オワコン業界？真に受けてはいけない！【印刷/紙パルプ業界】の現在地

2021年4月28日 11:00

こんにちは！佐々木正人です。

近年、大きく変化している「印刷業界」「紙パルブ業界」について、
・現状の分析
・今後の展望
・与信管理上抑えるべきポイント
についてお話します。是非、最後まで読んで持って帰って下さい❕❕

テレワーク勤務に移行するにあたって、紙・書類がだいぶ減りましたね。
昔は大量の書類がデスクに山積みでしたが、もう久しく見ない光景です。

１．印刷業界の現状

印刷業界は大きく２つに分類されます。
・出版印刷：主に書籍や雑誌などを扱う
・商業印刷：カタログやチラシなどを印刷する

ご存じの通りインターネットの普及により媒体の多様化が進み、紙の需要が減少傾向ですね。

ここ20年で約40％ほどの市場縮小で、かなり影響が大きいですよね。

デジタル化はコロナ禍の前から拡大してましたが、テレワークの推進が追い風となり益々加速していますので、今後も厳しい状況が続きそうです。

印刷産業は変革期を迎え、様々な事業を展開し始めています。
特にM＆Aが活発で、異業種を巻き込む事業の多角化が図られています。

例えば、商業印刷で培ったノウハウで、マーケティングのサポートをしたり、デザイン等を支援するクリエイティブな分野まで様々です。

特に業界トップの「凸版印刷株式会社」は印刷事業以外の事業に幅広く取り組んでおります。
「TOPPANのこと、印刷の会社って思ってませんか？」
テレビCMでも最近流れてますね（笑）

また、海外企業の買収などを通してグローバル展開を目論む企業も増え、
新たな市場獲得を目指しています。
しかしながら、印刷業界は90％以上が、従業員数100名以下の中小企業のため、積極的な事業拡大を図れる企業は限られており、今後も淘汰されていくことでしょう。

続いて、紙・パルプ業界についてです。
紙製品は、新聞・雑誌・コピー用紙などの「紙」と、段ボールや紙コップ等の「板紙」の2種類に分類されます。

紙全体の需要は印刷業界同様、減少傾向で推移していますね。

前回、ライブコマースを記事にした通り、
新型コロナウイルスの影響でAmazon等のECサイトの利用が増え、
段ボール等の板紙の需要は伸びています。

また、昨年の緊急事態宣言の時には買占め騒動もありましたが、トイレットペーパー・ティッシュペーパー等の衛生用紙は需要が伸びましたね。

デジタル化の促進と、テレワークの普及で、今後もペーパーレス化の動きが続くと考えられるので、紙の需要回復はなかなか厳しい状況なのではないでしょうか。（出所：2021年紙・板紙内需試算報告）

ECサイト利用拡大の追い風で段ボールの需要は今後も期待されます。
新型コロナウイルスの影響で、公衆衛生意識の高まりから、国内需要だけでなく海外での需要が高まり、海外進出する企業もあります。

また世界的に環境意識の高まりでプラスチック製品の代替として、紙製品・パルプ製品の積極的利用が進んでいます。
「SDGs」という言葉も聞く機会が増えてきましたよね。

特にヨーロッパではストロー、容器が紙製品やパルプ製品の需要が増えてきているのもあります。
加えて、各製紙会社では環境にやさしい次世代のバイオマス素材、セルロースナノファイバーの開発にも注力しているようです。

セルロースナノファイバーは、様々な用途展開が期待でき、木材をチップ化･パルプ化するまで製紙と同一設備で活用が出来るため、新しい事業展開も考えられ、下図の通り様々な用途で使われそうです。

両業界ともトップ数社が圧倒的なシェアを保有しています。
・印刷業界：凸版印刷、大日本印刷
・紙・パルプ業界：王子 HD、日本製紙

取引の際には、業界トップ企業と資本関係があるか、大手の系列であるか確認する事が重要です❕❕

また両業界とも典型的な装置産業といわれており、顧客ニーズに対応するために、設備投資を継続しなければならないという課題があります。
どんな品目を扱っているのか、無理のない投資計画か、過剰投資になっていないか等、しっかりと確認することが重要です。

そして、紙関連の業界は、需要は回復が見込まれないため、引き続き厳しい状況が予想されるでしょう。
一方で、事業の多角化を図っている企業も多く、M&A を含む（事業・業界）再編や、海外進出等の戦略についてもしっかり確認しておくことが重要です。

この２つの業界の企業が数十年後、まったく異なるビジネスを展開している可能性も十分に考えられますね！

本日の内容は、以上です。
次回もお楽しみに！では！

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