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「スポンジのように、柔軟に」

小さい頃からなぜか、「海外」にとても興味があった。英語はろくに勉強しなかったけど(笑)、なぜか漠然と「私はいつか海外に住むんだ」と、確信していた。

そんな夢を実現する前、私は出版社で忙しく働いていた。編集者になる、というのも夢の一つだったので、忙しくても毎日が楽しくて新鮮だった。

忙しいけど、楽しかった!

仕事も慣れてきて、約5年くらい経った頃から「私はこのままでいいのか?」と、思うようになった。憧れの仕事もさせてもらって、たくさんのページや責任のある仕事もまかしてもらっていた。しかし、何かこう、心と頭がパンパンになった感じ…。

と、モヤモヤしたので、なんでも話せる仲良しの先輩に相談してみることにした。その先輩は編集者には珍しく、めちゃくちゃキッチリしている人で、締切はもちろん、時間の管理や机の周りから全て整っていた。あまり会社の人とも密になる感じではない(飲み会とか行かない)し、人と群れない。そして彼の中で謎の線引きがあった。

珍しく、送ってくれた。

面白かったのは、取材の帰りに一緒に帰った時のこと。普段なら送ってくれるとかはあり得なさそうだが、この日は珍しく送ってくれた。しかし、家の前ではなく、少し離れた大きめの道路で急に降ろされた。「俺が曲がっちゃうと、戻るの効率悪いからここまでな!じゃ!」と、爽やかに帰っていった(笑)。

で、話は戻るが、そんなさっぱりした先輩に私のモヤモヤを相談してみた。すると、先輩は教えてくれた。

この、スポンジ?(笑)

「お前、あれだよ。お前はスポンジなんだ。今、お前のスポンジは何も吸収しないくらいパンパンなんだ。一滴の水すら入らない。そのスポンジを絞って、一回ゼロにしたらいい。空になったスポンジはまた、たくさんのことを吸収できるようになるぞ」

いいこと言う、先輩(笑)。この先輩のスポンジ理論は、しっかり私の中に刺さった。

私はその時、もっと自分を成長させてみたかった。もちろん普段の仕事を続けて、もっと精度を上げることもできた。どちらを選ぶかは、人の選択だと思う。私の本心は「一度自分を空っぽにして、チャレンジしてみたい」だった。

その後、色々な人にサポートしていただいて、そして良いタイミングにも恵まれ、海外に行く決心がついた。仕事も辞め、英語もゼロからスタートし、友達も誰も知り合いがいなかったカナダ・モントリオールへ飛んだ。

今の私でも「すごいな!よく一人で行ったな…」と思う(笑)。でもその強い決心には、あの先輩の「スポンジ理論」パワーがあったから、頑張れたんだと思う。

今カナダに住んで3年半、これからもっとたくさんの「経験」を吸収して、もう無理〜って思うくらい、スポンジをパンパンにしていきたい。そしてまたスポンジがいっぱいになったら、ゼロに戻せばいい。そしてまた成長のチャレンジをする…、そうやって私の人生はスポンジの繰り返し(笑)。これからも勇気を持って、楽しくチャレンジし続けていきたい。



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