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河川:表情

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TOP画像は荒川の明戸河原(硬軟互層の選択侵食)です。
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漁撈:東彼杵の鰻塚漁

漁撈:東彼杵の鰻塚漁

2022.09.21-22
長崎県の東彼杵地域(大村湾の東岸)ではユニークな方法で鰻を捕まえる漁が行なわれている。
川を遡上する鰻が石と石の間に潜り込む習性を生かして、川の中に石を積んだ塚を作り、その中に入り込んだ鰻を捕まえるのだ。
興味があって見に行ってきた。

彼杵川の鰻塚漁長崎県東彼杵町

国道205号・彼杵大橋の上流側。川幅がだいぶん狭まっている。勾配が変化しているのか、ちょうど流れが起き

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空撮:地形:河川:天井川の三俣川(京都府南丹市、亀岡市)

空撮:地形:河川:天井川の三俣川(京都府南丹市、亀岡市)

大堰川(桂川)の支流、三俣川は天井川で知られている。山地から亀岡盆地の平地に出ても河床が高いままで、そのまま大堰川と合流している。国土地理院の陰影起伏図で見るとその流路が棒状に盛り上がっていて、天井川の様子がよくわかる。
今回は、この三俣川の天井川の様子をドローンで空から撮影するとともに、川に沿って歩いて地上からも観察してみた。

スタート地点は三俣川・官山川と大堰川(桂川)の合流点付近(京都府南

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空撮:地形:河川:安曇川の河口(滋賀県高島市)

空撮:地形:河川:安曇川の河口(滋賀県高島市)

比良山地から流れ出て琵琶湖に注いでいる安曇川、その河口は複雑な形状をしている。川の水流に沿って細長く砂州(自然堤防)が伸びていて、それらが幾筋も手のひらを広げたように広がっている。細長く伸びた先で枝分かれしてくれれば完璧なのだが、鳥趾状三角州の特徴を備えた河口になっている。
鳥趾状三角州とは文字通り鳥の趾(足)のように細く伸びて枝分かれをする形状の河口のことで、典型例としてはアメリカのミシシッピー

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空撮:姉川下流と高時川の濁水(2024年2月)

空撮:姉川下流と高時川の濁水(2024年2月)

姉川の河口をドローンで空撮してみたら、驚くような光景が広がっていた。川がコーヒー牛乳のように濁っていて、水に絵の具を溶いた時のように琵琶湖の中に流れ込んでいたからだ。
この日は確かに曇り空で時々霧雨も混じるようなぐずついた天候ではあったけど、これほどの濁水が出るような大雨ではなかったし、不思議だった。
本来は琵琶湖に突き出たカスプ状三角州の形状を空撮しに来たのに、一気に別のところに関心を持って行か

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空撮:地学:河川:白い川と黒い川

空撮:地学:河川:白い川と黒い川

穂高川(乳川)と烏川の合流点付近(長野県安曇野市)
合流点の手前、隣り合う川どうしで河原の砂礫の色が異なっている。穂高川は花崗岩地帯を流れ下っているため白っぽくなり、烏川は砂岩や泥岩の堆積岩地帯のため岩石の色を反映して黒っぽくなっている。

1960年代撮影の国土地理院の空中写真、白黒写真だが穂高川(乳川)と烏川の砂礫の色の差が明暗の差として写っていて、違いがわかる。 また、現在(2023年)と比

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空撮:河川:農業土木:筑後川・大石堰(福岡県うきは市、朝倉市)

空撮:河川:農業土木:筑後川・大石堰(福岡県うきは市、朝倉市)

江戸時代初期に建設された灌漑用水で、筑後川が右に蛇行(写真は下流側から撮影しているため左側)する場所に堰を設けて外周側に取水口を設ける「斜め堰」の典型例である。
往時の堰は昭和28年の水害で破損し、現在のものは昭和31年に復旧・改築されたものである。
筑後川左岸の約2,000haの水田を潤している。

空撮:河川:境川(富山県朝日町、新潟県糸魚川市)

空撮:河川:境川(富山県朝日町、新潟県糸魚川市)

古来より越中と越後の境とされ、富山県と新潟県の県境になっている川。下流部は幅200m程の河谷を作り、そのまま日本海に注いでいる。なお実際の県境線は川の右岸側に引かれている。

国道8号の県境(富山県側から新潟県側を望む)、境川に境橋

空撮:河川:地層:荒川の明戸河原(埼玉県深谷市)

空撮:河川:地層:荒川の明戸河原(埼玉県深谷市)

硬軟互層の地層を荒川が浸食して出来た川の中の小地形。同様のものは宮崎県・青島では「鬼の洗濯板」と名付けられて観光地となっているが、ここは特に観光地化はされていない。それでも明戸河原と名付けられていることから、古来より人目を引いてきたことは確かだろう。

空撮の時は気が付かなかったが、すぐ下流に大里用水(六堰用水)の江南サイフォン(逆サイフォンの原理で川底を水を通している)があり、その水路管が川底に

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空撮:河川:治水:阿賀川の山崎狭窄部(福島県喜多方市・会津坂下町)

空撮:河川:治水:阿賀川の山崎狭窄部(福島県喜多方市・会津坂下町)

水田が拓けていて狭窄部に見えないかもしれないが、会津盆地を氾濫原として流れていた阿賀川が会津盆地西縁断層帯(写真中の赤線)が造り出した丘陵に差し掛かり、丘陵内で穿入蛇行を起こして流れを妨げてきた。今日では流路をショートカットする捷水路が開削されている。捷水路を開削することで3箇所の蛇行(泡ノ巻、土堀、袋原)を解消し、総延長10,100mの流れを810mにまで短くしている。その分、水を素早く下流に流

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