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だから人は本を読む③

だから人は本を読む(福原義晴)

第6章
出版・活字文化の大いなる課題

・編集者の役目というのは、書き手の意欲を十分に高め、その意欲を継続させ、読み手が喜ぶような本を作ることが目的であるはずだ。求められる本にできる限り近づける俯瞰の視点をもたなくてはならない。そこに至らずに、自分が作りたい本を追い求めて編集者が自己実現をしてしまっては困るのである。

・読書カードをわざわざ送ってくださる読者は、かなりその本に対して強い思い入れや言いたいことを持っている大切な読者である。

・書展に売っていない本を、版元に直接電話してみると「いくらでもありますから、今でしたら送料はいりません。お送りします」という返事がかえってきたりすることもある。「本離れ」というより「書店離れ」なのではないか?

・いまは、「ワン・トゥ・ワン」マーケティングの時代に変わりつつある。

・図書館は宇宙に例えられますよね。本は散らばった星ですよ。図書館での読書体験は、この星と星をつないで星座を作ることだと思う。それを最低限支えてくれる空間であってもらいたい。

・これから社会に出る人には、自分で学ぶべきことを見つけ、自分なりの手段で解決できる人になって欲しいと思う。簡単に手に入る情報やノウハウ、あるいは上からの指示を待っているというような生き方では、自分の力を伸ばすことはできないのだ。

・PISAの調査では、日本の自由記述問題の無答率は、他国と比べて高く、それがコミュニケーション能力の欠如となっているばかりか、択一質問しか答えられない日本人を作ってきたのである。


〇あとがき

・世界中で、世の中はルールを作るグループとそのルールの中で競争し、あるいは単純にゲームを楽しむ人々の二極にわかれつつあるようだ。

・ゲームのルールを作るグループに入るのは試験で決められるものではない。人間の持つあらゆる面が世の中の判定によって総合点とされるのだ。
しかもそれはいつもほんの僅差でしかない。
その僅差を支配するのが精神力・健康などと並んで識見というものに違いない。
しかもその大部分は読書や交友によって助けられるものなのである。
ルールを作る側に立つことを好まない人たちにも、人生を充実し豊かなときを過ごすためには読書の意味がとても大きい。
何につけても本を読もう。


🚬759本目

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