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おとこらむ oto-column

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「音楽と鳥しんぶん」に連載されていたレコード研究家の音楽的日常のコラムが、noteマガジンでも登場!家人の夢の中で「あなたはレコードのマハラジャよ!」と美輪明宏さんに称賛された夏…
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日本とワルシャワのショパンの1949年

日本とワルシャワのショパンの1949年

「眞木先生の音は可愛く激しく、独特な世界が聞こえる。まさに現代にピッタリ!」(綾戸智恵/ジャズシンガー)

ショパン没後100周年である1949年。戦後4年、世界は戦争の惨禍からの復興の最中にありました。ナチスの侵略によって壊滅させられたショパンの故郷ポーランドのワルシャワでは、このショパンの記念的な年に、戦後初「第4回ショパン国際ピアノコンクール」を開催し新しい時代の幕開けを行いました。(このコ

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ラヴェルと左腕のピアニスト

ラヴェルと左腕のピアニスト

 パウル・ヴィットゲンシュタインは、実業家カール・ヴィットゲンシュタインとレオポルディン・マリア・ジョゼファ・カルムスの四男としてウィーンに1887年に誕生。第一次世界大戦中に負傷から右腕を失い、左手のピアニストとして成功を収めたことで知られています。また、高名な哲学者ルートヴィヒ・ヴィットゲンシュタインの兄にもあたります。

 当時、ウィーンの上流階級であったヴィットゲンシュタイン家には、ブラー

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巷に雨の降る如く〜ドビュッシーのピアノ

巷に雨の降る如く〜ドビュッシーのピアノ

ビュッシーのショパン演奏を聴いたことのある者たちは、ハンマーを意識させない程のビロード・タッチと、溢れ出る泉のようなその響きを生涯忘れることが無かったという。それもそのはず、ドビュッシーはショパンの弟子であったフレーヴィル夫人にピアノを習っている。ドビュッシーの才能が、この夫人からショパン演奏の秘密を多く吸収していた事は容易に想像されるのである。
確かにドビュッシーのショパン演奏なんて想像しただけ

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ロシアの憂鬱・類を見ないデリケートなピアノタッチによる珠玉の名演奏



ロシアに生まれたニコライ・オルロフ(Nikolai Andreyevich Orloff [26 Feb.1892 - 31 Mar.1964], Pianist) は、モスクワ音楽院でピアノをコンスタンチン・イグムノフに、作曲と対位法をセルゲイ・タネーエフに学んだ。ピアニストとしてデビューを果たした1912年には、作曲者自身の指揮でグラズーノフ「ピアノ協奏曲」の初演も務め成功を収めている。

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