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【あらすじ】君たちに明日はない 読書記録24

君たちに明日はない

垣根涼介


世の中の多くの人間は「会社員」として、どこかしらの会社から「雇われ」ていることで給料を得ている。

会社員であることは、「雇われ」ではあるが、世間的には信用するに値する立場の人とも言える。

例えば、会社員は固定で決まった給料をもらうことが保証されているため、それを信用として借入をすることができたり、ローンを組んだりすることができる。

つまり、この現代においての会社員は、とても”強い”立場であると言える。

しかし、世の中にはその会社員が所属する「会社」というものはごまんと存在しており、一言に会社員とはいってもいわゆる”ピンキリ”状態である。

目的、目標を持って毎日の仕事に懸命に取り組んでいる人間もいれば、一方でいわゆる”窓際社員”の人間も存在する。

もちろん例外はあるが、世間的に「日系大手」と言われる会社では、仕事の出来栄えに関係なくだいたい同じような給料が支払われる。

よって”窓際社員”が生まれる。

本書では、「会社員のクビ切り」を請け負う会社の一会社員が主人公で、自分の担当になった会社の「クビ切り」業務を遂行していく話である。

会社でクビ切り社員を選ぶときは、結果、成果を出せていない人間、または給料に見合った仕事をしていない人間=会社として手放したい人間である、ということが、会社側から社員をみた時の選定軸であることが多い。

つまり、”窓際社員”はクビ切りの対象になりやすい。

ここまでは一般的に、「そりゃそうだろ」の話だと思うが、本書では、「クビを切る側」と「クビを切られる側」(複数人)のプライベートが描かれている。

仕事に対する自分なりの信念やプライドがある、且つプライベートが存在しており、簡単に会社を辞めることができない、やめたくない
vs
仕事を他者から請け負っている以上、必ず遂行しなければならない、且つプライベートが存在しており、相手の言い分にだらだら付き合ってはいられない

こんな構造になる両者の公私を描いている。

人生100年時代と言われる現代で「君たちに明日はない」ことを宣告させたときに、震え上がるほどの恐怖に襲われる人間はどれくらいいるだろうか。

従来のように、会社に「雇われ」ていることは”強く”、将来を約束されているという時代はもう終わった。

これまでのように、公私を隔てて生きていくという世界はもうこれから先の人生には訪れない。

これまで以上に、「会社」に頼ることがリスクとなる時代が訪れる。


「君たちに明日はない」


こんな言葉に負けない人生を。



〇読書記録


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