家族よりも家族感があるシェアハウスの暮らし【はちとごインタビュー#4】
はちとごインタビューとは?
茨城大学の近くに「はちとご」という住み開きシェアハウスがあります。住み開きとは、家屋の一部を地域に開放すること。「はなれ」と呼ばれる空間がコミュティスペースになっており、大学生に限らず、子どもから大人までたくさんの地域の人が立ち寄る場所になっています。
はちとごインタビューとは、シェアハウスに住んでいる住人を含め、これまでにはちとごに関わってくれた人を対象に取材をし、はちとごの実態や魅力を発信していく企画です。
本日のインタビュイー
「離れている家族よりも」
――ゆうきくんははちとごが誕生した当初から住んでいる唯一の住人ですよね。入居した2年前の話を聴きたいんですけど、どうして入居することになったんですか?
「あさみと!」(水戸で開催されている朝活イベント)で隼さんにナンパされて入居したって感じですね。元々4万5000円くらいのところに住んでいて親に払ってもらっていたんですけど、休学しているし、はちとごに住めば家賃安くなるし、自分で払おうと思って、はちとごに入居することにしました。
――住人としていちばん長いわけじゃないですか。その2年間のなかで印象的なエピソードはありますか?
僕は折に触れて泣く人なんですよ。結構、感情が揺れる人なんです。めっちゃメンタル不安定なときもあるし、追いつめられるといったん泣いてリセットする人なんです。
――どういう折で泣くんですか?
家族ものの映画とかアニメとかドラマ見て泣いちゃんですよね。シェアハウスって家族みたいなものじゃないですか。家族もののコンテンツを見ていて、「あ、やばいやばいやばい」と思って、すっといなくなることはありましたね。
あと、追いつめられて発狂したことがありました。2022年の1月に、ゲーム会社でインターンをしていたんですけど、一部在宅で仕事をしていたんです。その業務がきつすぎて、限界になって、ばっと抜け出して、どっか行っちゃったんです。
――なおくん(現5日住人)やひかるさん(現5日住人)から聞いたんですけど、卒論、手伝ってもらったんでしたっけ?
9月の時点で全然進んでいなくて、インタビュー動画の製作も全然進んでいないやばい状態で、10月始まったときに、そろそろやばいって気付いたんです。映像は先に撮っていたんですけど、理論とか仮説とかなくインタビューしていたんですよ。「やばくない?」って隼さんに言われて、みんなに手伝ってもらいながら、成果物に肉付けをしていくような形で進めていきました。一人暮らしだったら絶対に卒論書けていなかったと思いますね。
――そうですよね。絶対留年していましたよ(笑) 他に、印象的なエピソードはありますか? はちとごにいて「ああ、いいな。幸せだな」という瞬間など。
僕、飲み会とかでも、はじっこの方で2人くらいでしゃべっているのが好きなタイプなんですよ。はちとごでもそういう瞬間が結構あるんです。集団に属しているけど、1人でいるのが心地よくて、集団を俯瞰して「なんか、いいね」と眺めるのが楽しい。中心にいるのがあまり楽しくないタイプなので、外から楽しそうな人たちを見てにやにやするのが好きですね。
――他の人もそうなんですけど、このイベントが良かったというより、日常のこの瞬間が良かったと話す人の方が多かったんですけど、ゆうきくんはどうですか?
僕、あんまりはなれに行かない人だったんですよ(笑) 平たくいえば人見知りで、同じメンバーでもリビングで話すのと、はなれで話すのは違う感覚なんですよね。はなれは広いし、みんな動くし、なんか、怖いんですよ(笑) だから、あんまりイベントにも参加していませんでした。
――そうなんですね(笑) そんなはちとご生活、2年もいれば、何かしらやらかしたエピソードもあるんじゃないですか?
卒業するまではフル住人だったんですけど、めっちゃ家賃滞納してましたね(笑) 普通にお金がなかったこともありますが、機材を買ったりして払えなかったんですよね。24万円を一気に払うことを2回くらいしていました。
――24万円一括!?
そう。だから、フル住人で2年いて、家賃払ったの2回くらいですよ(笑) 住み始めて半年以上家賃を払わなかったイカれたやつですよ。最近は経済状況も落ち着いてきてちゃんと払うようになりましたが、隼さんじゃないと許されなかっただろうし、優しい世界だなと思いました。
――いろいろあった2年間、はちとごに来る前と今とを比較したときに、考え方の変化や成長したなと思う部分はありますか?
一人暮らしをやめてシェアハウスで住み始めてすぐに変わったわけじゃないけれど、去年の冬くらいからはなれに行けるようになりました。
今までは必要以上に構えてしまう性格だったんですけど、はちとごで暮らすようになって、相手を先入観なしで受け入れたいなと思うようになったし、人に対する恐怖心が少なくなってきました。はちとごは思ったより優しくて、いろんな人の感性や価値観を知られるからなのかもしれません。
だから、はなれにも行くようになって、他の住人から「最近変わった?」と言われることが多くなったんです。
――今、動画や写真を撮る仕事をしていて、いろんな人と関わると思うんですが、はちとごでの変化や成長がそこにも通じている気がしますね。
あんまり直接考えたことはなかったんですけど、コミュニケーションがより円滑になっている気がします。あんまりかっこつけてても仕方ないから、腹の内を見せて、大人に甘えることも覚えてきました。
――もうすぐお引越しをするわけですが、今後のはちとごに期待することとか、ここは変わってほしいなと思うことはありますか?
僕は、人が好きだからいるんですよ。別にはちとごという場所じゃなくても、このメンバーだったら阿字ヶ浦にいても好きだし、東京にいても好きだと思うんですよ。だから、引き続きこのメンバーで仲良くしていきたいし、関わっていきたいなと思います。離れている家族よりも家族感ありますからね。
――最後に、隼さんに何かメッセージをお願いします。
隼さんにほめられるとうれしいんですよね。なんでなのかはよく分からないんですけど、ずっと見てくれてる感があるし、ずっと一緒にいるからお兄ちゃんくらいの気持ちでいるからなのかなと思います。
人が変わったり、場所が変わったりしますが、こういうテンションの場所があってほしいなと思います。好きとか愛とか見えずらいタイプなんですけど、結構好きですね、もしかして(笑)