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多層ガラス絵のテクニック−2 「グランドを針で掻き落とす」

前回、裏側から描くことについて書きましたが、今回はなにで描いているのかということについて。
 私は多層ガラス絵に、銅版画の材料とテクニックを応用しています。
 まず、ガラス面全体に、ごく薄くグランドを塗布します。暗さが必要な場合には火で炙り、煤で濃淡を調整します。

グランド:銅版画のエッチングで使用するマスキング剤。蜜蝋とアスファルトが主成分。

 次に、図となる箇所以外の全てを削り落とします。つまり絵の中で明るくしたい部分を段階的に掻き落としていく事になります。これは銅版画の手順とは逆です。

このように、塗布したグランドをほとんど掻き落とします。

 このグランドを削り落とすという方法だと、ニードル(針)による描画ができ、ごく繊細な線も表現できます。

 例えばこの作品。ズームインしてみると・・・。

 この4層の多層ガラス絵一点の画面の中には、150人以上の玄兎たちの様々な事をして遊ぶ姿を描き込みました。これはニードルで描くことで可能となる表現です。

ちなみに襖の網目も削ってひと針ずつ描いています。

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