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働き手が活躍して利益を生むのが採用だ! 人を育てる職場の話

採用は、山本五十六の名言の如し

採用に苦しむ企業が日本国中にあると思う。
先日、広告代理店やWEB求人広告会社での勤務時代の経験から、
「採用戦略なんて、概ねコレしかない!」という記事を書いたところ、
いいね率が高く、採用に関して多くの人が悩みのタネや関心事になっている気がした。

そこで、再び、採用に関する私なりの考えをお伝えしたいと思う。
みなさんは、下記のような言葉をご存じであろうか。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ。 話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば人は育たず

日本国 第26、27代連合艦隊総司令官 山本五十六

山本五十六氏の言葉である。元々、山本五十六氏のこの言葉は漫画「働きマン」で初めて知った気がするが、人は動かじまで以降を知ったのはそれからだ、これほど人を成長・育成させる上で素晴らしい考え方はないと思う。

第二次世界大戦渦中の山本氏がこの言葉を残してから、日本は数十年経っているが、なぜ、現場でこの考えが根付いていないのか疑問であり、悲しさでしかない。私から言えば、たぶん、この言葉を多くの人が知らないからだ。山本五十六という素晴らしい人物の人間が遺したのにも関わらず。

さて、人材育成に関してはこの山本五十六さんの名言を引用する方も多いが採用に至ってもこの考え方を前提にして採用しなければ、仮に採用成功したとしても、人を育てる、或いはやりがいのある職場環境でなければ、人は去っていくことになる。

言ってしまえば、人事や経営陣は採用活動を展開するのではなく、人を育てる、或いはやりがいのある職場環境の整備から取り組まないとならない。現実は同時並行が望ましいだろう。

人を育てる職場、やりがいのある職場環境とは何か?

人を育てる職場とは、一言で言うと、コミュニケーションが円滑で活発な職場だと考えている。

疑問に思ったことを口にして、きちんと回答が得られるし、そのことを咎められることもない。あくまで組織として、効率の良い方を考え、共有し、収益や利便性を高めていく、人間関係の良い職場。企業体が小さければ小さいほど、この考えは必要だ。でなければ、人材の定着などあり得ない。

ただ、必ずしも、人を育てるでなくとも、人が育つことはあり得る話だ。職場の中で切磋琢磨し合うことで、人を競わせ、営業成績で評価するような形は、自分がどう案件を売るか、成果を出すかを第一に考え、他者の育成より、自分がどう結果を出すかが求められる。つまり、自己研鑽を積み、独学で自己のスキルを高めていくことで、個が育つスキームだ。

私は独学で人が育つスキームを否定しない。むしろ、人は自分の思うことを突き詰めた方が一番集中できると考えている。だが、前者であれば、人の力を借りつつ、良好な人間関係を築きながら毎日を過ごす、人を育てる職場からは、成長スピードはゆるやかでも、人が去ることは少ないだろう。

独学で一人でも結果を残せる人材は、より結果を出すために、他者へ移ったり、起業したり、組織に頼らなくてもいい実力がある。どちらも、個人にとっては良い話だが、企業側にとっては成績を残す人材の流出にも関わる大きな問題だ。その人材がいなくなれば、引き継いだとしても、収益構造にマイナスに働くこともある。つまり、ジレンマというやつだ。

そして、もうひとつはやりがいのある職場。
やりがいのある仕事の話ではない。

やりがいのある職場とは、上記の人を育てる又は個で育つ職場のように、他者のために頑張ろう、仲間と共にがんばろうと思える職場環境があればこそだと考える。座る椅子が腐っているとか、パソコンモニターがひび割れているだとか、ハード面もやりがいには関係するだろうが、一緒に上を目指そうと思える職場はやりがいにつながるだろう。尊敬できる人と一緒に働くだけでも、やりがいになる。

一方のやりがいのない職場は、会話がない、同僚であっても、一人一人が個人営業状態。だったら、リモートワークでいいじゃないかと思うが、そこはアップデートされずに、8時間オフィスに閉じ込められるか、会社に寄り付かない(内勤の場合。外勤の場合は社内でその姿をほぼ見かけない)。
そんな人間を繋ぎ止めているのは、収入或いは、会社の知名度くらいのものだろう。

毎年、新しい人材が入り続け、数年経って、中堅層が離脱しても、中堅層と同程度のスキルで成長し、そのサイクルを継続できるなら、後者でも十分なシステムだと思う。リクルートはそのようなシステムだろう。

だが、中小企業において、新しい人材が入り続ける確率は限りなく低い。
新しい人材が入り、人が残る職場を作るならば、人を育てる職場に舵を切るのがベストだろう。

釣った魚に餌をやらないでは、いけません

採用決定後、採用された側は職場に配属され、働くことになる。
すると、専ら管理はその職場に委任される。
管理者は、人材育成の専門家だろうか?
おそらく、業務の専門家だろう。
しかし、採用チームや担当者は採用後は縁が切れるくらい疎遠になる。
彼らは、会社の新しい一員をまた探す業務をしなければならないからで、採用後の人間のことはあくまで、給与管理や年末調整くらいでしか関わらなくなる(でかい会社になれば、なるほど)

上司or職場ガチャに外れる→辞職

そうなってしまっては、採用に掛けたコストが無駄に終わる。人事・採用担当の労力は何だったのだろうか。

一人一人、声を掛けて「がんばろうね」とか「かわいそうだね」と声を掛ければ良いと言っているのではない。

上司や職場との意見交換。或いは、職場間で人材をトレードしたり、職場から離脱しても、活躍できるシステムがあればいいだけのことだ。それを提案するのは現場ではなく、人事又は経営層だと思う。現場は現場で、利益を生むので精一杯だ。

採用は、採用して終わりではない。採用後に、活躍してもらってこそ、採用の本質である。ただ、給与を与え、生活をしてもらうことが企業側の使命ではない。それは単なる慈善事業だ。企業は、社内外含めた自社に関わるすべての人材、引いてはこの世界に生きる人を幸福にするためにあるはずである。

その前提の下、人が活躍できる環境、風土づくりを担っていかなれば、これからの企業は、企業規模に関わらず、採用活動も事業継続も存続していくことは不可能だろう。

一言で言うなら、小手先だけの採用成功を実現しても、中身が伴っていない(魅力的ではない)企業には人は定着しない。


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