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非社会的

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#文章

言語快楽の骨頂は「比喩の発明」にある

言語快楽の骨頂は「比喩の発明」にある

三島由紀夫の『仮面の告白』に「若い僧侶のような世故に長けた微笑」という表現が出て来る。ヤングアダルトの時分に小説を読み始めて最初に記憶したのがこれだ。そんな微笑など肉眼で見たことがないはずなのに「うまい、卓抜だ」と唸らされました。その後何かにつけて模倣しまくったのは言うまでもない。全ては模倣から始まるのだ。

ところで名人鬼才の手になるこんな比喩ストックを脳にたくさん詰め込んでおくと何かと重宝にな

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この世はギミックだらけ

この世はギミックだらけ

プロレスにおけるギミックとはそもそも何なのか。これには謎が多い。プロレス通を自任する連中に語らせると歴史を紐解いたり蘊蓄を傾けたりし出してやたら長くなりそうな主題である。というかそもそもプロレスという興行自体が謎で覆われている。プロレス関連の著作なんかをいくら読んでもやはり不思議なままだ。「過激」な流血デスマッチの動画なんか見るとますます謎のヴェールが厚くなる。

でもそんなことを言い出すとおよそ

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他人の書くものは大体「もどかしい」

他人の書くものは大体「もどかしい」

人の文章を読んでいて「嘘つくなコラ」と思わないことは少ない。「こいつは本当に言うべきことを回避しているな」と感じた瞬間は肉声で叫ぶ。これは本の虫ケラだったチー牛的大学時代から続いている癖。プロ野球を観るのと同じで毒づいたり野次ったり批判すること自体に中毒性の快感を得ているのだ。性悪といえば性悪だけど、誰でもいちおう思い当たる節があると思う。それにこういうときに毒素を排出しないと一体どこで排出できる

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