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【短編脚本】ある?ない?


(1、壁の前で立ち尽くしている)
(押したり引いたりしても動かない)
(2、登場)
 
2「おつかれ」
1「おう」

(1、またもや壁を押すも動かない)
 
2「何してんの」
1「いやさ、この壁が全然動かないんだよ」
2「壁?」
1「そう、壁」
 
(1、またもや壁を押すも動かない)
 
2「何言ってんの?」
1「だから、この壁が動かないんだって」
2「壁なんてないのに?」
1「壁はあるだろ」
2「ないよ」
1「あるよ」
2「ないよ、ほら」
 
(2、1が押してた壁を通り抜ける)
 
2「ないじゃん」
1「いや、あるんだって」
2「あるんだったらあることを証明してみせてよ」
1「だから…」
 
(1、一生懸命壁を押す)
 
1「ほら、あるでしょ」
2「ないよ」
1「あるよ」
2「ないよ」
1「あるよ」
2「ないよ」
1「あるよ。ありますよね?」
2「誰に聞いてんの」
1「お客さん」
2「お客さんなんていないだろ?」
1「いるよ」
2「いないよ」
1「いるよ」
2「いないよ」
1「いるよ」
2「いないよ」
1「いなかったら我々はここで何してるんだよ」
2「さあ」

(間)

2「とにかく、こっち側にお客さんなんて居るわけないだろ?」

(2、正面に向かって窓のマイム)

2「誰か外から見てんの?」
1「えぇ!?」
2「なに」
1「そこに窓があるの?」
2「あるよ」
1「ないよ」
2「あるよ」
1「ないよ」
2「あるよ」
1「ないよ」
2「付き合い切れん、帰る」

(2、帰ろうとするのを1がロープで引き止める)

1「ちょちょちょちょちょ」
2「なに」
1「ロープは見えてんの?」
2「ロープ?なんの話だ」

(2、再び去ろうとする)

1「ちょちょちょちょちょ」

(1、連れ戻す)

1「じゃあなんでこっちに引っ張られたの」
2「なんか、謎の引力が」
1「謎の引力?」
2「謎の引力」
1「謎の引力なんてないだろ」
2「謎の引力なんてないか」

(間)

1「俺たちここでなにしてんだろうな」
2「さあ」

(間)

2「帰ろっか」
1「そうだな」

(2、ドアを開けて帰ろうとする)

1「ちょちょちょちょちょちょちょちょ」
2「なになになになに」

1「ドアなんてなかっただろ」
2「じゃあなにを潜ってきたんだよ」

などと言いながらハケる

(終)





来週やる舞台脚本の冒頭に少しオチをつけたものです。

劇場ではパントマイムを使ってやります、ぜひ。



今日も稽古終わり帰りの電車の中で書いてます。



ゆらゆらゆられて。



寝過ごさないようにしないと。




では、おやすみなさい。

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