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「うつ」になっても誰にも相談しない子供と様子をみてしまう保護者

2022年3月24日に国立成育医療研究センターから研究成果のプレスリリースがなされ、各種新聞やネット記事でも紹介されました。
小中学生6千名以上からのアンケート調査で、小学5~6年生の9-13%
9-13%、中学生の13-22%に中等度のうつ症状が認められるとの結果でしたが、それよりも大きな問題は

「うつ」になっても「誰にも相談せず様子をみる」こどもが25~51%

というショッキングなものでした。

ですが、これが、日本の現状を物語っています。

ちなみに、

22~29%の保護者は子供が「うつ」になっても、様子を見る

と回答していました。これも大変深刻な問題です。

うつ病のDSM5の診断基準ではA項目9項目の内5項目が2週間以上持続する、ことが挙げられています。
わずか2週間です。
 そして、一旦、うつ病になってしまえば、数か月から数年の経過を要する事が多く、治療して回復しても、再発率も高い事が知られてています。
 私は、日々の診療で、新規患者の診察をする場合、「あと1ヵ月早く受診してほしかった」と思い、大変残念な思いを抱いています。本格的な「うつ状態」「うつ病」に発展してしまえば、事後的対応になりますので、ご本人も苦しく、社会生活や家庭生活への影響も軽いものではありません。そして、治療が成功したとしても月日と労力を要するからです。

たとえば「がん」の治療に際して、進行するまで、様子を見よう、という人は居ないかと思います。

したがって、22~29%の保護者は子供が「うつ」になっても、様子を見る、という回答は、「医学的に明らかに間違っている」のです。そして、その間違った対応の結果を、精神科専門医が日常診療で引き受けていることが、今回の調査研究がなされた動機だったのではないかと、個人的には推察しております。

 ただし、その理由として、

「受診が必要なのか分からない」「どこの病院を受診したらよいのか分からない」という回答

がありました。
 誰が見ても明らかに状態が悪く受診が必要だ、という時は、実は既に事後的対応です。どうなのかな、ちょっと過剰かもしれないけれど、相談してみようかな、という早い段階であれば、1~3回のカウンセリングで終了します。ですが、そこを超えると、月単位・年単位の経過と高い再発率との付合いが必要になってきます。

一方で、「どこの病院を受診したらよいのか分からない」というのも、非常に深刻な課題です。
 そもそも、現在、全国的に殆どの精神科・心療内科では、すぐに受診予約が取れません。医療機関のキャパシティがオーバーしているからです。したがって、保護者がなるべく信頼できる医療機関を探して受診させたいという願いも虚しく、そもそも何日も何週間も待たされる事になります。
 ですので、大変、矛盾したことなのですが、様子を見るのは間違いではあるものの、すぐに受診させる、と言う事も解決にはならない、ということになります。また、各医療機関のキャパシティはオーバーしているので、じっくりと寄り添ってカウンセリングを医師が行うという対応もできません。平均的な精神科医が1日外来診療をした場合、少なくとも40名以上の診察を行っているのが通常ではないでしょうか。精神科専門医を増やせばよいのではないかと思われるかもしれませんが厚労省の方針もあり、医師数は削減されておりますし、今後は専門医数を絞る施策(専門医のシーリング施策)が実施されるため、精神科専門医はそのニーズとは裏腹に微減していく見込みです。したがって、ますます、受診予約は困難を極めることでしょう。

そこで、臨床心理士/公認心理師がその役割を担う事が期待されます。
まずは、臨床心理士/公認心理師に相談してみる事も良いと思います。カウンセリングを受けながら、回復が進まなければ、専門医の診断を仰ぐという順序も、現状では有効な方法と思います。

一方で、臨床心理士/公認心理師の養成カリキュラムや試験においては、「精神疾患とその治療」はわずか3~5%程度しか充てられておりません。
例えば、学研出版が発行する公認心理師必携テキストでは、索引を含めた630ページの内、「精神疾患とその治療」にはわずか十数ページしか割かれていません。また、その内容も21世紀の精神医学の進歩が反映されていないものに留まっています。したがって、臨床心理士/公認心理師はそのキャリアの中で、個々に精神医学的知見について勉強したり経験を積まないといけないのですが、その機会が十分に得られない、という業界背景があります。

マイシェルパには、精神科専門医の立場からも信頼できる臨床心理士/公認心理師のみが参加し、また、心理療法や、通常のカリキュラムでは学べない「精神医学的知見やスキル」を学ぶ場を定期的に提供することで、日々研鑽を積んだメンバーが集まっています。

もし、「誰に相談したらよいのか分からない」と悩まれて、相談するという行動をうつせない方がいらっしゃるのであれば、是非ともマイシェルパをご利用してみて下さい。スクールカウンセリングの経験も豊富で、必要であれば精神科医療にも適切に橋渡しできる、信頼に足るカウンセラーが皆様のサポートしてくれると思います。

実際に、最初は不安なので、親子で一緒にご利用されている事例もあります。

相談する事への制限はありません。
この程度で相談して、ということもありません。
相談する事は、生きていくのに必要なスキルです。
是非とも、1人でも多くの人が、信頼できる人に、相談する、相談出来る、という社会の実現に向けて、マイシェルパは取り組んでいきます。


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