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ショートストーリー「n氏の生活」

夢見るn氏は真面目に勉強もして、少しは名の知れた会社に就職した。

別段裕福ではないものの、食べることには困ることなく一応何不自由ない生活を送っていた。
朝6時に起きて、会社に行って、日が暮れる頃に仕事を切り上げて帰宅し、夕飯を食べて、寝て、朝6時に起きる。また会社に行って、日が暮れる頃に仕事を切り上げ帰宅し、夕飯を食べて、寝て、朝6時に起きて、会社に行って、日が暮れる頃に帰宅して、夕飯を食べて、寝て、朝6時に起きて、会社に行って、日が暮れる頃に帰宅し、夕飯を食べて、寝て、朝6時起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起床、出社、帰宅、食事、就寝、起………………………………….endless…

そんな暮らしを十年、二十年と続けた。
そしてある日、n氏はいつからか夢を見ていないことに気付いた。
どんな夢を見ていたのか、思い出そうとするもあの頃描いた夢を思い出せない。
ただ分かるのは、"一番なりたくない大人になってしまった"ということだけであった。
あの頃、何をやりたくて、どうなりたかったのか、それはもう誰にもわからない。
子どもの時に父親に言われたことを思い出す。
「いいか、やりたいことやれよ。人と同じことしてると俺みたいにくだらん大人になっちまうぞ。わかったか、よし、いい子だ。」

n氏は、今日も朝6時に目が覚めた。

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