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読んだ小説を褒めながら紹介するnote ~『弱キャラ友崎くん』篇~

 今回はシリーズ刊行開始がそこそこ前の作品を紹介します。

 ――はい、すみません。ずっと積んでました。
 しかも2巻までしかまだ買ってないです。
 金欠が解消され次第、続刊買ってきますのでお許しを。

 今後は自分の記憶を辿りながら、いわゆる『名作』、『有名作』の紹介をしていくのも良いかもしれないですね。
 ……読み返しをしてみたい気もありますし。


 閑話休題。

書影など。

 今回はあっさり行きます。

\どーん/

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 著者、屋久ユウキ先生。
 イラスト、フライ先生。

 第10回小学館ライト尾ノベル大賞優秀賞受賞作品。

 アニメ化もしたよ。


『弱キャラ友崎くん』とは

 まずこのシリーズの特徴的なところとしては、巻数の表記が『Lv.n』(ただし n は自然数)であることでしょう。
 そのため、第1巻は『Lv.1』となっています。

 閑話休題(2回目。


 主人公・友崎ともざき文也ふみやは高校2年生。
 ゲーマーで陰キャな高校生。
 ――ではあるのだけれど、実はそんじょそこらの凡ゲーマーなんかではなくて、対戦格闘アクションゲーム『アタックファミリーズ』(通称:アタファミ)において国内ランキング1位を守っている相当な手練れゲーマー
 そして『人生はクソゲーである』を熱く提唱するプロ陰キャ

 そんな彼が、いわゆるスクールカーストの上位層である中村とアタファミで勝負をし、彼を完膚なきまでに叩き潰すところからストーリーが始まります。

 陰キャが陽キャグループの中心格を潰したとあって、(翌週からの学校でオレは迫害されるのではないか)と危惧していた友崎は、しかし特段迫害されたり白眼視されることもなく、友崎は一安心。
 そのまま平和に陰キャ生活を送り――

 ――とはならないのがラノベワールド。
 まずは小さな事件がふたつ起きます。

 ひとつ目は、その翌日。
 アタファミの国内ランキングで1位をひた走る友崎(HN: nanashi)の下には、実はぴったりと2位のプレイヤー・NO NAME がついていたのだが、その NO NAME との対戦が発生。
 自キャラの残りストックを2機分残して勝利をした友崎 = nanashi だったが、その対戦後、NO NAME が『実際にリアルで会わないか?』と提案してきます。
 できればお話とリベンジがしたい、ということで1対1サシでのオフ会
 1位と2位が相見えるなら面白そうだということで友崎も快諾。
 晴れて翌週土曜日に、サシのオフ会が開催されることになりました。

 ふたつ目は、その週の水曜日。
 適当に昼メシを摂ろうと学校の廊下を歩いて行ったところで、件の男である中村とすれ違う。
 ただただすれ違えば良かったのだが、この時中村は女子連れ。
 しかもその女子というのが、いわゆる『パーフェクト・ガール』=才色兼備、頭脳明晰、運動神経抜群、そして人当たり最高な女子である、日南ひなみ 葵《あおい》
 それでもまだ何事もなくすれ違える可能性もあったが、何を思ったか日南が友崎に話しかけてきたモンだからめんどくさい。
 しかも話題が、『友崎が中村をゲームでボコした話』だから余計に質が悪い。
 陰キャ丸出しの応対をしてしまった友崎だったが、日南の陽キャ全開なステキ対応でどうにかこうにか切り抜けたものの、陰キャにはなかなか荷が重いお話でした。

 さて、そうした中で迎えたサシオフ会。
 これが結果的に最大の事件になりました。

 だって。

NO NAME = 日南 葵

 だったんですもの。

 俄に信じられないのは向こうも同じのようで、nanashi = 友崎文也であることを確認。
 そして、こう言い放ちます。

「最悪ね……」
「え?」
「できれば信じたくないわ。nanashi の正体がこんなうだつのあがらないやつだなんて」

(『弱キャラ友崎くん Lv.1』 p.36 より)

 天真爛漫で可憐。
 そんな印象で通っている日南からは到底想像ができない、高圧的な発言と冷酷な態度。
 理由を訊こうとすれば、そのまま彼女は話し出す。
 人と会うときの恰好がなってない、人と話すときの話し方も姿勢もなってない――――枚挙に暇が無いとはまさにこのこと。
 粗方言い尽くした日南はそのまま帰ろうとするが、さすがに友崎も黙ってはいられず言い返す。
「勝ち組・陽キャの価値観を押しつけるな」と言えば、「そんなのは負け犬の遠吠えだ」と返される。

「私はね、負けたくせに努力せず、それを正当化する奴が一番嫌いなのよ」
 本当に、馴染みのある理屈だ。
 でもな、それとこれとは違うんだよ。
「言いたいことはわかるよ。でもな、ちげーんだよ。人生はな、キャラ変更ができねーんだ」

(『弱キャラ友崎くん Lv.1』 p.44 より)

 キャラクリエイトの時点で差があるからどうしようもない、という理論を展開した友崎は――。

 そのまま日南の家に連れて来られた挙げ句、日南にすっぴんを見せられます。
 ――だいぶ印象が違ぇじゃねえか! 
 友崎、驚愕。

 見た目のクリエイトなんて後付けでどうこうできる。
 姿勢だって口調だって同じことだ。
 そんなことを、自分も愛するゲームで国内ランキング1位を死守し、2位である自分をしっかりと打ち倒すことができる同い年の少年友崎文也を『尊敬』しているからこそ、彼が『人生はクソゲー』を標榜しリアルで負け犬根性を発揮していることが許せなかった日南は、こう言い放つ――――。

 ――――だから、『人生』という『ゲーム』に本気で向き合え!


  ということでこの物語は、自身を『弱キャラ』だと思い込んでいた友崎文也少年の『目指せ強キャラ!』な成長記録である。


推しポイント。

 青春コメディ特有のわちゃわちゃ。

 友崎強キャラ改造計画、最初の内はマジでポンコツです。
 日南が「いやいや、なんでそうなるん?」と思っても仕方が無いくらいに、このふたりのキャラ差が存在してます。

 けど、ゲームに関する努力はしっかりとできる友崎くん。
 そこらへん攻略法を掴み始めれば、喩え人生であっても意外と覚えは良くて、陰キャ応対にも少しずつ改善が見られるようになります。

 で、『Lv.1』の最後は――、いやいややはり黙っておきましょう。
 名作が名作たる所以は、きっとココにある。
 やっぱり最後は『痛快さ』がないとネ。

 個人的にガガガ文庫さんはこの手の作品が『強い』印象ありますけど、これはその中でも強力ですね、間違いない。


続刊のお知らせ。

『Lv.9』まで刊行済み――なのですが。
 途中『.5』が数回挟まっているので、シリーズ全体では合計12巻出てます。

 ――いつもなら各巻の購入サイトリンクを貼るんですけど、ちょっと面倒なのでカット!!!

 でも、貼らないのはおかしいので、代わりに全巻リストを置いておきます。

https://www.shogakukan.co.jp/books/volume/44774


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