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売り手と買い手のメリット&与信リスク

 本日は、サブスクリプション(以下、サブスク)サービスのビジネスモデルについて考えていこうと思います。一般消費者向けのサブスクサービスの認知度が高いですが、法人向けのサブスクサービスも多く存在しています。
それらについて、売り手・買い手のメリットや、与信上のリスクについて考えていきましょう。

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こんにちは、佐々木正人です
是非、最後まで読んで持って帰って下さい!!
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1. サブスクとは?

まず、サブスクの意味や定義についてまとめます。
サブスクとは、サブスクリプション(subscription)の略で、英単語としては、「寄付」「会費」「署名」「購読」などの意味があります。

サービスとしてのサブスクの場合、正確な定義はありませんが、「定額料金でサービスを利用・提供すること」を意味します。具体的に言うと、製品やサービスそのものを購入するのではなく、利用できる“権利”を一定期間買い取る方式を指します。

最近では、定額料金の範囲内で、好きなだけサービスを利用できる形式が普及したため、 サブスク=“定額制で○○し放題”という認識を持っている人も多くいると考えられます。

株式会社矢野経済研究所の調査によると、2020年度のサブスクサービスの国内市場規模は消費者支払額で前年度比28.3%増2021年度は13.8%増と予測しています。

(表1)サブスクサービス国内市場規模の推移と予測

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引用:株式会社矢野経済研究所 
サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2021年)


このようにサブスク形式でのサービス利用・提供が増加している背景としては、「IT化の進展」「利用者の意識の変化」があげられます。

IT化が進展し、インターネットが普及することで、製品・サービスの提供スピードが上がり、それだけでなく、新製品や新サービスのリリース頻度も増加しました。

IT化の進展に伴い、利用者側も製品・サービスを利用する際の選択肢が増加しましたが、利用者の意識として、同じ製品・サービスを長く所有するよりも、状況に合わせて必要なものを必要なタイミングで使うことが好まれるようになりました。

2020年以降、コロナウイルス感染拡大の影響で、生活様式や働き方が大きく変わったことで、サブスクサービスの市場も大きく変化したと考えられます。

引用:株式会社ジャックス 流行中のサブスクリプション!その人気の理由とは

2. サブスクのビジネスモデル

皆さんはサブスクと聞くと、どのようなサービスを最初に思いつきますか?
私は、サブスクの動画配信サービスを利用することが多いので、動画配信サービスであれば、いくつかすぐに思い浮かびます。

以下は、株式会社KiZUKAIが発表したサブスクサービス市場のカオスマップ(業界地図)ですが、動画配信サービス以外でも、多くのジャンルでサブスク化されていることがわかります。

(表2)toCサブスクリプションサービスのカオスマップ 2021年度版

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引用:株式会社KiZUKAI
toCサブスクリプションサービスのカオスマップ2021年版を公開しました 

図ではBtoCのサブスクサービスに限定していますが、データ編集ツールや、タスク管理ツールのようなビジネスツールを法人向けにサブスクで提供している企業もあります。

また、今後もあらゆる製品・サービスがサブスクで提供されることが予測されます。それでは、これらのサブスクサービスに共通するビジネスモデルについて考えていきます。

サブスクサービスはいずれも、「ストック型」のビジネスモデルであると言えます。ストック型とは、顧客が継続的に料金を支払うことで収益を上げるビジネスで、定期的に料金発生の機会が発生するため、安定的に収益を確保できます。

そしてここで重要となるのが、“定額制サービス”との違いです。
従来の定額制サービスでも、サブスクと同様に、顧客が継続的に料金を支払うことで収益を上げることは行っていました。サブスクと定額制サービスとの違いとして、「提供内容」「期間」の2点があげられます。

定額制サービスでは、予め企業側が、一定の利益を獲得できるサービスの内容を設定した上で利用者に提供しています。
それに対しサブスクでは、利用者目線のニーズに合わせて料金やサービス内容が変化します。用途の異なる複数のプランが設定されているサービスや、基本プランを中心にプラン内容をグレードアップすることができるサービスが多いですね。

また定額制サービスは、一定期間または契約期間内で、同一のサービスを提供するので、企業側は顧客の獲得をすることで一定の収益を獲得できます。
それに対しサブスクは、一度獲得した顧客は永久的に解約をしないことを想定してサービスを提供するので、企業側は獲得した顧客に解約されないよう、日々、サービス内容の分析・改善が必要とされます。

3.売り手・買い手のメリット

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それでは、サブスクサービスの売り手と買い手にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

<売り手>
〇メリット
・売上、利益の計画が立てやすい
ストック型のビジネスモデルなので、顧客からは継続的な料金の支払いがあります。既存の顧客数や、見込みの顧客数から、将来の売上や収益を計算できるため、営業の計画や方針を具体的に立てることが可能です。

・導入障壁を下げられる
初期費用が発生しないことが多いので、顧客の導入障壁が下がり、新規顧客を獲得しやすくなります。

・顧客データの蓄積、分析がしやすい
常に多くの顧客がサービスを利用している状態なので、既存の顧客属性やサービスの利用状況を分析して、新規顧客の獲得や顧客満足度向上へつなげることが可能です。

〇デメリット
・短期で大きな成果を出すことが難しい
既存の顧客数を増やしていくことで、利益が上がるビジネスモデルなので、短期的に売上・利益を積み上げることは難しいです。

・顧客の解約のリスクが大きい
顧客の導入障壁を下げることができますが、その分、自社の顧客が他社へ切り替える可能性も大きくなります。

<買い手>
〇メリット

・利用開始しやすい
導入費用や固定費用が低いサービスが多いので、導入障壁が下がるため、利用開始しやすい。解約のタイミングも自由なので、複数サービスを併用して比較した後で、満足度の高いサービス以外を解約するという選択肢もある。

・タイミングに応じて、異なるサービスの提供を受けられる
固定料金内のサービス利用範囲が多いので、タイミングに応じて、利用する内容を選択することができる。

〇デメリット
・固定費用が発生する
利用の頻度が少ない場合でも、固定料金が発生する。

・解約時、製品やサービスが残らない
製品やサービスを利用できる“権利”に料金を支払っているので、解約時には利用した製品やサービスは手元に残らない。

引用:株式会社ROBOT PAYMENT サブスクリプションモデルとは?代表的なサービスやメリット・デメリットも解説

4.BtoBのサブスクと与信上のリスク

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ここまでサブスクについて、ビジネスモデルやメリットについて考えました。いずれもBtoCのサブスクのイメージが強いかと思いますが、BtoBでもサブスクでの製品・サービス提供をする事例が増えています

BtoBでも提供方針や利用方法は基本的に同じで、代表的な事例としては、PhotoshopIllustratorで有名なAdobeがあげられますが、ここ数年でソフトウェアのパッケージ販売方式から、サブスク方式(ライセンス方式)のみの提供に完全移行しています。
引用:アドビ株式会社 グループ版と他のプランを比較する

その他にも、国内のSaaS企業の多くがサブスクでのサービス提供を実施しています。※SaaS企業については、以前記事にしているので、あわせてご覧いただけたらと思います。

また、繊維機械・産業車両メーカーの豊田自動織機では、搬送車をサブスクでネット通販事業者などに提案する取り組みを始めています。

ネット通販事業者はリースと違い、短期間で契約を自由に途中解約できる柔軟性があり、自社の資産を膨らませず、常に最新の製品を使うことができます。また、自社の事業が拡大して軌道に乗れば、これらの製品を購入することも可能です。

一方、豊田自動織機は、サブスクによる売上拡大だけでなく、顧客の利用状況を分析して、顧客を囲い込み関連のサービスや製品をタイミングよく提案してさらなる収益を狙うことができます。

買い手側は、資産として保有するよりも、手軽に増減し最新機能を使いたいというニーズが強いので、BtoBのサブスクにおいては、上記のような業務用クラウドや車や設備などの企業向け製品を中心に伸びていくと予測されています。

引用:日本経済新聞 サブスクの波がBtoBに 常に最新機種で追加料金なし

そして最後に
BtoBのサブスクにおける与信上のリスクについて考えてみます。

BtoBのサブスクでは、導入費用や定額料金が低く設定されていることが多く、回収サイト・支払サイトも60日周辺で設定されることが多いので、貸倒が発生した場合でも、損失額は比較的少額になります。

それでも与信リスクは大きいです。今回は、自社が法人向けに、サブスクサービスを提案する場合の与信リスクを想定して考えます。

売り手側は、売上・利益の基盤となる顧客数を増やしたいという考えがあり、買い手側は、自社で資金が不足している場合でも、サブスクであれば利用開始できるという考えがあります。

つまり、「支払い能力が低い企業との契約が増える可能性」や、「既存顧客に占める支払い能力が低い企業の割合が大きくなる可能性」があります。

1社あたりの債権や損失額が少額でも、同時期に数件貸倒が発生するだけで、自社への影響は大きいです。

契約開始時に入念な審査をしている場合も、定期的な審査をしていない可能性や、定期的な審査がルール化されていても取引先数が多いため網羅的な見直しができていない可能性があります。またサービス内容によっては、新型コロナウイルスのような外的要因による、新規顧客数の減少や、既存顧客の倒産の可能性もあります。

つまり、BtoBのサブスクの場合でも、新規顧客の与信審査と、既存顧客の定期的な見直しと分析が必要であると言えます。

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本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみに!では!
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