぶんで
すてきなじかんをすごしたい

せかいじゅうが、あまいものでいっぱいになっちゃったら?!

そんなせかいにいってみたい!!

たいじゅうなんて
ちっともふえなく

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詩|Door

詩|Door

開け放て
いつもの日常には
うんざりだ

えも言われぬ美しき
思い出は
かつての恋人へ

キャラメルの包み紙に
くるまれて
気だるげに
コーヒーを飲む日々には
サヨナラしよう

飼育された
ステレオタイプの
世界観は
そろそろ
断ち切ろう

チカラいっぱい
強く握った
手のひらに汗を感じ
ドアノブをひねる

何者からも
逃げられぬ
抜け道はこの先にはない
猫背では

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詩|asphalt jungle

詩|asphalt jungle

アスファルトジャングルを
生き抜くには
飢えていなければならない

エアガンを小脇に抱え
応戦する準備は万端で
カーステレオは最大音量に

気が済むまで
口喧嘩をし
下剋上を待つ
腰巾着でいるのだ

サイコパスでいるのも一つの手で
知らず知らずに
荒んでいく自分を
世間に溶け込ませていくしかない

そんなことをしてまで
立ち続けることに意味があるのか

血眼になって
爪を割ってまで
てっぺんを目指

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詩|fastener

詩|fastener

開ける以外に道はない

一縷の望みを賭けて
上から下へと動かした

遠慮のない
老いぼれだと思われたに違いない

かなぐり捨ててでも
希望を残すには選択肢がなく
悔しいけれど
決別が必要だった

ここから先に進むには
ささやかなプライドは
処分しなければならない

すべからく
世間に反旗を翻すべきで
そうしなければ
立ち尽くす未来しかない

力なく
つまむ

手の震えが
止まらない

ナニモノか答

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詩|MONDAY

詩|MONDAY

明け方になると
いつも漏れてしまうのは
うんざりするようなため息

エアーポケットに
落ちてしまった週末の高揚感は
考えられないほどに
危機的な月曜日を演出する

クラゲのように漂う
倦怠感は
この週末が
攫っていった
幸せの残骸

吸い込んでしまった
世界中の憂鬱を
そっと胸に閉じ込めたせいで
立ち上がる気力も湧かず
力なくソファに横たわっている

つむじ風が
テコでも動かない憂鬱を
飛ばしてく

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詩|Umbrella

詩|Umbrella

朝になって傘立てをみる
一本も傘がない
嘘だよね、と呟いた

絵に描いたような
大きな青空に
傘が必要なほどの雨

狐の嫁入りとはこのこと

雲の切れ間が遠くに見える
けれども私は今、出かけなればならない
このままでは遅刻してしまう

颯爽と通り過ぎるタクシーに
嫉妬しながら
スカートをたくし上げた

精一杯走ってバス停に向かっても
その間に濡れることは必至だ

だったら、もういっそ
遅刻してしま

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詩|COLORFUL

詩|COLORFUL

あかるい
いろたちが
うたいだす

えいえんに
おぼえていたい

カラフルで
キラキラとかがやく
くちずさみたくなる
ケーキのようにあまい
このメロディーを

さわやかなかぜにのって
しあわせのおとがきこえる

すこしだけせすじをのばしたみどりいろが
せなかをおす

そそくさと
たちさるように
ちょっとはずかしがりやの
つめたいみずいろが
てをつなごうとささやく

とまりたくないんだよと
なにより

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詩|Candy

詩|Candy

飴細工みたく
生きてみたかった

宇宙をアメに閉じ込めて
えいやと噛じったら
おなかいっぱいに
悲しみが広がって
綺麗な涙が
空気に溶けちゃうような

結晶化した悪夢をアメに閉じ込めて
こなごなに砕いたら
サーカスが現れて
シュールな曲芸中に
スコールが降って
世界が水浸しになっちゃうような

底なしに
楽しそうなことだけアメに閉じ込めて
ちょっとずつ舐めてたら
つまらなくなって
手がベタベタにな

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詩|THE END

詩|THE END

朝から君が上機嫌
悪戯に復元されない不機嫌
後ろに束ねた髪も跳ねる
笑顔を噛み殺して何を考えてるの

おざなりになったトースト
考える間もなくそれは突然に
君と僕との間に打たれる句点
クチナシが白々しく香る

決意表明?いや強制終了?
コードを至急解析せよ
五月雨式に0と1が整列する

真実はこれだ
すなわち
正解はここだ
そしてそしてそうだ

楽しげなコードの行進
散らかった思考を更新

詰まる

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