【簡単あらすじ】ホワイトラビット(微ネタバレ)【伊坂幸太郎/新潮文庫】
警察vs籠城犯vs泥棒 全てを、疑え!
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私は伊坂幸太郎さんの作品が好きなので、当然この作品も読みましたが、期待通りで大満足の一作です。
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主な登場人物は、
① 黒澤
「被害者を後々まで怖がらせないためのメモを置いていく等の、奇妙なマイルールを持っている」というプロの空き巣。
②兎田
「ある犯罪組織でそれなりの地位にある」が、会社勤めの奥さんと幸せに暮らしているという一面も。
③オリオオリオ
コンサルタント兼詐欺師
④佐藤家
一般家庭?
⑤夏之目
宮城県警察本部特殊捜査班所属の警察官
という五人(五つのグループ)に分かれていて、各視点を行ったり来たりしながら物語が進行していきます。
この物語に登場する各グループは、当然ですが、所属する人物も場所も考え方も行動も実情も全てが違っています。
それが、各グループの物語が進んでいき、最終的にはパズルのようにピッタリ綺麗に当てはまる、伊坂ワールドの傑作です。
さらに、その違いを上手く利用して伏線をはるのですから、ホントいつも楽しませてもらっています。
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今回も、さりげなく挿入されている、ある二人の会話が後々の場面で大きな意味を持ってきます。
物語が進み大きく展開した際に「あー、そういえばそういう描写があったな」と気づかされたため、一度その場面まで読み戻り、そして、同じような(伏線と思われる)描写が他にも隠されてないかな(あったら見つけてやるぞ)と思いながら、もう一度読み直すものの見つけることが出来ず、結局また意表を突かれる、そしてまた戻って読み返す、の繰り返しになるので、結果的にこの一冊を複数回読み直すことになります。
話によってはこの作業をダルく感じてしまうのですが、物語自体が面白く、読み返してみると一度目とは違った印象をうけたり、途中になんだかんだあったとしても、全部の登場グループが、ベストエンドではなくとも、上手い具合のグッドエンドに収まっているという、読後のさっぱり感から、全く不快に感じないところが、伊坂さんの物語の好きなところです。
舞台が仙台という私が良く知っている所でもあり、いつものように物語に引き込まれました。
もし、「伊坂幸太郎の小説で、まず何を読めば良いか」という他人からの質問があった場合には、この物語も、候補の一つに入る作品と言って良いと思います。
これからも、伊坂ワールドを楽しんでいきたいと思わせる一作です。
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