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詩 『戦士の骸』

作:悠冴紀

極端すぎた変革
反乱の渦
人々はある日突然 戦士になる

求める神の食い違い
バラバラに砕け散った世界

脱落していく同志たち
この手が殺めた敵兵たち
巻き添えを食らった民たち

辺り一面 死ばかり

戦火を浴びて 破壊を繰り返し
戦う目的さえ忘れて 血に飢える

身が削れる
精神が削れる
世界が削れる

やがて戦乱は去り
空虚だけが残る

戦士は気付く
もはや自分の居場所がないことに

握り締める武器だけが友だった孤独な戦士
戦うことだけが人生だった勇ましくも儚い戦士

彼等は気付く
戦乱の終わりは 自らの終わりだと

血の染みた大地に力無く武器を落とし
ボロボロの身体で呆然と立ち尽くし
そこには一体 何があるのか

滅びた都市
乾いた平原
死の丘

求めたはずの神は
いないことに気付く

そこには一体 何があるのか……

戦乱の終結
抜け殻の戦士
惨めな結論

努めたすべてが 空回りだったと気付く
求めたすべてが 幻だったと気付く
尽くしたすべてに 裏切られていたと気付く
憎んだ戦乱こそが 自分の人生そのものだったと ──

戦士は呆然と立ち尽くす
回ることをやめた地球の上で
居場所も収穫も目的もなく
ただ独り 呆然と

過程と信じた戦乱に食われ
望んだ平和に馴染めなくなった
惨めな 哀れな 戦士のむくろ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・ 長い 長い 虚脱の後
滅びの時代を地層の下に
私は零の部屋から歩み出す

二度とは歴史を繰り返さぬよう
血混じりの涙の味を忘れぬまま
私は凛と 歩いていく

武器を持たず
幻を追わず
自然のままに
歩いていく

哀れな戦士の骸だけを
ただ強く強く 抱きしめて ──


***********


※ この作品は、私がまだ大学生だった1999年(当時22歳)頃に書いた詩です。

 なお、作中の『神』とは、必ずしも宗教上の神だけを意味するのではなく、拠り所に飢えた人間が傾倒しがちな " 絶対的だと信じているもの全般 " を指しています。

注)シェア・拡散は歓迎します。ただし、この作品を一部でも引用・転載する場合は、必ず「詩『戦士の骸』(悠冴紀作)より」といった具合に明記するか、リンクを貼るなどして、作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように配信・公開するのは、著作権の侵害に当たります!

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