一般社団法人 再生医療安全推進機構 公式ブログ「再生医療相談室」

本ブログでは再生医療の現状及び法律等の正しい情報を提供し、医師や患者様が再生医療を判断…

一般社団法人 再生医療安全推進機構 公式ブログ「再生医療相談室」

本ブログでは再生医療の現状及び法律等の正しい情報を提供し、医師や患者様が再生医療を判断をするうえで有益な情報をお届けします。 著書「再生医療の死角」2023年11月17日Amazonで販売開始  予約購入受付中 https://onl.bz/tUCusZc

記事一覧

【第21回】 「再生医療後に一時視力障害!ロート製造細胞、注意喚起」 ロート製薬の製造した細胞で患者の視力障害が発生したと…

ロート製薬が作った脂肪由来の幹細胞を使った治療で患者に視力障害が起きたというニュースが話題になっています。 各ニュースメディアでは「視力障害は出たがいずれも一時…

【第20回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(後編)

「法規でないガイダンス」は利用される。 前回の内容を踏まえた上で「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について少し検証させていただきます。 はっきり言って…

【第19回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(前編)

2024年4月30日予定通りに日本再生医療学会が声明・ガイドライン等として「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」を発表しました。 (出展:https://www.jsrm.jp/news

【第18回】 再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて

2024年1月17日(令和6年1月17日)厚生科学審議会(再生医療等評価部会)において 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて」(https://x.gd/9jKXw) 上…

【第17回】 「遅かった・・・、残念で仕方ない」

令和5年10月11日に「再生医療抗加齢学会」より 幹細胞培養上清液を使用した治療に関し、患者が死亡するという事象が発生したという情報に接しております。幹細胞培養…

【第16回】「エクソソーム・上清液の治療は、そもそも・・・?」

これまでは、あたかも再生医療を再生医療等安全確保法の観点から意見を書いて来ましたが、今回は「薬機法」の観点から書いてみようと思う。 そもそも○○由来エクソソーム…

【第15回】「あたかも再生医療」の問題点③

エクソソーム及び上清液は、「どこで製造され」「どこが販売し」、「どういう医療機関で治療として提供されているの?」 通常、あたかも再生医療ではなく「再生医療等安全…

【第14回】「あたかも再生医療」の問題点②

「あたかも再生医療」の問題点②では、「安全性」について。。。 何度も言うが、「上清液」及び「エクソソーム」は再生医療等の安全性の確保等に関する法律の定める審査の…

【第13回】「あたかも再生医療」の問題点①

第12回で話したように 「幹細胞上清液治療」と「エクソソーム治療」は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療安全確保法)」外の治療であり、巷の自費診療を…

【第12回】「あたかも再生医療」って?

第10回に書いたのですが 医療の広告規制や消費者のガイドラインに違反している医療機関の方が多いことや、他の怪しい(あたかも再生医療)広告をしていることなどなど、私…

【第11回】培養細胞と非培養細胞(脂肪由来幹細胞)の違いと問題点

脂肪由来幹細胞をA D S C ・Adipose Derived Stem Cell 脂肪由来再生細胞をADRC・Adipose Derived Regenerative Cellといい、今回はこのADSCとADRCの ”中身” の違いにつ…

【第10回】患者様や医療機関が求めている再生医療ってなに?その2「現在受けられる再生医療(幹細胞治療の現在)」

現在受けられる再生医療 これが案外沢山の疾患に対し治療が行えているんだけど皆さんご存知ですか? ただし、ただし、なんですが ここに記載されている医療機関ですら完全…

【第9回】患者様や医療機関が求める再生医療ってなに?その1「患者さんの希望する再生医療とは」

では前回までステミラック注の話をしてきたので、脊髄損傷・脳梗塞の患者さんとのお話を・・・ 脊髄損傷・脳梗塞後の機能障害等、症状状態は様々ではありますが、私が接し…

【第8回】再生医療等製品ステミラック注とは?その3

ステミラック注は第2種再生医療で、病院やクリニックで行われている間葉系幹細胞の治療とは違います。 なお、現在「ステミラック注」を使った治療を実施しているのは札幌…

【第7回】再生医療等製品ステミラック注とは?その2

これがステミラック注1回の値段です!もう俺にはこの金額の意味がさっぱりわからないのが1番でして、なんで?なんでこんなに高いんだ?ってこれに尽きるのよ。 確かにね…

【第6回】再生医療等製品ステミラック注とは?その1

まずは、ステミラック注という再生医療等製品とは何かを簡単に説明すると、ステミラック注(すてみらっくちゅう)は、ニプロと札幌医科大学が共同で開発した脊髄損傷の治療…

【第21回】 「再生医療後に一時視力障害!ロート製造細胞、注意喚起」 ロート製薬の製造した細胞で患者の視力障害が発生したという最近のニュースについて

【第21回】 「再生医療後に一時視力障害!ロート製造細胞、注意喚起」 ロート製薬の製造した細胞で患者の視力障害が発生したという最近のニュースについて

ロート製薬が作った脂肪由来の幹細胞を使った治療で患者に視力障害が起きたというニュースが話題になっています。

各ニュースメディアでは「視力障害は出たがいずれも一時的なもので、すでに全員回復した」という形であまり事態を深刻に捉えていない印象の記載が多いですが、当機構では今回の事故を、杜撰な管理を行う企業・医療機関の問題が明るみに出る結果と重く捉えております。

以下詳細を解説します。

【事故の概要

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【第20回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(後編)

【第20回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(後編)

「法規でないガイダンス」は利用される。

前回の内容を踏まえた上で「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について少し検証させていただきます。

はっきり言って今回のガイダンスの内容通りの製造・品質管理をやると思ったらかなりハードルは高いです。

巷に出回っているよくわからない業者が出来るような内容ではありませんし、特定細胞加工物製造施設の許可を取得している業者でもかなりコストがかかる内容です

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【第19回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(前編)

【第19回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(前編)

2024年4月30日予定通りに日本再生医療学会が声明・ガイドライン等として「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」を発表しました。
(出展:https://www.jsrm.jp/news/news-14993/

エクソソームや上清液の問題点その他の話はこのブログで散々書いてきたので割愛させていただきます。

まず第一に今回の発表では、

・エクソソーム治療は今後対象となる分野・疾患の範囲

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【第18回】 再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて

【第18回】 再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて

2024年1月17日(令和6年1月17日)厚生科学審議会(再生医療等評価部会)において

「再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて」(https://x.gd/9jKXw)

上記の資料が作成された。

正味な話、細胞加工物を用いない遺伝子治療でin vivo遺伝子治療が再生医療法規制に入ってくるというもの以外大きな話はない。
このin vivo遺伝子治療の件も随分前から、ほぼ決ま

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【第17回】 「遅かった・・・、残念で仕方ない」

【第17回】 「遅かった・・・、残念で仕方ない」

令和5年10月11日に「再生医療抗加齢学会」より

幹細胞培養上清液を使用した治療に関し、患者が死亡するという事象が発生したという情報に接しております。幹細胞培養上清液及びエクソソームの静脈投与につきましては、医療水準として未確立の療法であり、その有効性・安全性について、エビデンスに基づく十分な検討をお願いいたします。また、現時点では他家由来幹細胞培養上清液及びエクソソームに関して、医薬品医療機器

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【第16回】「エクソソーム・上清液の治療は、そもそも・・・?」

【第16回】「エクソソーム・上清液の治療は、そもそも・・・?」

これまでは、あたかも再生医療を再生医療等安全確保法の観点から意見を書いて来ましたが、今回は「薬機法」の観点から書いてみようと思う。
そもそも○○由来エクソソーム・○○由来上清液は、承認薬なの?って話からすると、答えは承認薬ではありません
つまりは、未承認薬です。

未承認薬(無承認無許可医薬品)とは、
日本の医薬品医療機器等法に基づく品質・有効性・安全性の確認がなされてないものをいいます。
健康被

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【第15回】「あたかも再生医療」の問題点③

【第15回】「あたかも再生医療」の問題点③

エクソソーム及び上清液は、「どこで製造され」「どこが販売し」、「どういう医療機関で治療として提供されているの?」

通常、あたかも再生医療ではなく「再生医療等安全性確保法」内で行われる幹細胞治療で用いられる細胞は、

①「特定細胞加工施設許可業」を取得した企業
②院内(クリニック内)に併設された細胞加工施設届の出された医療機関

でのみ、細胞を加工し治療として提供できます。
しかも、再生医療等委員

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【第14回】「あたかも再生医療」の問題点②

【第14回】「あたかも再生医療」の問題点②

「あたかも再生医療」の問題点②では、「安全性」について。。。

何度も言うが、「上清液」及び「エクソソーム」は再生医療等の安全性の確保等に関する法律の定める審査の過程を得ていない、ある意味「訳の分からない治療」である。
と、、、文句ばかり書いても仕方ないので、少し論理だてた話を書きましょう。

これは私自身の見解でもあり、多くの研究者の意見でもあるので、ちょっと難しい内容であったらすいません。

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【第13回】「あたかも再生医療」の問題点①

【第13回】「あたかも再生医療」の問題点①

第12回で話したように
「幹細胞上清液治療」と「エクソソーム治療」は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療安全確保法)」外の治療であり、巷の自費診療を行っている医師や業者間では、グレーだけど黒ではないから大丈夫と自己都合の塊から儲け主義の行動として局所投与や静脈投与を行っている。

売れたらいいのか?人気だったらやる!それが日本の医療だと思われたくないが、タレント医師のような発信(SN

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【第12回】「あたかも再生医療」って?

【第12回】「あたかも再生医療」って?

第10回に書いたのですが
医療の広告規制や消費者のガイドラインに違反している医療機関の方が多いことや、他の怪しい(あたかも再生医療)広告をしていることなどなど、私が見る限り問題がかなりあるのが現状です。

これを書いた2022年5月からこの内容は悪化の一途をばく進しております。
理由はSNSの普及と共に増えた、「自費クリニック医師」のSNSでの宣伝広告を目的とした過度の露出が1番の理由かなぁ~(正

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【第11回】培養細胞と非培養細胞(脂肪由来幹細胞)の違いと問題点

【第11回】培養細胞と非培養細胞(脂肪由来幹細胞)の違いと問題点

脂肪由来幹細胞をA D S C ・Adipose Derived Stem Cell

脂肪由来再生細胞をADRC・Adipose Derived Regenerative Cellといい、今回はこのADSCとADRCの ”中身” の違いについて議論したいと思います。

ADSCは脂肪組織に含まれる幹細胞で、下腹部周辺を5ミリほど切開し、脂肪(米粒2粒程度)を採取した脂肪組織から得ることができます

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【第10回】患者様や医療機関が求めている再生医療ってなに?その2「現在受けられる再生医療(幹細胞治療の現在)」

【第10回】患者様や医療機関が求めている再生医療ってなに?その2「現在受けられる再生医療(幹細胞治療の現在)」

現在受けられる再生医療
これが案外沢山の疾患に対し治療が行えているんだけど皆さんご存知ですか?

ただし、ただし、なんですが
ここに記載されている医療機関ですら完全に安心か?
と言うと疑問ばかりになってしまします。

その原因として、
医療の広告規制や消費者のガイドラインに違反している医療機関の方が多いことや、他の怪しい(あたかも再生医療)広告をしていることなどなど
私の見るがぎり問題が、かなりあ

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【第9回】患者様や医療機関が求める再生医療ってなに?その1「患者さんの希望する再生医療とは」

【第9回】患者様や医療機関が求める再生医療ってなに?その1「患者さんの希望する再生医療とは」

では前回までステミラック注の話をしてきたので、脊髄損傷・脳梗塞の患者さんとのお話を・・・

脊髄損傷・脳梗塞後の機能障害等、症状状態は様々ではありますが、私が接してきた患者さんは長年、車椅子の方が再生医療・幹細胞治療を行ったからと言って「いきなり立ち上がって歩き出す走れる」なんて思ってもいませんし、そんな期待はしてないんですよね〜

勘違いしないでくださいね。期待してないわけではないんです。
期待

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【第8回】再生医療等製品ステミラック注とは?その3

【第8回】再生医療等製品ステミラック注とは?その3

ステミラック注は第2種再生医療で、病院やクリニックで行われている間葉系幹細胞の治療とは違います。

なお、現在「ステミラック注」を使った治療を実施しているのは札幌医大さんだけです。

では、何が違うのか?

1番は、保険適用か自費診療かが大きな違いです。
つまりは患者様負担が保険適用なら約8万円、
自費診療なら150万円から300万円(クリニックによって異なりますが)
になります。

2番は、治療

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【第7回】再生医療等製品ステミラック注とは?その2

【第7回】再生医療等製品ステミラック注とは?その2

これがステミラック注1回の値段です!もう俺にはこの金額の意味がさっぱりわからないのが1番でして、なんで?なんでこんなに高いんだ?ってこれに尽きるのよ。

確かにね、こういう薬価の算定ってめちゃくちゃ細かくしっかりとしているんだけど、これには納得いくものが全くない。
基本的に薬価はお国が最終的には決めるものですが、そもそも、お国に提出してる情報が問題なのかは分かりませんし、俺ごときが可否を言う立場に

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【第6回】再生医療等製品ステミラック注とは?その1

【第6回】再生医療等製品ステミラック注とは?その1

まずは、ステミラック注という再生医療等製品とは何かを簡単に説明すると、ステミラック注(すてみらっくちゅう)は、ニプロと札幌医科大学が共同で開発した脊髄損傷の治療薬のこと。脊髄損傷への再生医療製品の販売承認としては世界初となる治療薬です。

以下札幌医科大学付属病院HPより

と掲載されています。

つまりは自己骨髄由来幹細胞を脊髄損傷の急性期患者に点滴投与するれば改善するよ!って、条件付きだけど再

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