松本良平

精神科専門医、医学博士 精神科病院院長・医療法人理事長等歴任 株式会社マイシェルパ代表取締役 オンラインカウンセリングサービス「マイシェルパ」を提供 https://my-sherpa.jp/

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メンタルヘルスケアこそがヘルスケアの最重要領域である

私が講演や講義で、冒頭に、 必ず説明している事があります。 メンタルヘルス・ケアこそがヘルスケアの最重要領域である、と。 これは、私が精神科専門医だから、主張していることではありません。 データ、エビデンスに基づいた事実です。 WHOが開発した疾患による損失コストの指標に、DALY(Disability-adjusted life year)があります。  日本語訳は,障害調整生命年、わかりにくいですね。疾患による負荷を総合的に示す指標で,疾患や障害による早死だけでなく,

    • 今も昔も新卒入社の10%は3年以内に心身の不調を呈して退職している。

      最近の若者は、、、というのは、いつの時代も耳にするフレーズではないでしょうか。特に、最近の若者は、打たれ弱い、などと、私も耳にします。 はたして、本当にそうなのでしょうか。 厚生労働省では、実は1993年(平成5年)から、毎年、新卒入社の方の3年以内の退職者数やその理由を継続的に調査し公開されています。このNoteを執筆する段階で、2020年までのデータを参照しています。 3年以内に概ね3人に1人は退職し、退職理由の30%強に、「心身の不調」を挙げています。23歳前後の若

      • 「うつ」になっても誰にも相談しない子供と様子をみてしまう保護者

        2022年3月24日に国立成育医療研究センターから研究成果のプレスリリースがなされ、各種新聞やネット記事でも紹介されました。 小中学生6千名以上からのアンケート調査で、小学5~6年生の9-13% 9-13%、中学生の13-22%に中等度のうつ症状が認められるとの結果でしたが、それよりも大きな問題は 「うつ」になっても「誰にも相談せず様子をみる」こどもが25~51%というショッキングなものでした。 ですが、これが、日本の現状を物語っています。 ちなみに、 22~29%の

        • 再生

          京都で最大規模の産婦人科である足立病院のチャンネルで解説しました。

          今の世の中において、心身に不調を来すことは決して珍しいことではありません。信頼できる人を見つけて話を聞いてもらうこと、とても大切です。特に、精神科専門医や臨床心理士/公認心理師に気軽にカウンセリングを受ける機会があれば最も望ましいと言えます。 今回は、株式会社313 代表取締役であり、医学博士・精神科専門医である、松本 良平 先生をお招きして、オンラインカウンセリングサービス「マイシェルパ」のお話を伺いました。なぜ、このような斬新なサービスを作るに至ったのか?、そこにはカウンセリングを少しでも身近いにしたいという、熱い想いが秘められていました。ぜひ、ご覧ください! とご紹介頂いておりますので、是非とも、ご視聴頂けたらと思います。

          パニック障害③ 広場恐怖症という状態

          パニック障害の困難さは、その慢性期にある事については、既に言及してありますが、今回は、その点について解説していきます。 広場恐怖症(Agoraphobia)とは、実際に広場が怖い訳ではありませんが、精神医学では、歴史的経緯も踏まえて、呼称が残っているケースが多くあることをご理解ください(例えば、自閉症スペクトラム障害など)。 メンタルヘルス不調/疾患の診断のゴールデンスタンダードであるDSM-5の診断基準では、 A.  1.公共交通機関の利用(例:自動車、バス、電車、飛

          どうして、過労で自殺(自死)するのか。

          過労でなぜ自殺(自死)するのか、ということを疑問に思われる方は多いのではないでしょうか。 死ぬくらいであれば、休めば良い、辞めれば良い、と。 もちろん、労働者には休む権利も、辞める権利も、法的に担保されています。ですが、その当たり前の選択肢が取れない、そこが、この問題の本質です。 通常、心身の過労状態が続くと、ストレス性ホルモンにさらされて、脳機能(厳密には脳の構造も)が低下してくる状態になります。一般的にはうつ状態に該当する状態となります。冒頭の記事では、6割となって

          パニック障害② 日本では100万人以上がが悩まされている。

          DSM-5では、米国では2-3%の方がパニック障害を有しているとされていますが、各国によって、バラつきがあるとも報告されております。 日本では、0.67%、すなわち150人に1人が生涯の中でパニック障害を抱えるとの調査報告がなされています(D Nishi et al. PCN Frontier Review 2019).  なお、同論文では日本はどのメンタルヘルス疾患も有病率が他国に比べて低い報告がなされている点は議論を要するとしております。 私は、個人的には、「日本は先

          パニック障害①:症状や診断基準等について

          今日は、症状/疾患の解説をしていきます。 不安症群/不安障害群の代表例の1つであるパニック障害をとりあげます。 さて、パニックになる、とは一般用語化していますが、医学的なパニック発作とは、不安発作の中でも、下記のような項目を満たす、突然激しい恐怖ないし不安感が生じて、数分以内にピークに達するものをいいます。場面も、必ずしも限定されません。 アメリカ精神医学界の最新の診断基準(DSM-5)では、パニック発作の基準について、下記の13項目を挙げています。 ① 動悸等 ② 

          HSP(Highly Sensitive Person:ハイリー・センシティブ・パーソン)

          HSP(Highly Sensitive Person:ハイリー・センシティブ・パーソン) 私は、この言葉について、2年ほど前に患者さんから教えて頂きました。 その後、ネットニュースも賑やかすようになり、芸能人も自分が該当するなどと述べられて、話題になっています。 私が不勉強な精神科医だから、HSPについて知らなかったのでしょうか。 いえ、決して、そんなことはありません。 そもそも、精神医学的にも心理学的にも「確立されていない(コンセンサスをえていない)概念」だからで

          精神疾患(メンタルヘルス疾患)・メンタルヘルス不調の診断はどのように行われているのか ①

          精神疾患(メンタルヘルス疾患)・メンタルヘルス不調の診断はどのように行われているのでしょうか。 メンタルヘルス不調・疾患名の分かりにくさ、について① で解説したように、メンタルヘルス不調・疾患はまず重複が多いこと、状態名にフォーカスをして、状態名で説明している事が、分かりにくさを助長している事について解説しています。また、追加記事は出していこうと思っていますが、本日は、専門医による診断プロセスについて、解説したいと思います。 主なポイントは2つです。 ① 症状の有無② 

          メンタルヘルス不調・疾患名の分かりにくさ、について②

          以前の記事では、精神疾患(メンタルヘルス疾患)・メンタルヘルス不調の分かりにくさについて、重複が多いことと、状態名での呼称が多いことを挙げました。 今回は、診断プロセスにもつながるのですが、メンタルヘルス不調・疾患名の分かりにくさ、について疾患特異的な症状が少ない事について解説していきます。 「特異性」という医学的概念があります。 これは、あらゆる医学分野(ヘルスケア)で重要な概念なので解説しておきますが、症状や検査結果と診断が1対1の場合、特異的な症状・検査値といえるわ

          オーバートレーニング症候群

          東京オリンピックも残りわずかとなってきました。 選手たちは過酷な準備を経て本番に挑んでいますが、国や競技団体を代表し、選手キャリアをかけて、挑まれています。 選手をとりまく報道の中で、「オーバートレーニング症候群」について、いくつかの記事が出ています。 疲労は精神的なものと肉体的なものとに分ける事が出来ます。しかしながら、精神的な疲労(mental fatigue)は、認知機能(思考や判断の処理能力)やスポーツのパフォーマンスに影響を与える事は様々な研究で報告されていま

          プロスポーツ選手とメンタルヘルス

          プロスポーツ選手と題しましたが、今日紹介するトピックは主にプロサッカー選手のデータによるものです。 国際プロサッカー選手会(FIFPro)は1965年に設立された世界64か国のプロサッカーの選手会です。 選手会は選手の権利や健康を守る事が、その役割の1つです。 FIFProの公式ホームページで重要なトピックとして、メンタルヘルスが挙げられています。 元々、アスリートのメンタルヘルスは医学的にも、関心がもたれていたことでした。 2013年およびその後の追加で行われたアン

          トップアスリートとメンタルヘルス

          東京オリンピックも開催されており、様々なトップアスリートのニュースが話題となっています。 大阪なおみ選手が「うつ」を告白されたのは、多くのメディアで取り上げられました。彼女がメンタルヘルスについて繰り返し述べていたことから、大阪選手がメンタルヘルス不調を抱える事の遠回しな告白であることは容易に想像されるにも関わらず、世間は受け入れず批判し、最後に彼女が告白せざるをえない事態に至ったこと、それにも関わらずそのプロセスが不適切だというネット上のコメントが相次いだのは、残念でした

          不安と自律神経失調症

          自律神経失調症という正式な医学的病病名は無いとの解説を以前の記事で行いました。 それでも、自分は、うつなのか、自律神経失調症なのか、悩まれている方は多いのではないかと思います。自分は、確かに、自律神経の乱れは感じるのに、、、、と。 そこで、そもそも、自律神経とはなにか、を解説しておきましょう。 本来の定義では自律神経は交感神経と副交感神経からなる末梢神経を指します。 それぞれ、相反する作用をする事が多く、一つの臓器に双方でコントロールしているケースが多いです。 さまざま

          メンタルクリニックに通院している方のカウンセリング

          医療機関は病院(入院機能がある)と診療所・クリニック(主に外来診療のみ)とに分けられます。精神科・心療内科の診療所・クリニックをメンタルクリニックなどとも、呼称したりもします。 現在の日本の医療制度では、医師の技量や経験、また診療に費やした時間は殆ど評価されません。 メンタルヘルス・ケアに対してのニーズは高まる一方ですが、精神科専門医は既にキャパシティ・オーバーです。殆どのメンタルクリニックで、新規患者のスムーズな受付が困難となっています。 そもそも、一般的に、医師は、