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日本修行編 第11話

人生最高のレストラン...


英語がまったく喋れない友達もなんとか空港からマンハッタンの中心、グランドセントラル駅に着けた。まぁ、何度も事前に細かく乗る地下鉄やキップの買い方と教えてあげた僕のおかげに違いない(笑)
着いた日の夜、僕がアメリカで初めて勤めたレストラン The NoMad(ミシュラン1星)のバースペース に、料理学校時代の旧友と3人で向かった。

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当時、部門シェフで、スーシェフ(副料理長)へと出世していた先輩に連絡し、5年ぶりに再会しハグをすると普段オープンしていないVIPバールーム、その名もタチノマドバーへ連れていってくれた。

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翌日は、待望にしていたレストラン Blue Hill at Stone Barns(ミシュラン1星, Worlds 50 Best Restaurant 2019-28位-)
予約のディナーはオープンと同時の17:00

その時間まで観光を頼まれた僕は、いつものコースを案内することにした。

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人が多いところが基本嫌いな僕は、タイムズスクウェアみたいな場所は行かない。
でも、少しは本人の行きたいとこも連れて行こうと思い、5年半住んでいた僕も1度も渡ったことがないブルックリン橋を渡り、その後は、僕のお気に入りユニオン・スクウェア・パークで毎週末開かれているファーマーズ・マーケットを案内した。

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タイムズ・スクウェアや自由の女神を見てまわるより絶対楽しい。

グランドセントラル駅から、CIAに通っていた時と同じ電車に乗り、マンハッタンから1時間ちょっとの街タリー・タウンで降りて、そこからタクシーで走ること15分。
キレイな清流、鳥たちの泣き声、摩天楼から離れ澄んだ空気が染み渡る。
見えてきた、広大な土地。
レストランを中心として、敷地内で食物連鎖、環境のサステナビリティ(循環)が完結する近未来的でありクラシックなレストラン
BLUE HILL AT STONE BARNS

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レストランに着く前から、電車に乗る時から食事は始まっている。
マンハッタンからタクシーじゃなく、電車でゆっくりとレストランへ向かうことを勧める。
このレストランの凄いところは、料理やサービスはもちろんだが、何よりも、レストランから出た野菜クズなんかを飼育している豚さんや鶏さん、羊さんたちの餌となり、その糞が堆肥となり育ている野菜たちの栄養となる。
魚だけは、一本釣りを生業としている特別な漁師さんと個別契約し仕入れている。
魚介類(ほとんどコースに入っていない)以外はレストランの敷地内で全てまかなわれている。

さぁ、ディナーのはじまりだ

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想像に溢れた野菜料理の数々、姿形活かした料理や手をかけた料理どちらもメインとなる野菜を新しい視点から料理し新しい可能性を引き出している。
農業学校と協力し、独自に品種改良した野菜も出てくる。
辛くない唐辛子や、甘いバターナッツスクオッシュを1/4のサイズと小さくし、さらに凝縮した甘みを生み出したハニースクオッシュ

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料理だけでなく、プレゼンテーションも素晴らしい。
色とりどりの花を生けている花瓶をいきなり料理へと注ぐ、花瓶の水はソース、花はエディブルフラワーで直に千切って料理をいろどる

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メインの時には、テーブルに置かれている蝋燭を肉のソースへとかけていく...
ロウは、牛脂でできており肉のソースを目の前で乳化させる。
なんていうアイデアだ。
VIPとはいえ、約35品以上ものコースで5時間半にも及ぶディナーだけれども、疲れたり飽きるなんてことは一切ない。
途中席を移動し、庭のバーベキューステーションで最高のホットドックを味わったりと、楽しさが尽きない。

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レストランのコンセプト、料理の味・アイデア・クオリティ、サービスの質とプレゼンテーションの楽しさ。
どれをとっても唯一無二の最高の体験ができる、3星レベルのレストランだ。

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全ての季節に毎年訪れたいと思う、僕の人生最高のレストラン...


To be continued...

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