パニック障害② 日本では100万人以上がが悩まされている。

DSM-5では、米国では2-3%の方がパニック障害を有しているとされていますが、各国によって、バラつきがあるとも報告されております。

日本では、0.67%、すなわち150人に1人が生涯の中でパニック障害を抱えるとの調査報告がなされています(D Nishi et al. PCN Frontier Review 2019).  なお、同論文では日本はどのメンタルヘルス疾患も有病率が他国に比べて低い報告がなされている点は議論を要するとしております。

私は、個人的には、「日本は先進国でもトップクラスの自殺率の高い」という事実からすれば、メンタルヘルス疾患の有病率が低いとは考えにくい、と考えています。では、なぜ、有病率が低くなるかというと、この手の調査研究(アンケート/インタビュー調査)の時に、様々な症状があっても、大丈夫、と答えてしまう方が多いのではないかと推測しています。

また、症状を受け入れない(症状の否認)が、メンタルヘルス不調/疾患では多いです。

元来、依存症は否認の病と言われる事が多かったのですが、実際に診療をしていますと、メンタルヘルス不調/疾患全般に対して、否認が多い、というのが私の実感です。

米国では、カウンセリングを受ける文化も社会に広く浸透しており、メンタルヘルスの問題に向き合う事、オープンにすることが、日本より容易と思われます。実際に、北米のカウンセリング市場は2兆円規模ですが、日本は100~200億円規模と推定されています。人口も異なりますが、それだけでは説明のつかない差異です。

話がそれてしまいましたが、これらの間接的な傍証を考慮すると、日本だけ、パニック障害の有病率が低い、とは考えにくい、とするのがリーズナブルです。

したがって

日本では、少なくとも84万人、北米並みとすれば、315万人の方がパニック障害およびその後の後遺症としての広場恐怖に悩まされている

のですから、自分だけどうして、と悩まないように、正しくケア/サポートを受けるようにして頂ければと思います。


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