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英語を使う人は英語が好きなのか。

おはようございます。

今朝もランニングに行きました。朝日は良いですね。

今日は「英語を使う人は英語が好きなのか。」ということを考えていきたいと思います。まずは、この「英語」という単語を別の単語に置き換えて試してみたいと思います。

「インターネット」を使う人は「インターネット」が好きか。

「車」を運転する人は「車」が好きか。

「ランニング」をする人は「ランニング」が好きか。

「筋トレ」する人は「筋トレ」が好きか。

もしかすると、インターネットが大好きでエンジニアを目指したり、アプリを開発したりする方がいるかもしれません。車が好きで、車の設計や販売をする方もいるかもしれません。ランニングが大好きで、陸上部に入って選手になる方がいるかもしれません。筋トレが大好きで、筋トレのトレーナーになったり、ボディビルダーを目指す方もいるかもしれません。しかし、多くの方は、インターネットも、車も、ランニングも、筋トレも、好きかどうかはというよりは、インターネットや車が便利だったり、ランニングや筋トレをした後の状態の良さを知っているから、使ったり、トレーニングをするのではないでしょうか。または、目的地があって、そこに到達するためにそれぞれを使うのではないでしょうか。私は英語とはこんな感じのスタンスで向き合っています。

1. 私の場合

一人のサンプルに過ぎませんが、私の事例を考えてみたいと思います。日本人の両親から生まれ、日本で育ち、日本の大学に入学、その後は2カ国に留学し、現在も海外に居住していて、妻との会話は英語、同僚の出身地はアメリカ、イギリス、ノルウェー、タイで、社内・社外の会話は英語、前職では高校英語教師として英語を教え、香港の大学では大学生に英語を教えていました。今でも英語で表現できないことはあり、話題によっては、聞いても、読んでもわからないことは沢山ありますが、英語は生活の中に入っています。ただ、英語が好きかどうかと聞かれると、正直なところ即答はできません。英語は本当に便利で、英語のおかげで手にできたものが数えきれなくて、感謝しているけれども、英語という言語が好きかどうかはわからないといったところです。

高校で英語教師をしていた時も、「使えてよかった」という体験が多かったので、どうしてもこの事実を伝えたかったというところが大きく、生徒の英語学習のきっかけになると良いなとは思っていました。

2. 英語が好きな人はどのくらいいるのか

一番理想的なのは、好きであることに間違いないと思います。教育の究極的なゴールの一つは、自律的学習者を育てることと言われます。言われなくても、自分から進んで学習できる方です。「好きこそ物の上手なれ」とも言いますが、好きに勝るものはありません。洋画、洋楽、尊敬する人、成功体験等、好きになるきっかけを手に入れた方は本当に幸せだと思います。

そうではない方も沢山いるかと思います。どの程度英語をできるようになりたいかによって、使う時間と労力は変わってくると思いますが、個人的には英語という言語自体が好きではなくても、使えるようにはなると思っています。

文部科学省のデータによると、「英語の学習が好きである」と答えた中学生で「そう思う」と「どちらかといえば、そう思う」の合計は54.6%、高校生は47.2%でした。私の予想より高くて、良いことなのですが、是非ともこのモチベーションを続けられる環境があると良いと思っています。

文部科学省:平成29年度英語力調査結果(中学3年生)の概要

文部科学省:平成29年度英語力調査結果(高校3年生)の概要

3. 高校教師時代の生徒へのアンケート

私の高校教師時代の話ですが、授業開きという一年で最初の授業では、「英語が好きな人、嫌いな人」というアンケートを取り、「なぜ英語を勉強するのか」と黒板に書き、クラス全員で話し合ってもらっていました。その際に、私は定まった正解は持っていないし、私が英語教師だからと言って遠慮しなくて良いし、何を言ってもテストで減点もしないと伝えました。

生徒はホッとしたように、どんどんと自分の胸の中に込めていた思いを出してくれていたのを今でも覚えています。この私が個人的に行ったアンケートでは、英語が好きという人は、最高でも25%くらいで、文部科学省のデータよりははるかに低かったです。

好きな理由
・ 洋楽が好き
・ 海外の映画が好き
・ 海外で仕事がしたい
・ 英語を使って仕事をしたい
・ 海外旅行に行った時に使えた
・ 外国人と結婚したい
・ かっこいい

嫌いな理由
・ 勉強してもテストの点数が取れない
・ 英語の発音が難しい
・ 中学の時の英語の先生が嫌い
・ 日本人なのになんで英語なんかやらなければいけないのか
・ 勉強方法がわからない
・ スペルが覚えられない
・ 英語を話している人が威張っているようで嫌だ

当時英語教師として勤務を始める前から、教室に40人程生徒がいることを想像し、英語が嫌いと思っている生徒に対しても授業を1年以上行っていくにあたり、このディスカッションの時間を取るかどうかで大きく違うと信じていました。そして、この作業をして本当に良かったと思っています。どこかで挫折すると、必ず「なんで英語なんかやらなきゃいけないのか、もう嫌い。」と簡単になり得ると身をもって感じていたからです。

当時の生徒に伝えたメッセージとしては、地球上で英語をネイティブとして話す人は少数派だという事実や、日本語という言語・思考やコミュニティを離れるから得られる視野があること、そこで気づく日本の良さがあること、英語が使えて良かったという経験や手に入れた機会がたくさんあるという話を、なるべく自分のリアルな経験から話しました。また、私は教員免許は持っているけれども、学習者であり一人の英語使用者のサンプルにすぎないということも強調しました。このディスカッションの数値的効果は持っていないですが、感覚としては良かったのではないかと思っています。

4. 最後に

英語が好きな方は、使えるようになる可能性が非常に高いと思います。ぜひそのまま続けていただけると良いと思います。ただ、英語が好きだった方でも、何かトラウマのような経験をきっかけにやりたくなくなった方もいるかもしれません。また、そもそも英語が嫌いな方は多くいると思います。そんな方たちも、英語というツールが持つ威力や、広げられる可能性については信じて良いと思います。現在外資系のヘッドハンターとして3000人以上の方とお話しをしてきた私の経験を踏まえて再考してみると、英語が使えるかどうかで、手にできる機会は本当に大きく変わってくると思います。転職の機会や年間の給与だけではなくて、人脈や入ってくる情報の量や質が変わってきます。

英語との付き合い方は、毎日使う持ち物、例えば靴のような感覚だと良いかもしれません。好きになればもちろん素晴らしいけれども、必要だから磨く、ここぞという勝負の時のために、いつでも使えるようにしておく、そんな英語との向き合い方はどうでしょうか。

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