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BEST天国

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2021年12月の記事一覧

物語のタネ その六 『BEST天国 #32』

物語のタネ その六 『BEST天国 #32』

天国コンシェルジュのミヒャエルのオフィス―――
ただ今、そこにいるのは宅見氏一人だけ。

やがて、ミヒャエルが帰って来た。

「ミヒャエルさん、お帰りなさい」
「あ、ただいま戻りました」
「あれ?なんか元気無いですね、どうかしましたか?」
「また、落ちちゃって、仮免試験」
「仮免?って、車ですか?」
「はい、そうです。坂道発進、エンストしてズルズルっとなっちゃって」
「免許持っていなかったんですか

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物語のタネ その六 『BEST天国 #31』

物語のタネ その六 『BEST天国 #31』

ミヒャエルのコンシェルジュオフィス―――
宅見氏はいつものようにミヒャエルが淹れたコーヒーを飲んでいる。

「ふふぁ〜ふぉ」
「あれ、ミヒャエルさんが欠伸するなんて珍しいですね」
「昨日はちょっと徹夜をしてしまいまして」
「何かあったんですか?」
「面白いって聞いていたアニメ“緻密な刃“、見始めたら面白くってついつい朝まで」
「刀鍛冶達の誰が一番切れ味がいい刀を作れるか競い合うっていうやつですよね

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物語のタネ その六 『BEST天国 #30』

物語のタネ その六 『BEST天国 #30』

天国コンシェルジュのオフィス―――
ミヒャエルに淹れてもらったコーヒーを飲む宅見氏。
ふと、ミヒャエルが一枚のカードを前にソワソワしている様子。

「どうしたんですか、ミヒャエルさん、そのカードは?」
「あ、宅見さん。これ?これは、同窓会のお知らせなんです」
「同窓会って、なんのですか?」
「天国コンシェルジュの、です」
「天国コンシェルジュの同期とかいるんですか?」
「いますよ、勿論。最初は一緒

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物語のタネ その六 『BEST天国 #29』

物語のタネ その六 『BEST天国 #29』

天国コンシェルジュ、ミヒャエルのオフィス―――

ミヒャエルの淹れたコーヒーを飲みながらボーッとしている宅見。
ふと見ると、ミヒャエルがパソコンの画面を見ながら何やら探している様子。

「ミヒャエルさん、何を探しているんですか?」

「あ、宅見さん。そうだ、宅見さん、ワインお詳しかったりします?」
「いや、お詳しくはないです、残念ながら。でも、なぜワインを?」
「前回お世話になった、ステーキのナイ

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物語のタネ その六 『BEST天国 #28』

物語のタネ その六 『BEST天国 #28』

様々な地獄があるように、実は天国にも様々な種類がある。
現世での行いや悪行により問答無用に地獄行きかが決められてしまうのに対して、天国は自分で選べるのだ。
ここにまた、ある1人の男が死んでやって来た。
名前は、宅見卓朗。享年37歳。
前回は「ふわふわ天国」を訪れた宅見氏。
さて、今回はどんな天国に?

「しかし、ロビンソンさんに貰ったベーコンは美味しかったですね」

「急にどうしたんですか?宅見さ

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