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地味に続く介護

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故郷に残る一人親への対応を中心に、関連する話題を書いてまとめています。黄昏時のサラリーマンが直面しつつ、あまり会話に出てこない内容なので、斜め読みして頂くことで取っ掛かりとしてお…
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2020年11月の記事一覧

進む認知症④(人の例も聞いてみる)

進む認知症④(人の例も聞いてみる)

母との面会を終えて帰宅。夕食後、母とのやり取りの顛末を妻に話した。すると妻は「あなたやお義姉さんって、周りに認知症の人っていなかったの?」と尋ねてきた。

そう言う妻の祖母も、生前に認知症を患っていたようだ。ふらっと家を出て帰って来ず、田舎の隣近所が総出で捜索したりすることもあったらしい。

妻の祖母は、妻が小学校低学年の時に亡くなったそうだが、幼いなりに「おばあちゃん、変だ」とは思っていたという

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進む認知症③(忘れられることをやむなしと思えるか)

進む認知症③(忘れられることをやむなしと思えるか)

「お母さん、覚えていないでしょう? お昼に食べた物だって覚えていないんだから、先月に会ったことだって忘れちゃうよね」

少し、気の毒な質問であったかも知れない。しかし、ここで母が
「お昼ごはんなんて食べていない」
と言い出さなかったことは、ホッとした。もしそう言い出したら、更に認知症が進んでいることになるからだ。

母の脳裏に(もしかしたら目の前のこの二人は自分の子どもで、本当に先月にも来ていたの

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進む認知症②(理屈と情のせめぎ合い)

進む認知症②(理屈と情のせめぎ合い)

しかし、冷静に考えるとおかしい。我々が自分の子どもだと認識できていないのであれば、何で「赤の他人」に対して2年ぶりだと無沙汰を責められるのか?

単に「よく見かける人」であるならば、そういう反応にはならないだろう。ちぐはぐな気がした。

更に、今まで我々が会うようにしてきた努力が、きれいに忘れられてしまった事実は、残念ではあるが仕方がない。まさに認知能力の喪失が原因である以上、能力が失われたことを

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進む認知症①(一線を超えたと感じた時)

進む認知症①(一線を超えたと感じた時)

新型コロナウイルス感染者数は明らかに増加し、先行きが大いに心配される。

こういう情勢の下、母の入居する老人ホームの対応が気になった。既に一度、面会禁止措置を取った先例があるからだ。

再度の面会禁止措置もあり得ると考え、姉にその旨を伝えた。姉もそれに同意し、二人で面会に行くことにした。

幸い、まだ面会はできたが、面会の時間が限定されていた。そして、入室前に手洗い、うがい、検温に加え、健康状態に

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人が住まない家

母親が足を骨折して介護付有料老人ホームに入居後、空き家になった我が実家。躯体はまだ問題がない。

庭については既報の通り。当初、段々荒れて雑草が生えてきたため、防草ネットを敷き詰めて防御。それでも、わずかな隙間からヤブガラシが生え、隣家に侵入する等エライことになったので、庭師さんに草取りを発注することにした。

家の中も、ベースは特段問題ないように見える。しかし、畳の一部が青々としており、イ草が再

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新型コロナ第三波? の私的影響

ここのところ、新型コロナウイルスに感染する人が確実に増え、第三波? と言われている。

2ヶ月前あたりから、「同じ曜日で比較すると段々増えてきている」との声もあるにはあった。しかし、あまり関心を持たれないまま、現状に至った。

Go To トラベルやGo To Eat等の国のキャンペーンについて、私も思うところはあるが、このnoteの本筋ではないので差し控える。ただ私は、オーソドックスにマスク・手

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差し入れのお菓子

母のいる老人ホームは、毎日3食+おやつを出してくれる。従って、敢えて食べ物を持ち込む必要はない。

しかし、そうは言っても母も好きな食べ物はある。さすがに食事は持ち込まないが、姉や私は面会の度に母の好きなお菓子を買って差し入れていた。

しばらく経った時に、ホームの職員から「差し入れのお菓子ですが、豆菓子はノドに詰まらせる可能性があるので、やめて頂きたい」とのご指導を受けた。羊羹や団子等は良くない

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記憶違いは受け流す

俗説で、「お年寄りは、昔のことは覚えているのに最近のことはすぐ忘れる」というのがある。しかし、それにはまだ先がある。

その状態の次に、記憶の新旧や紐付く個体が入れ替わるようになり、昔のことでもすっぽり記憶が抜けてなくなる部分が出てくるようになる。

更にはその抜けた部分がどんどん大きくなって、わが子であっても認識できなくなってしまう。

先に進めば進むほど、つき合わされる我々は精神的にかなり辛く

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減少する年賀状に思う

前回に続いて年賀状ネタではあるが、少し切り口を変えて考える。

年賀状は、私自身の送る数も年々減っている。その要因を考えると、
①先方から返事が来なくなった(含:転居先不明で返送)
②先方が亡くなった
③「老齢故に年始の挨拶をご遠慮したい」旨のハガキがきた
がある。

恐らく、人生のある時点で友人知己の数は最大となり、その後減っていく。実際私は、50歳を超えたここ数年、新たに年賀状を出せる相手に巡

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現金のない生活

今は、○○ペイやICカード払いも浸透し、実際に現金を使う頻度が極端に下がっている。

しかし我々の親世代は、まだまだ現金信仰が根強い。日本の現金への信頼度の高さが、マネーの電子化で世界に遅れを取る原因であったとも言える。

実は、私が若い頃に居住していた職場の寮は、全てツケであった。食事は喫食カードに食べる日に○を付ける、ビールやジュース、カップラーメンも備え付けのノートに記入するというやり方で、

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老人ホームでのゲーム

老人ホームは、ただそこにいるだけの場所ではない。少なくとも、春夏秋冬のイベントや、クラブ・サークル活動に力を入れている施設が多い。

衣食住のうち衣は家族側で用意しなければならないが、三食提供してくれて、住まわせてもらえれば、家族側の最低限の要求は満たされると思う。

更に日々の様子を見てくれて、体調不良であれば医者に診せてくれる、そして定期的な健康診断を受けさせてもらえるなら、家族側がそれ以上に

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食べ物ファースト

「年を取ったので、脂っこいものが食べられなくなった」、或いは「あっさりしたもので、量もそれほど取らなくて良い」等という意見をよく聞く。

お年寄りあるあるなのだけど、近年どうもそうじゃないのではないか、という説を見聞きするようになった。むしろ、健康を維持するためには、ある程度は脂を含むものも取るべきだし、あっさりしたものだけだと栄養が偏り、カロリーも不足するというのだ。

そういう話を聞くと、食べ

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老夫婦の業務分担は、ある意味で諸刃の剣

老夫婦の業務分担は、ある意味で諸刃の剣

こちらにお越し頂き、ありがとうございます。
あなたのお役に立てれば、幸いです。

さて……

老夫婦が日々の生活を営む上で、業務分担することはよくある。私の実家の場合、調理、洗濯、部屋の掃除は母の分担、皿洗い、買い物、庭の木々の世話、風呂掃除は亡父の分担であった。

この分担が公平なのかはご意見もあると思う。でも、あの世代として見た時に、亡父はかなりやっている方に属していたと思う。

ただ、分担が

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