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惚れてガルーダ ーインドネシア本ー

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インドネシア関連のノンフィクション、小説、エッセイ、紀行文、専門書等を集めたマガジンです。インドネシアに関して勉強している人、インドネシア関係で仕事している、インドネシアに興味が…
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インドネシア本(12)「インドネシアの歴史 (世界の教科書シリーズ)」 イ・ワヤン バドリカ著

インドネシア本(12)「インドネシアの歴史 (世界の教科書シリーズ)」 イ・ワヤン バドリカ著

教科書という割には独立運動以降の現代史に頁が多く割かれていたり、抵抗運動の指導者像の説明が微に入り過ぎていたり等、日本人がインドネシア史の網羅的な知識を得るというより、インドネシアで将来を担っていく子供達が自国の歴史をどう教わっているか、どう伝えられたいかを目的に書かれた書籍。

日本人にとっては、インドネシアで日本植民地時代がどう教えられているかを知るだけでも読む価値はある。

インドネシア本(14)「インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス50」 小野耕司著

インドネシア本(14)「インドネシアで仕事をする時の小話的アドバイス50」 小野耕司著

インドネシアでビジネスを行う際に知っておくべきポイントを、小野耕司氏の経験に基づいたエピソードやアドバイスを交えて紹介した書籍。

インドネシアでのビジネスにおいて、文化や人間関係、コミュニケーション、ビジネスマナーなどについて、具体的な例や実体験を交えて解説している。また、著者が現地で経験したトラブルや失敗例も交えて、注意すべき点を示している。

読み進めるにつれ、インドネシアの文化や社会的背景

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インドネシア本(13)「狂気の時代」―魔術・暴力・混沌のインドネシアをゆく リチャード ロイド パリー著

インドネシア本(13)「狂気の時代」―魔術・暴力・混沌のインドネシアをゆく リチャード ロイド パリー著

英『ザ・タイムズ』紙アジア編集長および東京支局長によるインドネシアにおける暴力、混沌、そして魔術に関する調査と分析をまとめた三部構成のルポルタージュ。

一部がカニバリズムが衝撃的なボルネオ島(カリマンタン島)のダヤク族とマドゥーラ族の民族抗争、二部がスハルト時代の終焉時のジャカルタの混乱と学生デモの鎮圧事件、三部は東ティモール独立時の混乱とに暴力について。

インドネシア社会において起こる暴力や

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インドネシア本(11)「ジャムウの物語」ノファ•デウィ•スティアブディ著

インドネシア本(11)「ジャムウの物語」ノファ•デウィ•スティアブディ著

ジャムウとはインドネシアの伝統医薬品で、 何世紀にもわたって継承されてきた植物性漢方薬。
ジャワ語で、“植物の根や葉などから作られた薬”という意味で、コロナ禍や健康志向の高まりであらためて注目を浴びていると同時に、インドネシアの若い世代がおしゃれにアップデートしてビジネスを展開している。

当該本はそのジャムウのレシピや効能、美容効果、又、ジャムウの歴史やインドネシア各地の紹介、著名な愛好家の話等

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インドネシア本(10)「女が学者になるとき」倉沢愛子著

インドネシア本(10)「女が学者になるとき」倉沢愛子著

インドネシア研究の第一人者として知られる倉沢名誉教授の半生記。女性が科学者や学者になるために直面する様々な課題や問題を分析し、解決策を提供する本。

女性が学術界に参加する際に直面する性差別や偏見、仕事と家庭の両立などの問題を詳しく説明している。また、女性が学者になるためには、自信を持って自分の意見を主張することや、自分のキャリアを管理するための戦略を持つことが必要であることを強調している。

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インドネシア本(9)「インドネシア駐在3000日」坂井 禧夫著

インドネシア本(9)「インドネシア駐在3000日」坂井 禧夫著

かつては赴任前研修の副読本に使われたこともあるそうで、インドネシアをよく知らない人にとっては興味深く感じるであろうエピソードが並んでいる。

但し筆者は2005年までのインドネシア駐在の為、少し内容が古いところもある。ジャカルタではもうバイクに4-5人乗っている様は見かけないし、傘小僧もモールにはもういない。

この本で秀逸なのはそれぞれのエピソードにインドネシアの諺がページの下部に添えられてい

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インドネシア本(8)「珈琲の哲学 ディー・レスタリ短編集 1995-2005 (インドネシア現代文学選集)」ディー•レスタリ著

インドネシア本(8)「珈琲の哲学 ディー・レスタリ短編集 1995-2005 (インドネシア現代文学選集)」ディー•レスタリ著

「あなたとインドネシアをつなぐ人生と愛のテーマを18篇収録」〜本文より〜

インドネシアの作家であるディー・レスタリによる短編小説集で、コーヒーに関する物語、人間の人生や愛情、家族や友情、社会の問題などについて考えさせられる作品が多数収められている。

この短編集を通して、インドネシアの文化や社会についても知ることができ、興味深く読むことができる。平均年齢が若く、20歳以下が1億人いるインドネシア

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インドネシア本(7)「インドネシアと日本―桐島正也回想録」 倉沢 愛子著

インドネシア本(7)「インドネシアと日本―桐島正也回想録」 倉沢 愛子著

「日本との国交が樹立された直後の1960年以来、激動のインドネシアにとどまり、50年にわたってビジネスを展開してきた男の物語」〜本文より〜

桐島正也氏は小説『神鷲(ガルーダ)商人』の主人公のモデルとして知られていて、第二次世界大戦後にインドネシア初代大統領スカルノの要望に沿い、かのデヴィ夫人に随伴しインドネシアへ渡ってから、2019年に亡くなられるまで半世紀にわたってインドネシアで手広く事業を展

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インドネシア本(6)「利権聖域 ロロ•ジョングランの歌声」 松村美香 著

インドネシア本(6)「利権聖域 ロロ•ジョングランの歌声」 松村美香 著

「菜々美の従兄・稔は8年前、新聞記者として赴任したインドネシアの東ティモール独立紛争に巻き込まれ死亡した。最後の便りはロロ・ジョングラン寺院の写真だった。」〜本文より〜

第1回城山三郎経済小説大賞を受賞した小説で、内容はタイトル通りといってよい。作家は青年海外協力隊に参加した後、途上国の開発コンサルタントをしている方で、当該小説もODA(政府開発援助)絡みに関する裏の内容は鋭い。日本はインドネシ

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インドネシア本(5)「渦巻く南方」岡村テツヲ 著

インドネシア本(5)「渦巻く南方」岡村テツヲ 著

25年間、東南アジアに住んだ筆者が綴るインドネシアで経験したエピソードを語ったエッセイ集。

軽い話だけでなく時に重い話だったり、驚嘆の話もあるのだが、なぜか軽やかでのんびりした熱帯の雰囲気が感じられるのは筆者の洒落た文章からだろう。

インドネシア人の人生観やインドネシア華人に関する分析等、さすが長いこと住まわれていただけあって鋭い指摘だ。

今のジャカルタと比べて当時は生活の不自由さはあるの

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インドネシア本(4)「赤道 星降る夜」 古内一絵 著

インドネシア本(4)「赤道 星降る夜」 古内一絵 著

「祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。旅先で出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶」〜本文より〜

インドネシアが第二次世界大戦終戦までの3年間、日本に植民地にされていたのを知っている日本人は多いと思うが、終戦間近に今のカリマンタン島で実際に起こった日本軍による現地住民への弾圧事件である「ポンティアナック事件」がモチーフとなった小説。

カリマンタン島西カリマンタン州の州都ポンティアナック

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インドネシア本(3)「腐敗と寛容 インドネシア・ビジネス」 中原洋 著

インドネシア本(3)「腐敗と寛容 インドネシア・ビジネス」 中原洋 著

「官民あげての贈収賄が、大らかな風土のなかで受け入れられていく」「汚職と楽天の風土の光と影」

2005年出版当時の当該本の帯に書かれている宣伝文句だが、汚職捜査機関があるKPKが存在する2022年現在も以前より少なくなったとはいえ、収賄・汚職のニュースは絶えないし、腐敗行為に「寛容」な文化はまだ社会に存在するという認識で間違いないだろう。

インドネシアに12年駐在した筆者は国としての多種多様な

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インドネシア本(2)「アドゥー サバール プルダニア―実録インドネシア日系合併銀行の50年」NNA取材班 大住昭・工藤裕子著

インドネシア本(2)「アドゥー サバール プルダニア―実録インドネシア日系合併銀行の50年」NNA取材班 大住昭・工藤裕子著

旧大和銀行がインドネシアで設立した合弁銀行・現りそなプルダニア銀行の開業から半世紀の歴史を描いたノンフィクション。

インドネシアに限らず海外(特に新興国)での新会社・新規事業立ち上げをする人はもちろん参考になるし、表層的ではなく短い駐在期間だとしても根を下ろして現地でビジネスをしたい人はそのウエットさに共感、経験との重ね合わせができるシーンが多々あるノンフィクションだと思う。

今のインドネシア

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インドネシア本(1)「神鷲(ガルーダ)商人」深田祐介 著

インドネシア本(1)「神鷲(ガルーダ)商人」深田祐介 著

戦後賠償ビジネス利権を背景にインドネシアの政治家達の思惑と日本の商社マン達の劇烈な商戦が絡み合うストーリーで、インドネシア関連のビジネスをする日本人の間でまず名前が上がる小説。

東日貿易(のちの伊藤忠商事)の元社員・桐島正也さんとデヴィ夫人等、実在の人物達がモデルとなっていることもあり、フィクションの名を借りて歴史事実を描いたほぼノンフィクションの小説。当時のビジネスのダイナミックで烈々たる話に

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