リょう

ニュースとかまとめサイトを見てインスピレーションを得たらなんか書きます。たまに読書感想…

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ニュースとかまとめサイトを見てインスピレーションを得たらなんか書きます。たまに読書感想文なんかも。感想もらえるとうれしい。中身はしがない30代ホモ。ご用の方はこちらからどうぞ。contack1989@gmail.com

記事一覧

地獄とは他人である ーエヴァ完結に寄せてー

哲学者のサルトルは「地獄とは他人である」といいました。 僕もそう思います。 地獄も天国も「他人との関係」の中において生まれるものではないでしょうか。 エヴァンゲリ…

リょう
3年前
11

いつかバトンを渡したい

たまに、血のつながりについて考えます。 自分は両親・兄ともに血はつながっているけれど。 父ゆずりのガンコさに母ゆずりの楽天主義。兄とは声がソックリで、おばあちゃ…

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3年前
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夏の扉

1. 黒住くんが失踪した。らしい。 そもそも日本の年間失踪者は年間8万人を超える。そのうちのひとりに彼がなることは何もおかしいことではない。 それに本当に失踪したの…

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3年前
3

クライン・クラフト

ぼくはいま、世界中で大人気のサンドボックスゲーム「Mycreate」にドはまりしている。 「Mycreate」とは、簡単に説明するとさまざまな素材の立方体を組み合わせ、自分の思…

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4年前
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SWEET 16 BLUES

あたしには怖いものはない。 あたしの名前はナオミ。16歳。 花の女子高生だ、オジサン風に言うと「今まさにこの世の春を謳歌している」…って感じ?意味わかんないけど…

リょう
4年前
8

分身

近頃、周囲で失踪事件が多発している。 仕事に出かけたきり行方不明になったり、逆に仕事帰り、立ち飲み屋にふらりと寄ったところを目撃されたのを最後に連絡がとれなくな…

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4年前
5

現金に体を張れ

夜の11時。わたしは日課となっている夜中の散歩に出かける。 毎度のことだが、玄関で運動靴のテープを留めていると、息子の嫁からどこに行くのか、年なんだから夜に出歩く…

リょう
4年前
8

紫陽花の咲く季節

憂鬱な長雨が続く6月のある日、わたしの退院日が決まった。 灰色に汚れた壁と、そこに降る生温い雨という景色だけを切り取る窓はもう見ずにすむのだ。けどわたしは自分が嬉…

リょう
4年前
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「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」を読んだ

タイトルが長いよ。書店で表紙が目に入り、思わずジャケ買いならぬタイトル買いしちゃいました。ズルいです。 結婚生活に、そして仕事に疲れ、人生の進むべき道をを見失…

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4年前
5

夕凪の時代

2020年、歴史的ともいえる暖冬を記録したこの年を皮切りに、地球温暖化は急速に進行を早めた。 それまでは地球温暖化に懐疑的な人たちも多く、逆に氷河期に突入している、…

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4年前
6

やさしい気持ち

「…また?」 「せっかく作ってくれてるのにごめん。仕事で疲れてて食欲ないんだ。ごちそうさま。」 俺は嫁が作ってくれた晩ご飯を、半分くらい残してに食事を終えた。 …

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4年前
4

カードと悪魔の予言

1/100000。宇宙飛行士を優に超える倍率を突破し、俺は日本初のタイムトラベラーとなった。 とはいえちょっとしたコネ採用のようなものだが。 俺が幼いころ、「近所に怪し…

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4年前
3

福の神

会社の同僚Aの証言 「そうですね。一緒に働いているうえで…えっと、本当の名前はNさん?でしたっけ。Nさんの勤務態度におかしい点はありませんでした。むしろ、同僚とし…

リょう
4年前
1

シミュレーション定説

朝が来た。いつもと変わらない朝。いや、いつもと変わらないようにプログラムされているだけなのかもしれないけど。 「わたし、もう学校行かないから。」 リビングへ行き…

リょう
4年前
4

殺してください

「2020年2月20日13:00。死刑を執行します。」 拘置所長は極めて無機質に、事務的に俺に告げた。 目隠しと手錠がかけられ、となりの執行室へ導かれる。 何歩か歩いたとこ…

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4年前
3

メメント・モリ

「ここは俺に任せて先に逃げろっ…!」 パーティの中で一番体力のあるライアスが魔物の群れの前に立ちふさがる。 「でも、お前を置いて逃げられないよ!」 「いいから早く…

リょう
4年前
1
地獄とは他人である ーエヴァ完結に寄せてー

地獄とは他人である ーエヴァ完結に寄せてー

哲学者のサルトルは「地獄とは他人である」といいました。
僕もそう思います。
地獄も天国も「他人との関係」の中において生まれるものではないでしょうか。

エヴァンゲリオンは、他人との関係による「地獄」を描いた作品だと思います。

エヴァンゲリオンの登場人物はほぼ中学校・ネルフ・ゼーレ・新劇場版ではヴンダーのどれかに属しています。
メインキャラはせいぜい10~20人くらいのものでしょう。
それなのに、

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いつかバトンを渡したい

たまに、血のつながりについて考えます。

自分は両親・兄ともに血はつながっているけれど。

父ゆずりのガンコさに母ゆずりの楽天主義。兄とは声がソックリで、おばあちゃんに電話してもどっちか言うまでわかってもらえないくらい。不思議なことに字も似てる。

じゃあなんで血のつながりについて考えるのかというと、僕の血は僕で終わってしまうから。

人は遺伝子の乗り物にすぎず、僕のようなゲイが生まれそこで血が途

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夏の扉

1.
黒住くんが失踪した。らしい。
そもそも日本の年間失踪者は年間8万人を超える。そのうちのひとりに彼がなることは何もおかしいことではない。
それに本当に失踪したのか。失踪したといえるのか。
SNSの更新をやめ、行きつけの飲み屋にも飽きてしまい、家以外のどこかで寝泊まりするようになっただけかもしれない。
わたしは彼の両親とは面識がないので、捜索願いがだされているかどうかさえわからないんだから。

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クライン・クラフト

クライン・クラフト

ぼくはいま、世界中で大人気のサンドボックスゲーム「Mycreate」にドはまりしている。
「Mycreate」とは、簡単に説明するとさまざまな素材の立方体を組み合わせ、自分の思うがままの道具・家あるいは世界を作り上げることのできるゲームだ。
単純なゲームだが凝り性の僕の性に合っているのだろう。気が付けば4時間も5時間もぶっ続けでプレイしてしまっている。
子どものころ、レゴブロックでまるまる一つの街

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SWEET 16 BLUES

あたしには怖いものはない。

あたしの名前はナオミ。16歳。
花の女子高生だ、オジサン風に言うと「今まさにこの世の春を謳歌している」…って感じ?意味わかんないけど。
とにかくあたしは絶対無敵で毎日ハッピーで、そしてこれは死ぬまでずっと続くんだ。
そりゃたまに失恋したり友達と喧嘩したりして悲しいときもあるけど、それってその時だけじゃない?
生きてりゃイイことあるんだから。むしろ世の中ほとんどイイ

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分身

分身

近頃、周囲で失踪事件が多発している。
仕事に出かけたきり行方不明になったり、逆に仕事帰り、立ち飲み屋にふらりと寄ったところを目撃されたのを最後に連絡がとれなくなったり。

一見バラバラのように思える失踪者たちだが、実は警察もつかんでいない共通点がある。
それは、失踪者たちはみんな俺の知り合いだということだ。

俺の名前は鳥川。職業、漫画家。
青年誌でサスペンスものの漫画を連載している。「羊たちの足

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現金に体を張れ

現金に体を張れ

夜の11時。わたしは日課となっている夜中の散歩に出かける。
毎度のことだが、玄関で運動靴のテープを留めていると、息子の嫁からどこに行くのか、年なんだから夜に出歩くのはやめろとぶつぶつと小言を言われた。
しかしわたしはどこ吹く風で家を後にする。
嫁よ、これもまわりまわってあんたの為になるんだからあまりうるさく言わんでくれ。

散歩はたっぷり1時間以上かけて近所をぐるりと歩き回る。
道はできるだけ街灯

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紫陽花の咲く季節

紫陽花の咲く季節

憂鬱な長雨が続く6月のある日、わたしの退院日が決まった。
灰色に汚れた壁と、そこに降る生温い雨という景色だけを切り取る窓はもう見ずにすむのだ。けどわたしは自分が嬉しいのかどうかわからなかった。
窓が見せつける、静かにしとしとと降り続ける雨は、わたしの気持ちを暗く深く沈めていた。

夫は仕事が忙しく迎えに来れないそうだ。
というのは方便で、本当はわたしを避けているんだろう。
逆の立場であれば、きっと

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「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」を読んだ

「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」を読んだ

タイトルが長いよ。書店で表紙が目に入り、思わずジャケ買いならぬタイトル買いしちゃいました。ズルいです。

結婚生活に、そして仕事に疲れ、人生の進むべき道をを見失ってしまった書店員のささやかな?、だけど勇気に溢れた冒険譚。
(※ささやかというのは、ゲイは出会いが少なく出会い系サイトを使うのがスタンダードだったこともあり、僕の中で出会い系サイトで人と会うことへのハードルが殊更低いというだけで、本当

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夕凪の時代

夕凪の時代

2020年、歴史的ともいえる暖冬を記録したこの年を皮切りに、地球温暖化は急速に進行を早めた。
それまでは地球温暖化に懐疑的な人たちも多く、逆に氷河期に突入している、という論文を発表する大学教授もいたのだという。
だが現実には、やはり地球は暖まっていたのだ。グリーンランドや極地の氷はどんどん溶けて、ここ100年で海面がなんと7メートルも上昇してしまった。

もとより海抜の低いところにあった、東京・大

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やさしい気持ち

「…また?」
「せっかく作ってくれてるのにごめん。仕事で疲れてて食欲ないんだ。ごちそうさま。」

俺は嫁が作ってくれた晩ご飯を、半分くらい残してに食事を終えた。
心苦しい限りだが仕方がない。これも全て嫁のためなのだ。 

俺はここ最近、ぷくぷくと太ってきた嫁を痩せさせるために、色々な方法を試している。太っていてももちろん愛してはいるが、健康のためには痩せていてくれたほうがいいに決まっている

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カードと悪魔の予言

1/100000。宇宙飛行士を優に超える倍率を突破し、俺は日本初のタイムトラベラーとなった。
とはいえちょっとしたコネ採用のようなものだが。

俺が幼いころ、「近所に怪しいおじさんが住んでいるから近づいてはいけないよ」と言いつけられていたのが、後にタイムマシンを発明するN博士の家だったのだ。
近づくなと言われると近づきたくなるもの。俺はN博士の家の庭に忍び込み、その発明の虜になったのであった。

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福の神

福の神

会社の同僚Aの証言

「そうですね。一緒に働いているうえで…えっと、本当の名前はNさん?でしたっけ。Nさんの勤務態度におかしい点はありませんでした。むしろ、同僚としてはすごく働きやすかったですね。わたしにあれしろこれしろって言ってくることもありませんでしたし。ほら、結構いるじゃないですか。一般職だからってお茶汲みとか掃除とか命令してくるおじさんが。昭和かっての!あ、すみません。話を戻しますね。Nさ

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シミュレーション定説

シミュレーション定説

朝が来た。いつもと変わらない朝。いや、いつもと変わらないようにプログラムされているだけなのかもしれないけど。

「わたし、もう学校行かないから。」
リビングへ行き、いつも通り朝食の用意をしている母にひきこもり宣言をしてみた。
「海外の偉い学者さんが、この世界はシミュレーションだって発見したらしいの。わたしの将来もなにもかもプログラムによってきめられているんだって。昨日ネットニュースで読んだ。」

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殺してください

「2020年2月20日13:00。死刑を執行します。」

拘置所長は極めて無機質に、事務的に俺に告げた。
目隠しと手錠がかけられ、となりの執行室へ導かれる。
何歩か歩いたところで、首にざらざらとした何かを巻かれる感覚がした。
これが俺の頸椎を折り、首を絞め、死に至らしめるロープなのだろう。
あーあ、クソッタレな人生とはいえ死ぬとなるとさすがに怖えな…死にたくないよ…
なんて考えていたら、いつの

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メメント・モリ

「ここは俺に任せて先に逃げろっ…!」

パーティの中で一番体力のあるライアスが魔物の群れの前に立ちふさがる。
「でも、お前を置いて逃げられないよ!」
「いいから早く逃げろ!俺ならこいつらを倒してからすぐに追っかけるからよ!」
ライアスは俺たちのほうを向いてニカッと笑った。ライアスのいつもの笑顔。死への恐怖はすこしも感じさせなかった。
「このライアス一世一代の大勝負!さぁ、どこからでもかかって来やが

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