パニック障害③ 広場恐怖症という状態

パニック障害③ 広場恐怖症という状態

パニック障害の困難さは、その慢性期にある事については、既に言及してありますが、今回は、その点について解説していきます。

広場恐怖症(Agoraphobia)とは、実際に広場が怖い訳ではありませんが、精神医学では、歴史的経緯も踏まえて、呼称が残っているケースが多くあることをご理解ください(例えば、自閉症スペクトラム障害など)。

メンタルヘルス不調/疾患の診断のゴールデンスタンダードであるDSM-5の診断基準では、

A.
 1.公共交通機関の利用(例:自動車、バス、電車、飛行機)
 2.広い場所にいること(駐車場、大型のスーパー)
 3.囲まれた場所にいること(お店、映画館)
 4.列に並ぶまたは人混みにいること
 5.家の外に1人でいること
B.
 パニック発作等や困った状態が起きた時のことを想像して、これらの状況を怖れ、避ける。
C.~I:省略

となっております。

Aの中では、高速道路を避ける方、お風呂やトイレ、エレベーターが怖いという方も多いと思います。A-3にあるように、「広場」どころか、「閉所」であるケースも含まれている事、ご注意ください。家族や知人と一緒でないと行動出来ない(D)、6カ月以上継続(F)という特徴も重要です。

典型的には、ご本人もそうですし、周囲も、どうして、そんなに恐れるの、ということで、日常生活や社会生活が長期間にわたって制限されてしまいます。制限とまで感じていなくても、本来「したいこと」「したい方法」を避けて生活して、そこに留まっている方々も含まれます。

米国では、直近12か月間の有病率は1.7%であり、女性の方が男性より2倍高いと報告されております。広場恐怖症の50%以上が、パニック障害からの移行であると考えられております。

したがって、パニック障害(急性期)⇒広場恐怖症(慢性期)という経過が高確率で生じているといえます。

各種ガイドラインで最も推奨される治療方法は曝露療法を含む認知行動療法です。

曝露療法(Exposure Therapy)は、自己流で実践してなんとなく克服してしまっている方も、実は多いかと思います。簡単に言えば、「不安・怖い状況を避けず、不安・恐怖心が収まるまで過ごす」という方法です。回避しだしている自分に気付いて、これででは良くない、と思い切ってトライしている内に、段々不安恐怖心が改善していくることを経験されたことはないでしょうか。これを、システマティックに行うのが曝露療法(Exposure Therapy)です。

ただし、

そもそも、自分が困っている状況・仕組みについて十分に理解・把握できていない、

1人ではどうしても怖くて実践できない

段階的に実践するにしても、アドバイスやサポートが必要

という方は、信頼できる精神科医ないし臨床心理士/公認心理師のカウンセリングを受ける事をおすすめします。

もちろん、時には服薬治療も有効ですが、本質的な改善は認知行動療法を行わないと得られないものというのが、日々診療をしている私の実感です。

不安や恐怖を回避することで失われている、本来のあなたの生活や人生を取り戻していく事、その助けにマイシェルパが役立てればうれしく思います。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
精神科専門医、医学博士 精神科病院院長・医療法人理事長等歴任 株式会社313代表取締役 オンラインカウンセリングサービス「マイシェルパ」を提供 https://my-sherpa.jp/