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KIZUNAWA

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#学校教育

【小説】KIZUNAWA①            全国高校駅伝長野県予選

【小説】KIZUNAWA①            全国高校駅伝長野県予選

 マネージャーを含めて八人の駅伝部、誰一人怪我をする事が許されない。そんな状況の中、彼らが選んだ戦術は、インターハイを捨て全国高等学校駅伝競走大会一本に勝負を賭けると言う事であった。
秋、長野県下において無名の上田北高等学校駅伝部は快挙を成し遂げる。全国大会出場の切符を勝ち取ったのだ。しかし、ゴール直後に彼らを襲ったのは、全国大会出場も危ぶまれる大悲劇であった。こんな状況の中、次々と駅伝部に襲い掛

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【小説】KIZUNAWA④        繋げ俺たちの絆輪

【小説】KIZUNAWA④        繋げ俺たちの絆輪

 翌日の告別式は駅伝部とサッカー部、同級生は公休扱いで出席が許された。昌福寺住職の読経後、鎌田先輩の若い死に対して説教が述べられた。川島は今日も立っていられなかった。
 進行役の方が低くて静かな声でゆっくりと語り掛けた。
「最後のお別れです。どうか故人に持って行って頂きたい物がありましたら棺にお納め下さい。特にお手持ちのない方は、お配りいたしました生花を故人にお納め下さい」
航平の思い出の品が次々

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【小説】KIZUNAWA⑤        七番目のランナーを捜せ!

【小説】KIZUNAWA⑤        七番目のランナーを捜せ!

拡散された誹謗中傷

翌日からの駅伝部は練習よりメンバー集めに奔走していた。まずは運動部に所属していて、走る事に興味のありそうな生徒を中心に手分けして口説きまわった。しかし、残念な事に誰一人入部を希望する者はいなかった。スクールバスが到着するのを待って一般の生徒にチラシを配ろうとしたが、皆足早に教室に向かってしまうので、駅前でバスを待つ生徒に配ったほうが効率の良い方法だと思った茉梨子は翌日から駅

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【小説】KIZUNAWA⑦        七番目のランナー・僕では駄目ですか?

【小説】KIZUNAWA⑦        七番目のランナー・僕では駄目ですか?

 選手登録の最終日の朝、雅人は悪あがきと分かっていたが駅前に行ってみた。しかし、横川たちの姿はなかった。引田が申し訳なさそうに首を振った。雅人が諦めて学校に戻ると始業のベルが鳴っていた。達也と太陽が何かを話しながら昇降口に向かい、それを見届けた桜井が駐車場を出るところだった。
雅人は午前中の授業を、上の空で受けていた。昼食も取らず部室に向かった雅人は、皆が承認してくれたら正式にキャプテンに就任しよ

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【小説】KIZUNAWA⑧            大人たちの戦いが始まる

【小説】KIZUNAWA⑧            大人たちの戦いが始まる

 宮島はその足で校長室に向かっていた。ドアを四回ノックする。
「宮島です。お時間を頂けますか?」
「はい、お入りください」
上田北高等学校校長青山康助(あおやまこうすけ)の声だった。
「失礼いたします」
宮島が校長室に入ると校長は自席から立ち上がり、来客用のソファーに宮島を招き入れた。
「駅伝部の件ですね。最後のランナーは決まりましたか? それとも?」
「決まりました。今から高体連にエントリーをし

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【小説】KIZUNAWA⑩         テザー・二人の合宿

【小説】KIZUNAWA⑩         テザー・二人の合宿

 太陽は横川たちの行動に注意しながら歩道をゆっくり歩いた。
「楠! お前サッカー部だろ。何でそんな女々しい事やってんだ?」
横川が達也と太陽を見つけて挑発して来たが太陽は無視をした。
「チッ!」
汚い音が聞こえて来た。達也が何かを言い掛けた。太陽はその仕草を敏感に感じ取ってさえぎる。
「達ちゃん行こう」
二人は横川を無視して駅に向かった。
「お前みたいな障がい者に何が出来る。笑い者になるだけだ! 

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【小説】KIZUNAWA⑪        駅前事件

【小説】KIZUNAWA⑪        駅前事件

 達也と太陽は一気に階段を上り切ってロータリーの横を歩きながら見守り隊の引田に会釈をした。その横を白バイが一台、ロータリーを一回りして駅前交番の横に止まるのが見えた。白バイを避ける様に横川と原子のバイクが太陽たちの横に止まるとバリバリと音を立てたまま話しかけて来た。
「お前ら! 全国大会走るんだってな」
横川の後ろで原子がにやにや笑いながら達也たちを見ていた。
「達ちゃん行こう!」
太陽は立ち止ま

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【小説】KIZUNAWA⑫                        駅前事件・君のバイクは泣いている!

【小説】KIZUNAWA⑫ 駅前事件・君のバイクは泣いている!

 本間は横川の首根っこを捕まえると自分の白バイまで連れて行った。
「君はどうしてそんなに問題を起こしたいのかな?」
横川は不貞腐れてその問いには答えなかった。
「君のバイクをここに持って来なさい!」
本間はロータリーに倒れている横川のバイクを指さす。横川はしぶしぶ自分のバイクを起こして引いて来た。本間が彼のバイクのエンジンを掛けてアクセルを噴かす。バリバリババンというけたたましい音が鳴り響いた。

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【小説】KIZUNAWA⑬・温かい協力者

【小説】KIZUNAWA⑬・温かい協力者

 練習の前に陸上部の村田が数人の部員を連れて来た。
「柞山キャプテンから頼まれていた応援隊を連れてきました」
陸上部のマネージャーをしています石井智子二年と一年の工藤望智(くどうみさと)です。それと中距離の練習コーチとして三年の岡田真一(おかだしんいち)と山中敏明(やまなとしあき)であった。
「最後に一〇キロのコーチは私、村田がやります」
村田は言った。
「智子! 手伝ってくれるの?」
茉梨子は嬉

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【小説】KIZUNAWA⑭        校長室の攻防

【小説】KIZUNAWA⑭        校長室の攻防

 校長室のソファーに二人の来客が座っていた。宮島がその応対をしていたが遅れて校長が部屋に入って来た。
「お待たせして申し訳ありませんな」
校長は二人の客人に頭を下げた。
「これは校長先生! 篠原と申します」
一人の男が名刺を差し出して言った。名刺には日本陸上競技連盟会長の肩書が綴られていた。
「本校校長の青山です。で日本陸連の会長が本校にどの様な御用でしょう?」
「青山さん! とぼけてもらっちゃ

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【小説】KIZUNAWA⑮         護られなかった正義

【小説】KIZUNAWA⑮         護られなかった正義

校長室でそんな攻防や宿の問題で教師たちが奮闘していた事など駅伝部員たちは知る由もなかった。達也たちは引田からもらったテザーの長さを一〇センチメートルに調整してトラック練習を続ける。
テザーの長さが一〇センチメートルより短くなると失格になってしまう。だからと言って長くすると達也と太陽の息が合わなくなる。そこで走る時は一〇センチメートルに、それ以外は最大の五〇センチメートルへと調整する事にした。新

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