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デザインリサーチ実践『第三回:インサイトを統合する』

「首尾一貫」したデザインリサーチのまとめを作る

リサーチが完了し、それぞれの調査の主なポイントを掴んだらメンバーと一緒にリサーチを「統合する段階」に入ります。

統合していくプロセスは「ぼんやり」としていていますが、ゴールはリサーチから出てきた「パターン」と「テーマ」を見分けることです。それはストーリーテリングのようでもあり、メンバーが合意できる点を探すようでもあります。

最初はものすごく大変に感じるでしょう。たくさんの「証拠」や「情報」からエッセンスを抜き出し、実行可能で、かつデザインを刺激する「何か」を見つけなければいけないのですから

これは「曖昧さ」を受け入れ、いくつかの小さな「ステップ」に分けることがコツになります。完璧なゴールを目指すことはあまり気にしないように。もしリサーチがうまく行ったなら、必要な答えは見つかります。

統合のプロセスは、リサーチで残したメモから「価値」を引き出していくのです。

「統合」とは?

意味を作り出す「プロセス」
ストーリーを共有し、優先順位をつけること
現時点まで何を知ったのかという「首尾一貫」したサマリーを作ること

では、目的は・・・。

メンバー全員の「経験」を共有する機会であり、今まで行ったリサーチ活動を振り返り、 心に残った旅や、似た経験やインタビューなどを思い出すことが出来ます。

デザインリサーチメソッドの具体的な方法はこちらから(前編)(後編)

ここでは「前提」という考えは捨てましょう。オープンマインドでいることは、とても重要です。判断を「延期」し「曖昧さ」と共にいるのです。

インサイトを探す

この記事で「インサイト」とは、 実用的な人間の行動の現れとそれに関連するモチベーションのことです。「発見」と「インサイト」の違いは必ずしもはっきりとしたものではなく、一般的にインサイトは自分の中にいるデザイナーに「刺激」を与えるものでなければならないのです。

例えば、「発見」とはこのようなものです。

患者はしばしば、素直ではないものです。これは患者の状態を悪化させるだけでなく、看護師もイライラさせます。

これは情報として、とても貴重な「発見」ですが私達が患者が素直じゃない「行動」の理由を理解するまで、状況改善のデザインをするのは難しいでしょう。

「インサイト」とは、このようなものです。

患者は診察の間、とても神経質になるので、医師の話に耳を傾けようとしません。

これが重要な人間の根底にある「振る舞い」であり、より実用的なものです。根底にある人間の振る舞いを理解するために、基本的には「なぜ?」と聞き続けることが必要です。この時点で、インタビューした人にすぐ話すことはできませんが、 いい「メモ」を残していれば答えをまとめる事ができるはずです。

もし、メモから無意識の行動を見分けるのが難しければ、次回のインタビューでどうアプローチするべきか反省できるポイントです。

インサイトはそれぞれのリサーチ活動で、共通しているものであり、 もし1つか2つのインタビューのみから見つけた「インサイト」であれば、これをどう広く応用できるかと問いましょう。 深みのある「インサイト」とは、同じことを指す複数のデータや、発言、写真、観察などの様々な要素のリサーチ活動に支えられています。

3つから8つのインサイトを見つけましょう。 それよりも少なければリサーチが十分な範囲の人々をカバーしていないということかもしれません。 8つ以上の場合、批判的な議論が十分でなく、同じようなインサイトが混じっているかもしれません。

(この記事の内容の大部分を発展させてくれたJenny Winfieldに大きな感謝を贈ります。JennyはIDEOのデザインリサーチャーです。彼女のTwitterをフォローしてください。)

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Original article posted by Matt Cooper-Wright on Design Research Methods, translated by Ryo Kobiyama with permission. Supervision by Lina :)

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