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美術せんにんの記録

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2020年5月の記事一覧

【図録レビュ】2007.4.21東京藝術大学大学美術館「パリへー洋画家たちの100年の夢」

【図録レビュ】2007.4.21東京藝術大学大学美術館「パリへー洋画家たちの100年の夢」

日本人が描いた絵は日本画、西洋人が描いた絵は西洋画。
では、日本人が西洋画を模して描いた絵はどちらだろう。
中学高校では、油絵と称される絵。かつては洋画と呼ばれていた。
明治維新より、多くの志ある者たちがパリを目指した。
そんな者たちの遺した精華を紹介する展覧会が、
今回の「パリへ -洋画家たちの100年の夢」である。

文明開化の当時、パリもまさに印象派が花咲こうとしていた。
日本の若き画家たち

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”女になる”~「プリティ・ウーマン」

”女になる”~「プリティ・ウーマン」

男と女。
この関係は有史以来、ずっと問われ続けていた問題なのだろう。
ことさらに平等を訴えるより、お互いに異なる部分や魅力を尊重していく方がよりスムーズで、何より楽しいのではないだろうか。
今回は、1990年公開の「プリティ・ウーマン」

昔からこの映画の存在は知っていたものの、あまりの定番作品ということで見過ごしていた。観てみると安定の展開。もちろんいい意味で。主人公の仕事が企業買収会社の社長と

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【図録レビュ】2007.9.8サントリー美術館「BIOMBO/屏風 日本の美」

【図録レビュ】2007.9.8サントリー美術館「BIOMBO/屏風 日本の美」

展覧会に行ってとても満足感を味わったり、気に行ったりした時、図録を買って帰ることがある。しかし、買っただけで満足してしまって家で見返すことはほとんどなかったりするものでもある。
美術館に行けない日々が続いている今、家にある図録を読み返す良い機会ではないかということで、行った当時に思いを馳せながら、今見て心に残った点を紹介していってみたい。

今回は、
2007.9.8に行ったサントリー美術館「BI

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”知らない”ことはもう手に入らない~「初老耽美派 よろめき美術鑑賞術」

美術館もやっていない中、少しでも美術に触れようということで読んだ本を紹介したい。美術に触れたいならどうして画集を読まなかったのか、ということは置いておいて。

著者は、いずれも著名な美術史家。うち二人は私もよく足を運ぶ美術館の館長を務めている。
美術愛好家のはしくれとしては、著名な三人がどのように美術鑑賞をしているかは気になるところであるのだが。。

とはいえ、本書まったくアカデミックな話は出てこ

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