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珠玉の短編②

珠玉の短編(山田詠美)

〇生鮮てるてる坊主

・男女間の友情について議論する人々が未だ存在していることには呆れてしまう。そういう輩に何をどう説明したってわかりこない。だって、性欲抜きに異性を大事に思った経験のない人達なんだもん。違う人種。

・何年かに一ぺんはこうしたら良かったのかもしれない、と。そう孝一に伝えたら、彼は笑って言った。
「そう思えるなら、もうしなくても良いのかもな」同意した。今度こうなるのは、またお前の涙声を聞いた時だ、と孝一は言った。


〇骨まで愛して…みた

・地味で目立たないことと、恋の訪れの頻度には何の因果関係もない。自分をモテない男と卑下するのはもうやめよう。これが最後の恋と思い込むのは間違っている。自分は未来を見くびっていた。

・愛よりも憎しみの方が、いつだって潔いのだ。

・「甘いお酒とスウィーツ、そして、それよりももっと甘い愛。最高だわ!」



〇虫やしない

・台所の生ゴミの中に湧くのは猩猩蠅。

・猩猩とは酒飲みの酔っぱらいを意味する。

・「むしやしない」は、京都でおなかの虫を養うという意味でした。空きっ腹にぐうと鳴るおなかの虫をなだめる軽い食事のこと。関東で言う小腹ふさぎと同じ意味のようです。

・ちょうど、というのが「むしやしない」の真骨頂。



〇鍵と鍵穴

・気が利く?いいえ、心づかいです。


〇100万回殺したいハニー、スウィートダーリン

・本当は知っていたのだ。百万回殺したいと思う方が、一回死なれるよりも、はるかにましだということを。



〇言葉用重箱の隅つつき病 あとがきにかえて

・私は思うんです。そんな軽い気持ちで「クソ」を使ってもらいたくない、と。
そこの美しいお嬢さん、あなたの発する「クソ」は、そのお口を汚していくばかりなのです。「クソ」ではなく「糞」だったらと想像する力を持ってください。
あなたが、ひと言「糞」と言うたびに、ひとひらのウンチがこぼれ落ちてきたとしたら。
それでも意に返すことなく、唇の脱糞を続けていたせいで、周囲が恐ろしい様相を呈して来た


🚬755本目

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