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外貨建て保険の捉え方〜為替リスクを適切に理解すること〜

さて、ここ最近「円安」が続いてますね。

1ドル=125円台を付けるのは約6年半ぶり。
3週間で10円もの円安となりました。

円高円安については過去記事でもご紹介して
いますので、ご参考ください。

では、この「円高円安」の影響をもろに受けて
しまう生命保険商品の1つ「外貨建て保険」に
ついて本日はお伝えします。


そもそも外貨建て保険とは

一般的な保険は、日本の「円」という通貨で
保険料を支払い、保険金や解約返戻金も「円」で
支払われることから「円建て保険」と呼びます。


一方で、「外貨建て保険」は保険料を外貨で
支払う保険のことです。


また、この場合の保険金や解約返戻金も外貨で
支払われることが一般的です。

外貨は主に、

・アメリカドル
・オーストラリアドル
・ニュージーランドドル

の3つから選ぶ商品が多いです。

外貨建てとされる保険種類は、

・終身保険
・養老保険
・個人年金保険

などが販売されています。


外貨建て保険のメリット

では、円建てではなく外貨建て保険に入る
メリットはどのようなものでしょうか。

・通貨の分散化

日本円だけで資産を運用している場合は、
「円」への一国集中投資と言わざるを得ません。

もし今後日本のインフレが高まっていくと、
「円」の価値自体がますます低下します。

インフレデフレについては過去記事をご参考
ください。


そこで、「外貨」にも資産を分散することで、
日本円の価値が下がったとしても全体的な資産
の目減りを防ぐことができます。

円100%の場合と、円50%と外貨50%の資産
配分では、円の価値が半分になったときの
資産の目減りは25%に抑えられますよね。

また、2016年より日銀によるマイナス金利政策
の影響で、銀行へ日本円を預けても資産増加が
見込めない超低金利時代です。

金利については過去記事もご参考ください。


そのため、日本円への価値よりも外貨に価値を
感じる方が増えてきてあることもあり注目が
集まっています。

・為替差益が見込める

外貨建て保険は為替の影響によって受取額が
変動します。

受け取り時に「円安」が進んでいれば、
受取額は単純に増えますよね。


例えば、

1ドル=100円の時に10万円分(1,000ドル)

保険料を支払い積み立てたとし、

受け取る際に「円安」になっていたとすると、

1ドル=120円であれば、12万円(1,200ドル)

となるため、2万円の為替差益となります。



このように「円安」によって利益が生じることも
外貨建て保険の魅力です。

・保険料の安さ

外貨建て保険は円建てと比べると「予定利率」
が高いため、運用成績が比較的高いです。

「予定利率」とは契約者に対して約束する利回り
であり、この利率が高いほど、保険料は安く、
保険金額や解約返戻率も良くなります。

外貨建て保険のデメリット

しかし、メリットだけではなくデメリットも
もちろん存在します。

・手数料が高い


外貨建て保険には3つの手数料がかかります。

為替手数料:日本円から外貨に両替する際の
      為替手数料
契約初期費用:契約時の初期手数料
解約控除:中途解約等による手数料


通常の円建て保険では得られないメリットが
ある反面、契約に加入するにも、維持するにも、
解約するにも特別な手数料が別途必要なため注意
が必要です。


・為替差損が発生する可能性がある


先ほどメリットでご説明した通り、外貨建て
保険は為替の影響によって受取額が変わります。

保険料を支払った金額よりも受け取り時が
「円高」であれば受取額が減るのです。


例えば、

1ドル=100円のときに10万円分(1,000ドル)

保険料を支払い積み立てたとし、

受け取る際に「円高」になっていたとすると、

1ドル=80円であれば、8万円(800ドル)

となるため、2万円の為替差損となります。


このように「円高」によって損失が生じることも
ありますので注意が必要です。


また、最後にお伝えしたいのが、メリットおよび
デメリットの両方を持ち合わせる「保険料」です。

今回の「円安ドル高」によって、外貨建て保険
の保険料は「ドル建て」の場合、「ドル高」
ということで保険料は高くなります。

そのため、月々や年間の保険料がもともと
高額な場合であると、「円安」が続いた場合、
保険料がその分どんどん高り、より保険料の
支出が苦しくなるというリスクを抱えています。

一方で、上記メリットのとおり、受け取り時の
ことを考えると、その分ドルベースでの受取額
は増加するためリスクとリターンは表裏一体です。


企業様によっては、従業員の福利厚生として
退職金積立を「ドル建て養老保険」などを
活用しているケースも多いです。

この場合、月々の保険料支出が高額となるケース
が発生し、いくら受取額が増加するといっても、
販管費を圧迫する額になる可能性もあります。

個人の場合なども、外貨建て保険で教育資金
積立などをする場合、受取時に予定していた
額よりも欠損する可能性もあります。

そのため、外貨建て保険を活用する際は為替
リスクをよく理解し、上記のメリットデメリット
を天秤にかけ、「目的」にとって外貨建ての選択
がベターなのかどうか判断してください。

それでは。

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