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多層ガラス絵のテクニック−3 「箔を貼る」

2022年制作「月歩」部分


 私は作品内の絵の具以外の大部分に、箔を使用しています。

金沢の本金箔。


 ガラスとグランドに箔を使用することで、それぞれの素材感が際立ちます。


 特に、積層による表現の際にそれは最大の効果を発揮します。絵の裏側に施した色は、他の層にも響き、この技法でしか得られない「反射の色彩」を楽しむことが出来ます。各層を自由に行き来するその色は、見る角度により無限の変化を見せます。

例えばこの作品の金箔に反射する緑色。これは手前の層の絵の裏側に塗ったものなので、表からは全く見えないけれど、その存在を反射で感じることが出来ます。

 箔を使用するにあたり、特に影響を受けたのは、イタリアで見た黄金祭壇画の、絵画と工芸の境界を横断するような、名もなき職人達の仕事や、安土桃山時代の障壁画に見る、夢と現を超えた、繊細さとそのダイナミズムです。

 まもなく、これらの技法で描いた新作を中心に阪神梅田にて個展を開催します。次回からその作品たちから抜粋してご紹介します。

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