一般社団法人 再生医療安全推進機構 公式ブログ「再生医療相談室」

本ブログでは再生医療の現状及び法律等の正しい情報を提供し、医師や患者様が再生医療を判断…

一般社団法人 再生医療安全推進機構 公式ブログ「再生医療相談室」

本ブログでは再生医療の現状及び法律等の正しい情報を提供し、医師や患者様が再生医療を判断をするうえで有益な情報をお届けします。 著書「再生医療の死角」2023年11月17日Amazonで販売開始  予約購入受付中 https://onl.bz/tUCusZc

最近の記事

【第18回】 再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて

2024年1月17日(令和6年1月17日)厚生科学審議会(再生医療等評価部会)において 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて」(https://x.gd/9jKXw) 上記の資料が作成された。 正味な話、細胞加工物を用いない遺伝子治療でin vivo遺伝子治療が再生医療法規制に入ってくるというもの以外大きな話はない。 このin vivo遺伝子治療の件も随分前から、ほぼ決まっていたような話である。 毎度・毎度だが再生医療の業界を良くしようと思っている

    • 【第17回】 「遅かった・・・、残念で仕方ない」

      令和5年10月11日に「再生医療抗加齢学会」より 幹細胞培養上清液を使用した治療に関し、患者が死亡するという事象が発生したという情報に接しております。幹細胞培養上清液及びエクソソームの静脈投与につきましては、医療水準として未確立の療法であり、その有効性・安全性について、エビデンスに基づく十分な検討をお願いいたします。また、現時点では他家由来幹細胞培養上清液及びエクソソームに関して、医薬品医療機器等法の承認を取得した製品は存在しないことから、試薬等として流通しているものを医師

      • 【第16回】「エクソソーム・上清液の治療は、そもそも・・・?」

        これまでは、あたかも再生医療を再生医療等安全確保法の観点から意見を書いて来ましたが、今回は「薬機法」の観点から書いてみようと思う。 そもそも○○由来エクソソーム・○○由来上清液は、承認薬なの?って話からすると、答えは承認薬ではありません つまりは、未承認薬です。 未承認薬(無承認無許可医薬品)とは、 日本の医薬品医療機器等法に基づく品質・有効性・安全性の確認がなされてないものをいいます。 健康被害を生じるおそれがあり不衛生な場所や方法で製造されている恐れが高く有害な不純物当

        • 【第15回】「あたかも再生医療」の問題点③

          エクソソーム及び上清液は、「どこで製造され」「どこが販売し」、「どういう医療機関で治療として提供されているの?」 通常、あたかも再生医療ではなく「再生医療等安全性確保法」内で行われる幹細胞治療で用いられる細胞は、 ①「特定細胞加工施設許可業」を取得した企業 ②院内(クリニック内)に併設された細胞加工施設届の出された医療機関 でのみ、細胞を加工し治療として提供できます。 しかも、再生医療等委員会に治療を行いたい医療機関が、実施計画(提供計画書)の審査を依頼し、該当委員会よ

        【第18回】 再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて

          【第14回】「あたかも再生医療」の問題点②

          「あたかも再生医療」の問題点②では、「安全性」について。。。 何度も言うが、「上清液」及び「エクソソーム」は再生医療等の安全性の確保等に関する法律の定める審査の過程を得ていない、ある意味「訳の分からない治療」である。 と、、、文句ばかり書いても仕方ないので、少し論理だてた話を書きましょう。 これは私自身の見解でもあり、多くの研究者の意見でもあるので、ちょっと難しい内容であったらすいません。 まず、厚労省のHPの中で「再生医療等安全性確保法5年後の見直しの検討に係る中間整

          【第13回】「あたかも再生医療」の問題点①

          第12回で話したように 「幹細胞上清液治療」と「エクソソーム治療」は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療安全確保法)」外の治療であり、巷の自費診療を行っている医師や業者間では、グレーだけど黒ではないから大丈夫と自己都合の塊から儲け主義の行動として局所投与や静脈投与を行っている。 売れたらいいのか?人気だったらやる!それが日本の医療だと思われたくないが、タレント医師のような発信(SNS)を集客方法として行っている医療機関の大半は、「倫理」も「医療法」も「再生医療

          【第12回】「あたかも再生医療」って?

          第10回に書いたのですが 医療の広告規制や消費者のガイドラインに違反している医療機関の方が多いことや、他の怪しい(あたかも再生医療)広告をしていることなどなど、私が見る限り問題がかなりあるのが現状です。 これを書いた2022年5月からこの内容は悪化の一途をばく進しております。 理由はSNSの普及と共に増えた、「自費クリニック医師」のSNSでの宣伝広告を目的とした過度の露出が1番の理由かなぁ~(正直、安全性だの倫理だの法律だの全く理解してない医師ばかりがやっていると個人的には

          【第11回】培養細胞と非培養細胞(脂肪由来幹細胞)の違いと問題点

          脂肪由来幹細胞をA D S C ・Adipose Derived Stem Cell 脂肪由来再生細胞をADRC・Adipose Derived Regenerative Cellといい、今回はこのADSCとADRCの ”中身” の違いについて議論したいと思います。 ADSCは脂肪組織に含まれる幹細胞で、下腹部周辺を5ミリほど切開し、脂肪(米粒2粒程度)を採取した脂肪組織から得ることができます。 (脂肪吸引器にて100g〜400gと大量の脂肪を採取する方法もあります)

          【第11回】培養細胞と非培養細胞(脂肪由来幹細胞)の違いと問題点

          【第10回】患者様や医療機関が求めている再生医療ってなに?その2「現在受けられる再生医療(幹細胞治療の現在)」

          現在受けられる再生医療 これが案外沢山の疾患に対し治療が行えているんだけど皆さんご存知ですか? ただし、ただし、なんですが ここに記載されている医療機関ですら完全に安心か? と言うと疑問ばかりになってしまします。 その原因として、 医療の広告規制や消費者のガイドラインに違反している医療機関の方が多いことや、他の怪しい(あたかも再生医療)広告をしていることなどなど 私の見るがぎり問題が、かなりあるのが現状です。 治療方法にも問題があったりと、 一般の方には正直、善悪わから

          【第10回】患者様や医療機関が求めている再生医療ってなに?その2「現在受けられる再生医療(幹細胞治療の現在)」

          【第9回】患者様や医療機関が求める再生医療ってなに?その1「患者さんの希望する再生医療とは」

          では前回までステミラック注の話をしてきたので、脊髄損傷・脳梗塞の患者さんとのお話を・・・ 脊髄損傷・脳梗塞後の機能障害等、症状状態は様々ではありますが、私が接してきた患者さんは長年、車椅子の方が再生医療・幹細胞治療を行ったからと言って「いきなり立ち上がって歩き出す走れる」なんて思ってもいませんし、そんな期待はしてないんですよね〜 勘違いしないでくださいね。期待してないわけではないんです。 期待している内容が違うんです。 例えば、脊髄損傷の胸損の患者さんの多くの悩みは、

          【第9回】患者様や医療機関が求める再生医療ってなに?その1「患者さんの希望する再生医療とは」

          【第8回】再生医療等製品ステミラック注とは?その3

          ステミラック注は第2種再生医療で、病院やクリニックで行われている間葉系幹細胞の治療とは違います。 なお、現在「ステミラック注」を使った治療を実施しているのは札幌医大さんだけです。 では、何が違うのか? 1番は、保険適用か自費診療かが大きな違いです。 つまりは患者様負担が保険適用なら約8万円、 自費診療なら150万円から300万円(クリニックによって異なりますが) になります。 2番は、治療の適用範囲です。 ステミラック注は急性期のみが対象で、第2種再生医療で行っている

          【第8回】再生医療等製品ステミラック注とは?その3

          【第7回】再生医療等製品ステミラック注とは?その2

          これがステミラック注1回の値段です!もう俺にはこの金額の意味がさっぱりわからないのが1番でして、なんで?なんでこんなに高いんだ?ってこれに尽きるのよ。 確かにね、こういう薬価の算定ってめちゃくちゃ細かくしっかりとしているんだけど、これには納得いくものが全くない。 基本的に薬価はお国が最終的には決めるものですが、そもそも、お国に提出してる情報が問題なのかは分かりませんし、俺ごときが可否を言う立場にはないし、言ってイジメられるのは嫌だからオブラートに言いますが・・・ 製造にどう

          【第7回】再生医療等製品ステミラック注とは?その2

          【第6回】再生医療等製品ステミラック注とは?その1

          まずは、ステミラック注という再生医療等製品とは何かを簡単に説明すると、ステミラック注(すてみらっくちゅう)は、ニプロと札幌医科大学が共同で開発した脊髄損傷の治療薬のこと。脊髄損傷への再生医療製品の販売承認としては世界初となる治療薬です。 以下札幌医科大学付属病院HPより と掲載されています。 つまりは自己骨髄由来幹細胞を脊髄損傷の急性期患者に点滴投与するれば改善するよ!って、条件付きだけど再生医療等製品として承認されている。 そんな感じの物がステミラック注です。 【薬

          【第6回】再生医療等製品ステミラック注とは?その1

          【第5回】再生医療どうやって進める?その3「再生医療等製品」

          今回は「再生医療等製品」について。 「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であって、政令で定めるものをいいます。(法第2条第9項) 1. 次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの(※「細胞・組織加工製品」)   a. 人又は動物の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成(※「組織工学製品」)   b. 人又は動物の疾病の治療又は予防(※「細胞治療薬」) 2. 人又は動物

          【第5回】再生医療どうやって進める?その3「再生医療等製品」

          【第4回】再生医療どうやって進める?その2「再生医療等の安全性の確保等に関する法律②」

          前回の続きですが、本当に日本の「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」は世界に誇れると思う…からの、進めるためには私の主観として思うことを書いてみます。 あくまで主観です笑 再生医療等安全性確保法では、再生医療等技術を、そのリスクにより第一種、第二種、第三種(参照:厚生労働省ホームページ)に分類している。 ES細胞やiPS細胞のような多能性幹細胞、遺伝子導入細胞、動物細胞及び他家細胞を用いる再生医療等技術は第一種に分類される。 自家幹細胞においては、培養を行っている場合

          【第4回】再生医療どうやって進める?その2「再生医療等の安全性の確保等に関する法律②」

          【第3回】再生医療どうやって進める?その1「再生医療等の安全性の確保等に関する法律①」

          この法律が出来たのが平成25年。 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(以下、再生医療等安全性確保法 参照:厚生労働省ホームページ)」により、従来、医師の裁量権の範囲として規制がなかった細胞加工物を用いた自由診療に、事前規制の網がかぶせられることとなった。 てな定義から始まって、また、再生医療等安全性確保法では、臨床研究として実施される再生医療についても規制されることとなったんだけど。 ただ、二重規制を避けるため、他の法律で既に規制を受けているものについては適用除外とな

          【第3回】再生医療どうやって進める?その1「再生医療等の安全性の確保等に関する法律①」