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亜熱帯のさなか

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書いた詩を ここにまとめています。 若いころに書いた詩なんかも、織り交ぜながら 記憶を どこかに メモするように 細々と 書いています。
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#生きる

過去

わたしの
生きた証を
のこさないでね

あなたに宛てた手紙も
あなたの隣に写った写真も

全部まるごと
消してしまってね

あなたの記憶からも
わたしが
生きた証を

わたしは
あなたの事
ずっと ずっと
忘れずにいるから

あなたと刹那を生きた証は

わたしが
忘れずにいるから

どうぞ
思う存分 わたしを
忘れてね
#詩 #詩を書く#詩作#記憶#生きる#ポエム

形跡

有形のものより
もっともっと
限りなく有形で

だからといって

もっともっと
果てしなく無形で

残る記憶を形成する
うつむいた
あなたの横顔

白い吐息
鏡の橋を渡る

イメージでしか あえない
はがゆさ

生きている証
#詩 #詩を書く#詩作#生きる#形跡#鏡の橋

オーケストラ

古い追憶の
音の中にいる

空洞の
階段の先には

鏡の世界

むせぶほどの
砂ぼこりに
まかれて

漂うわたしの黒髪
未完成な道しるべ
#詩 #詩作#詩を書く#記憶#生きる#ポエム#感情#オーケストラ#道しるべ#昇華

あの岬の向こうに

あの岬の向こうに
何があるのか
知りたくて 知りたくて

だけど
あの岬の向こうに
行く勇気が出なくて

時間が
たっぷり 経ってしまった

僕等は
何に ためらっていたのだろう

灯台のある岬を
荒れ果てる海を
絵に書いた

僕等は
夏休みの宿題に

行った事もなければ
見たこともない
あの岬を

そして
その向こうを

僕等は
絵に書いた

どうしようもない
もどかしさ

幾重にも もつれ合う

もっとみる

あの時 猫がいた

芽吹く季節の変わり目

あの時
猫がいた

孤独の裏側
あなたに

幸せの絶頂にいる
あなたに

羨ましさが募る

いや 違う
嫉妬に似た安堵感

わたしはとうとう
逃げ場をなくした

猫がいた
緑に囲まれた 記憶の断片

思いおこすことでしか
あなたに 逢えない

猫がいた

思いおこすことさえ
許されない

あなたは
誰かのものになった

猫がいた
あの時

芽吹く季節の変わり目

たしかに

もっとみる

無題

自分の
過去の残骸を
掻き集めて

ただ
がむしゃらに 恥じる

落としてきた
言葉を
拾い集める

枯葉を 踏みしめるみたいに

きらきらしたものは
欲しくない

どちらかというと
じめっとした
湿り気のあるような 過去
#詩 #詩作#詩を書く事#言葉#紡ぎ出す#記憶#思った事#生きる