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【簡単あらすじ】和菓子のアン(微ネタバレ+和菓子クイズあり)【坂木司/光文社文庫】

高校を卒業したばかりの愛らしい女性・梅本杏子が働く「デパ地下和菓子店・みつ屋」は、個性的な従業員達と、ちょっとした謎をお持ちのお客様の来店でいつも大忙し。

そんな日常にちょっとしたミステリーが潜んでいます。



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『はじめに』
酷かった花粉の飛散もようやく収まり、窓を開けると爽やかな風を感じるポカポカ陽気という、絶好の読書シチュエーションを得られる時期が到来しました。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

以前も記述しましたが、私の母は某流派のお茶の先生をしており(地位は高くありませんのであしからず)、実家に帰ると多くの場合はおやつの時間に和菓子を食べる生活を送っており、そのため、ほんタメで紹介された際に興味をそそられ購入しました。

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主人公の梅本杏子は、いまいち自分のやりたいことがはっきりしないまま高校を卒業します。

その後、杏子は「これではまずい」と一念発起し、アルバイトを探すのですが、採用されたのは、東京百貨店デパ地下の和菓子店「みつ屋」
ここが舞台になります。

みつ屋には、

① 店長の椿は、見た目では年齢の分からない雰囲気と知性を持つ上品な女性。しかし、何でも株に絡めてしまう悪癖も。
② 自身の中に乙女を飼っている、和菓子職人志望のイケメン店員立花
③ 元ヤン桜井先輩。

という個性豊かな従業員がおり、さらに、みつ屋には、様々な問題を抱えたお客さんが来店し絡んでいきます。

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1.十個の和菓子、ただし一つだけ違う種類を注文するOLさん。しかも、次の来店の際には九個の和菓子の注文に変化していた…

2.坊主一歩手前の短さの髪型にサングラスをかけ、前面に虎と龍のセーターを着ている男性は、「腹切り/半殺し」など物騒な用語を連発する。
この男性の来店目的は?

3.移動に六時間以上もかかる距離への移動なのに、わざわざ東京で七夕関連の和菓子を購入する若い女性。
現地で購入せず、クール便も使わない理由は?

4.椿店長が、同じフロアの洋菓子店アルバイトに「手のかかるお兄さんね。ここの人は知っているの?」と耳元でささやくと、そのアルバイトの顔色が変わった。何故?

5.日本版フォーチュンクッキーの「辻占(つじうら)」
ある日みつ屋に入荷した辻占の中身は白紙になっていた…

など、読者に刺激を与えてくれるミステリ的要素も散りばめられているため、和菓子という派手なテーマでない作品にも関わらず、飽きがこないどころか一気読みしてしまいました。

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※最後に和菓子クイズです。

Q. あんこを使った素朴な和菓子と言えば、ぼた餅とおはぎが思い浮かぶと思いますが、この二つの違いは何でしょうか?




シンキングタイム




答えを見ても大丈夫ですか?




A. ぼた餅・おはぎは基本的に同じお菓子です。

ただ、ぼたん(牡丹=春)、おはぎ(萩=秋)、ということで作る時期によって名前が変化します。

また、別解として、ぼた餅は「あんこだけ」で作られる。
おはぎは「きな粉やゴマ・青のりなどをトッピングすることもある」そうです。

※諸説ありますので、そのうちの一つの解釈です。


上記のような、和菓子についての印象的なエピソードや器具の秘密など、読了することで和菓子の世界について少し詳しくなるうえ、和菓子が食べたくなる

「登場人物が亡くならない、ほのぼのお仕事系ミステリー」

です。

庭の花の名前を九割方覚えることが出来ない私のような人間でも、とても読みやすい文章で、充分に楽しめる作品でした。



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