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作品(多層ガラス絵)

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オリジナルな技法「多層ガラス絵」を作りました。ガラスの裏側から絵を描いて重ねて一つの作品にします。一点ものです。派生作品「リバースドローイング」は薄い1枚のアクリル板の裏側から描… もっと読む
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2023年7月の記事一覧

連なる玄兎

連なる玄兎

「玄兎夜行」
(Night Lines)
多層ガラス絵(3層)
200×255mm
¥187,000

 本日は、個展の表題作をご紹介。このアイボリーのフレームは、インドネシアのものです。京橋のGOROさんで出会い、気に入りました。

個展は25日(火)の午後5時まで。

月面着陸の日に

月面着陸の日に

 今日は月面着陸の日、だそうです。
 私は「月歩」というシリーズで、月の上を歩く玄兎たちを描いています。
 昨年の作品(個人蔵)は今回の個展の壁紙にしてもらいました。

 昨年末に作った方は、現在個展にて展示中です。

「月歩」
(Walk in the moon)
多層ガラス絵(5層)
370×460mm
¥605,000

 光の具合によって様々な表情を見せます。

25日(火)の午後5時ま

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会場の大きな玄兎たち

会場の大きな玄兎たち

 阪神で個展と銘打って開催するのは3回目ですが、これまでは他の作家と会場を分けてのダブル個展だったので、実はフル個展開催は今回初です。というわけで会場にも少し拘ってみました。

 今日は表題作のご紹介。涼しげな作品。

「玄兎夜行」
(Night Lines)
多層ガラス絵(3層)
100×150mm
¥121,000

25日(火)の午後5時まで。

銀河の彼方のガラス絵

銀河の彼方のガラス絵

 こちらとあちら。本日から始まった個展に出品中の作品をご紹介。

「銀河の肖像」
(Portrait of galaxy)
ガラス絵
130×180mm
sold out(個人蔵)

 もう一点は、自分には珍しい楕円の作品です。

「銀河の夜伽」
(Galaxy night fairy)
ガラス絵
300×400mm
(楕円)
¥220,000

 日本製の楕円額もたまに見かけますが、フレー

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新月の夜に

新月の夜に

 今日は個展の搬入飾り付けを関西の友人に手伝ってもらいつつ行いました。

 この友人とは16歳の頃からの知り合い。我々の軸には作品があり、今でも勿論そんな話をします。
 私は、私の作品を見てくれた人に色々なことを言われるのが好きです。ちなみに友人は、これまでの流れを含めた感想を言ってくれます。「自分は齋藤君の多層ガラス絵の完成形を夢想している。それはこうなんだけど・・・」という興味深い話。

 さ

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イタリアと大阪のフレームに。

イタリアと大阪のフレームに。

「空鏡」
(Sky mirror)
ガラス絵(段付アーチ)
230×160mm
¥143,000

「月影」
(moonlight)
多層ガラス絵(2層)
70×70mm
sold out(個人蔵)

すごいインパクトのフレームです。他で見たことがない。しばらく何を描こうか寝かせていましたが、絵柄はシンプルにしました。

多層ガラス絵のテクニック−3 「箔を貼る」

多層ガラス絵のテクニック−3 「箔を貼る」

 私は作品内の絵の具以外の大部分に、箔を使用しています。

 ガラスとグランドに箔を使用することで、それぞれの素材感が際立ちます。

 特に、積層による表現の際にそれは最大の効果を発揮します。絵の裏側に施した色は、他の層にも響き、この技法でしか得られない「反射の色彩」を楽しむことが出来ます。各層を自由に行き来するその色は、見る角度により無限の変化を見せます。

 箔を使用するにあたり、特に影響を受

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多層ガラス絵のテクニック−2 「グランドを針で掻き落とす」

多層ガラス絵のテクニック−2 「グランドを針で掻き落とす」

前回、裏側から描くことについて書きましたが、今回はなにで描いているのかということについて。
 私は多層ガラス絵に、銅版画の材料とテクニックを応用しています。
 まず、ガラス面全体に、ごく薄くグランドを塗布します。暗さが必要な場合には火で炙り、煤で濃淡を調整します。

グランド:銅版画のエッチングで使用するマスキング剤。蜜蝋とアスファルトが主成分。

 次に、図となる箇所以外の全てを削り落とします。

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多層ガラス絵のテクニック−1 「裏側から描く/積層する」

多層ガラス絵のテクニック−1 「裏側から描く/積層する」

 私が発表している多層ガラス絵の技法について。今回は裏側から描くことと、積層についてのメモ。

 鑑賞する裏側から描く、特殊な技法のガラス絵に私がこだわるのは、それが文字通り、自らの現実と表裏一体の、もうひとつの世界の表出にぴったりだと直感したからです。描く側と鑑賞する側は異なるというこの構造。同じものの異なる面をまなざす視線が画面の上で交錯します。

 14世紀ベネツィア発祥と言われるガラス絵は

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私の作品、多層ガラス絵について

私の作品、多層ガラス絵について

 私はガラスの裏側から描き、それを表から鑑賞するガラス絵を制作しています。
 近年では、それを層状に組み立て、多層ガラス絵という名称で発表しています。

 時空の表現として、絵巻を参照しています。鳥獣戯画からの引用で、兎を描き始めました。
 兎は、地下に穴を掘って隠れたり、山と人間の住む場所を行き交う生態から、境界を往来する象徴的な動物でもあります。因幡の素兎やアリスなどの物語では、人にお告げを施

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私の作品について/西洋と日本の近代絵画と、そのしつらえと

私の作品について/西洋と日本の近代絵画と、そのしつらえと

前回、昔話「見るなの座敷」からそのしつらえに着目しました。今回はそこから絵画の歴史について。
 私は美術史家や評論家ではありません。
 作家として、自分で絵を描き、発表してきた中で見知った観点からの近代くらいまでの絵画で表現する上での、職人もしくは画家の視点のざっくりとした印象をさらいます。
 傾向としての話で、例外的な作家もいることは言うまでもありません。

○西洋
 自然を把握し、隅々まで支配

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私の作品について/見るなの座敷から

私の作品について/見るなの座敷から

「私が留守にしている間、この屋敷内のどの襖を開けても構いません。けれど、あるひとつの座敷だけは、絶対に開けて見ないでください。」
木こりは、自分がよく見慣れたはずの山で道に迷い、見た事もない豪華なお屋敷で歓待を受けた後、屋敷の主人に前述のように告げられます。しかし、禁忌は好奇心への誘惑・・・ついには禁を破り、その座敷を覗いてしまいます。刹那、もとの山道にいる自分に気づき、呆然と立ち尽くすその頭上を

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