珠玉の短編①
珠玉の短編(山田詠美)
〇サヴァラン夫人
・「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあててみせよう」
ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン
・この世の中は、自分探しをしたい人々で溢れかえっている。
・まずい空気をまとった人に近寄ったら、魅力のない人間になってしまうから気をつけよう。
・陽の気が勝った人が現れると言っても、その陽の気を活かしている訳ではありません。はしゃぎ過ぎの自爆寸前状態で、息切れしながらやって来るのです。
・どんな化粧をほどこすより、心根の素晴らしさによって皮膚のつややかさが引き立てられ、その唇からは聞く者の琴線を弾く美しい声が発せられるのです。
・「禽獣はくらい、人間は食べる。教養ある人にして初めて食べ方を知る」
食べものを食べるということは生命を維持するために必要不可欠なことですが、動物と人間の違いは、「おいしい」という概念を加えることです。
〇珠玉の短編
珠玉・・・特に優れたもの、傑作などを意味する表現。元は真珠と宝石を意味する語。文学や音楽など幅広い物事について言う。
・彼女の定義する「男だてらに」は「男のくせに」と非常に良く似ている。
・男が、らしからぬ状態に身をやつすのは、
その描写が小説の出汁であるからだ。ただし、そこには自嘲というおいがつおが必要。
ああ、おれって奴は、という風味を漂わせてこそ、男だてらに男のくせにという、総括すると女々しいで言い表せる主人公、で読者を魅力することが可能なのである。
・行間を読むって、その眩しさに目を細めることだったのね。
・支配下に置かれて、言いなりの珠玉の短編作家になるくらいなら、自らの意志で立ち向かい、返り討ちにあって果てたい。あ、死ぬことはないか。
〇箱入り娘
・上手く立ち回って良い目を見ているように見える人間をどうにか成敗してやりたいと思うのは、大人も子供も変わらないようです。
🚬754本目
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