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儚い女と惨めな男


私は踊り子のよう

くるくる回って
振り付け守って
あなたが欲しがる女を演じる

小さな世界に閉じ込められて
窮屈な檻に縛られて
女はとても、息苦しい

ずっと何かに怯えている

私なんか、
いらないんじゃないかって

私じゃなくても、
いいんじゃないかって

愛が欲しい
溺れていたい

どうせ息なんて、出来やしないんだから

いっそ窒息死するくらいの
苦しいぐらいの愛をください

何時しかの安寧を
愛しさの充足感を
私はずっと、求めている

もう、疲れたの
誰か私を連れ出して

あの世界へ



冷たい夜風が頬を切る
一つの雫が頬を伝う

私は泣いている
そう、私は泣いているのだ

誰か、私のために泣いてくれる人はいますか
私のために、涙を流せる人はいますか

そしたら私がワガママ言って、
いっぱいあなたを振り回したい

あの輝きが欲しいの

恋でもしてなきゃ
生きてく意味が分からない

ねえ、お願い
誰か私を愛して



僕を傷つけていると分かっているくせに
君は愛を差し出せと言ってくる

いいよ、君が望むなら
本当に、最低な人だね

君は一体、
何に傷ついてそうなってしまったんだい

僕は君が抱える寂しさの
一番傍にいたいんだ

何かの折に
君を奪い去ってやろうなんて
そんなことを想っているんじゃなくて

君があの時、
僕の前で泣いてたから

寂しいって、言ったから

泣くなよって、
居場所はここにあるからって、
言いたかった

僕だって寂しかったから

寂しさと寂しさが合わさることで
この傷が癒えるんじゃないかって

そう思っていた

辛いんだね、寂しいんだね
傷ついたんだよね

大丈夫だよ、
そう言いたかった



君は言葉の割に
僕を拒んだりしなかったから
どういうつもりだったのか、
ずっと疑問だったんだ

でも、ようやく分かったよ
どうして君があんなに酷いことをしたのか

僕も最低な人になったね
軽蔑されても仕方がないさ

それでも手に入れたいほど、
愛って眩しいんだね

君が今も笑っていればいいな



どんなに望んでも
どれだけ手を伸ばしても

本当に欲しいものは
手に入らなかった

欲しいとさえ、言えなかった

見てくれだけの輝きが
私の心の奥底を犯す

傷つけてごめんなさい
私はあなたを愛しているの

いや、これも嘘かもしれない
私はあなたを好きじゃないわ

それでもあなたが私のことを
まだ好きだというのなら
私はあなたに抱かれて死にたい

最後に一つだけ
私のワガママを聞いてくれますか






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