13. 就職なんてしないと思ってた③

エンタメ業界と言えど、就活は割とオーソドックスなところが多い。そしてライブハウスのバイトにも言えることだが、やめる人も多い業界、フィーリングとなんとなくやれそうなやつを採る、というのは致し方ないことだと思う。

私の就活へのセカンドチャレンジは、できるだけ期待しないように、気負わないように、ただ素直に。進めていった。
春の採用で諦めがついていたのもあって、どうせ受かるはずがないと思っている方が気が楽だった。

イベント会社と、音楽事務所の2社。書類が通り、採用はほぼ平行して進んでいった。

イベント会社の方の一次面接は、「自分の身近な人にこの会社を説明してください」というものだった。
4人のグループ面接で、私は最後に答える。
最初の子が演劇部出身で、面接官をお母さんに見立てて渾身の演技を披露し始めたところから場の空気がおかしくなった。
次の人も、更に次の人も謎の芝居を披露した。
最後は私。
恥ずかしくて私だけ普通に話した。淡々と。
結局そのグループでは私だけが受かった。

二次面接は、役員面接。
私の働いていたライブハウスの社長と知り合いだったらしく、その話をした。
その頃ちょうどバイトで社長に頼まれたブラッディメアリーをめちゃくちゃ濃い目で出してしまい、すごく怒られたときだったので、話し方が暗くなってしまった。
(のちにその役員から、体調悪かったのかと思っておまけで合格させてあげた、と言われた)

そして気付けば最終面接。書類提出から1ヶ月もない間にここまできた急展開に、自分でも信じられなかった。最終面接まで進んだこと自体始めてだった。

最終面接は、社長面接だった。服装自由で来てください、と言われたので、なにを思ったからチェーンがついたパンツを履いていった。
座った瞬間、社長に「君はロックなのか?」と笑顔で聞かれたので、「グランジっすね」と答えた。
面接では「社長をデートに誘ってください」という課題を出された。そんなこと聞く?と焦ったけど、地元の秋吉台を見に行きましょう、と言った。
(他の人もクラブに行きましょう、スキー行きましょうみたいな、結構個性の出る回答だったらしい)

数日後、社長秘書さんから電話がかかってきた。採用となりました。

採用となりました。

びっくりしすぎて全く言葉が出なくて、電話越しにすごく心配されたのを覚えている。その場で親にも電話した。就活状況をほとんど報告していなかったので、突然のことで母は「?」という感じだった。

音楽事務所の方は、一次面接のあと論文提出があった。
音楽業界の中でのOJT・off-JTについてどう思うかという課題だったと思う。
ライブハウスのバイト経験から感じたことをそのまま書いた気がする。
そんなにマニュアルのある業界だと思っていなかったので、「そんなもんだと思う」レベルのことを書いた。

論文もなぜか通り、最終はその論文を持って社長面接だった。
音楽業界は座学はほとんどない、現場で学べ、みたいなことを言われた気がする。

そして後日、封書が届いた。

「採用通知」だった。

どうせ何も起こらないと思った就活セカンドチャレンジ。意外と凄いことが起こってしまった。
9月の終わり頃、私は2つの採用を手に震えていた。


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