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TANKA

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現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
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#人間

現代短歌 《知らなくていいこと》

現代短歌 《知らなくていいこと》

出来るだけ馬鹿なままでいてほしいのねそうねわかった空っぽ演じる

考えりゃ一つも得は無いのにさ角立てぬよう従う愚かさ

話さないそうさ言わずに書くんだよ掴んだことは決して離さぬ

生意気だ?大人しく見える私に騙されたのはお前のほうだよ

聞けるだけ聞き出してみれば出てくるわどれだけこちらが舐められているか

好きだねえ知っていることひけらかすあたしは煽てて情報を盗む

いつまでも同じ手口でいけるか

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現代短歌《表面、裏面》

現代短歌《表面、裏面》

救済を求めた逆立ち意味もなく巣食うお前は厄介者だよ

「美味しいね」顔見合わせて言う台詞ごめんほんとは味がしなくて

裏地はね所詮裏地で表には出しては着れないあなたなら着れる?

靴下の色柄に見る明るさと着込んで隠した空っぽのこころ

「かわいい」と「かわいらしい」の狭間こそ褒め言葉だけど越えられぬ溝

お気に入りレインブーツが履けるかな?水たまり写る憂鬱な瞳

「優しいね」そう言われても胸の内渦

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現代短歌《日々こぼれ落ちる》

現代短歌《日々こぼれ落ちる》

夢でみた魚になって泳ぐ君水槽の狭さ気になりつつも

時が経ちあなたの色がくすんでも私が汚れりゃ相乗効果で

坂道は上って下って歩くだけ今どの地点か分かりはしないよ

目を閉じて探してもあなた見つからず何処に居るのか雨粒を覗く

宝石のような瞳に映るのはいつも遠くの見知らぬ景色で

「分かり合う」などというのは不自然だ寄り添い互いを理解するのみ

やさしさは何かと問えば分からないやさしくなくても惹き

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