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ガバナンス欠如で見えてきた問題の本質


 本日は、東芝の株主総会問題をコーポレートガバナンスの観点から話していきたいと思います。
日本でもコーポレートガバナンスを強化する取り組みが進められてきてますね。強化する目的は企業の不祥事を防止し、収益性を高めることであり、
その手段として、株主の視点から経営への監督機能の強化が図られます。

こんにちは、佐々木正人です
是非、最後まで読んで持って帰って下さい!!
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1.問題の概要

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既に知っている方も多いと思いますが、簡単に2021年6月30日時点までの
経緯を記載します。

事の発端は2020年7月、東芝の株主総会にて、"物言う株主(アクティビスト)"である海外ファンドが、自分たちの推薦する取締役の選任を提案したが、提案は否決されます

その後、2021年3月の臨時総会で選任された外部弁護士が、この経緯を調査し、2021年6月に「公正に運営されたものとはいえない」とする調査報告書を公表します。

東芝が経済産業省と一体となり、ファンド側の人事案に賛同しないよう
一部の株主に圧力をかけていたという指摘内容です。
この行動に対し株主は、東芝のコーポレートガバナンスへ高い不信感を抱くようになります。

そして今年の株主総会、取締役会議長が取締役に再任されるかどうか注目されていたが、結果として過半数の賛成票を得られず再任は否決されました。

2.コーポレートガバナンスの基礎知識

この問題について考えるために、「コーポレートガバナンス」の基礎を押さえておきます!

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コーポレートガバナンス(Corporate Governance)とは、「企業統治」と訳されます。「会社は経営者のものではなく、資本を投下している株主のもの」という考え方のもと、企業経営を監視する仕組みのことです。会社側は企業価値の向上に努め、株主に対して最大限の利益の還元を目的とすべきという考え方が根本にあります。
具体的な取り組みとしては、取締役と執行役の分離、社外取締役の設置、社内ルールの明確化などが挙げられます。会社側と株主との関係や、会社の経営監視がうまくいっている状態を「コーポレートガバナンスが保たれている」と表現します。
(引用:SMBC日興証券株式会社の【初めてでもわかりやすい用語集】コーポレートガバナンス (コーポレートガバナンス)

要するに、「株主の利益を最大化するために、経営を監視すること」を指します。

つまり今回の東芝の事例に沿って考えると、経営側の目的のために、株主の意思を操作して、意思決定をしたことになるので『コーポレートガバナンスが保たれていなかった』と言えますね。

コーポレートガバナンスが重要視されたのは、「バブル崩壊後」と言われています。バブル崩壊後、国内の大手企業やその子会社で、不祥事が相次ぎました。これらの不祥事により、株主などステークホルダーの損失が増加したため、企業経営を適正に統治することの重要度が高まるようになりました。

そして、実際に運営する企業側の一般的なメリットとしては、以下の点があげられます。

① 企業価値の向上
適正に統治されて経営が行われることをアピールでき、株主が安心して投資することができれば、企業価値が向上します。

② 不正の防止
企業を監視・統治することで、不正・不祥事を抑制することが可能です。
コーポレートガバナンスが適正にはたらいていればですが。。。


現状では、コーポレートガバナンスの構築を直接的に義務付けている法律はありませんが、「会社法」で株式会社の設立要件や、株主総会の定義、取締役の解任など、さまざまな会社統治の方法を具体的に定めています。コーポレートガバナンスについては、「会社法」を根拠として構築しているとも考えられます。

また、東京証券取引所(東証)は、コーポレートガバナンスの実現のための主要な原則を取りまとめた「コーポレートガバナンス・コード」を定めており、東証一部・東証二部の上場会社の場合は、コードの全原則について実施するよう定めています。

💡コーポレートガバナンス・コードについて

上場企業には「コーポレートガバナンス・コード」が適用されます。
これは、利害関係者(ステークホルダー)による企業に対する統治・監視を行うためのルールをまとめたもので、2015年に、東証と金融庁が中心となって策定しました。
5つの基本原則、30個の原則、38個の補充原則、計73原則によって構成されます。これを基準に行動するので、上場企業にはかなり厳しいコーポレートガバナンスが適用されます。

もちろん!東芝においても、コーポレートガバナンスについて、方針・体制が決められており、HP上でも開示されています。

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(画像引用:東芝トップページ > 企業情報 > 投資家情報 > コーポレート・ガバナンス

3.過去の不正会計問題

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東芝と言えば、2015年にも不正会計問題で、コーポレートガバナンスが問題視されました。

2008年から2014年にかけて、当時の社長ら経営陣が各事業会社に対して無理な利益目標を押しつけた結果、現場で利益の水増しなど数字の操作が常態化していました。

2015年の不正会計問題や、その後の巨額損失を経て、一層統治体制の整備に取り組んでいたはずですが、今回の株主総会問題によって、改めてコーポレートガバナンスが問題視される結果となってしまいました。

4.本質的な問題は「組織体制」よりも「組織風土」

東芝を例に見ても、不正会計が発覚する前からコーポレートガバナンスの体制整備には積極的に取り組んでおり、不正会計が発覚してからも改善措置を取っておりました。

つまり『組織体制は整っていたものの、長きにわたり社内で醸成された組織風土が、体制の適正な運用を阻害していた』と私は考えています。

実際に、不正会計問題の際も、社員は個人的な利益が目的ではなく、社内での評価や保身を目的として不正に関わっていたといわれており、当時の調査報告書でも東芝内の「利益至上主義」「上層に逆らえない風土」が指摘されていました。

不正会計問題の発覚後、「利益至上主義」「上層に逆らえない風土」は薄れたかもしれませんが、それに代わる現状の組織風土も、コーポレートガバナンスの適正な運用を阻害するものだったと考えられます。

今回の問題は、"物言う株主"との対立が発端で、関わったのは当時の社長ら経営層のみでしたが、「会社経営側の判断の順守・完遂が第一」「"物言う株主"の意見を採用しない」とする組織風土があったために、問題となった対応に至ったのかもしれません。
(経済産業省の意図もあったと思いますが、、、)

今後も、組織体制を変更して改善措置を取るものと思いますが、長期的な経営を目的として、本質的な改善を行う場合は、組織風土の変革が最も必要ではないかと個人的には考えています。

5.最後に

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コーポレートガバナンスについて、企業間取引の可否判断の観点からも考えてみます。

取引相手を評価する際に、「コーポレートガバナンス体制」を理由に取引可否判断する可能性は低いかと思います。コーポレートガバナンスについては“良い”“悪い”の基準はありませんし、体制が整っていないからと言って、必ずしもすぐに倒産に陥るとは言い切れません。

しかし、今回の事例のように明確にコーポレートガバナンス欠如が問題視されると、対外的な信用が低下させ、売買を敬遠する取引先が出てくることで、取引額の減少や業績不振につながる可能性も少なからずあります。
(現在と過去の取引先一覧を比較して、周りが撤退していないか?を確認することも一つの方法ですね)

上記のことから取引先を評価する際は
決算書などの定量的なものだけでなく、コーポレートガバナンス体制や過去に不正・不祥事を起こしていないか、起こしていた場合は再発防止のための体制が構築されているかなどの点も考慮する必要があると思います。

本日の内容は以上となります。
次回もお楽しみに!では!!




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