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テレサ・アマビール、スティーブン・クレイマー『マネージャーの最も大切な仕事』

監訳:中竹竜二
訳者:樋口武志

🌺3業界、7企業、26チーム、1万2000の日誌調査、35年以上のマネジメント研究から分かった科学的に正しいマネジメントとは?

インナーワークライフ(個人的職務体験)

を生み出す環境を作ること。

🌿そのために必要なのは3原則

1.進捗の法則(やりがいのある仕事が前に進むよう支援)

・小さな勝利

・ブレイクスルー

・前進

・目標の達成

※やりがいのある仕事とは?

病人のケアや貧困の撲滅のようなスケールでなくても、自分の仕事が自身やチームや家族にとって価値はあるものだと認識すること


2.触媒ファクター(仕事がうまくいくよう支援)

・明確な目標設定

・自主性の尊重

・リソースの提供

・十分な時間の提供

・仕事への手助け

・問題と成功からの学習

・活発なアイディア交換

※アイディアを尊重し、協調し、コミュニケーションを取るということ


3.栄養ファクター(気持ちよく働けるよう支援)

・尊重

・励まし

・感情的サポート

・友好関係

※人間関係のこと。相互尊重の無いチームは波及効果でチーム全体の進捗を遅らせる


🌿3原則で生み出すインナーワークライフ(個人的職務体験)は3つで構成されている。

1.認識(職場での出来事に対する状況認識)

・組織

・マネージャー、チーム、自分

・仕事

・達成感

2.感情(職場での出来事に対する反応)

・ポジティブな反応

・ネガティブな反応

・全体的な気分

3.モチベーション(その仕事への熱意)

・何をするか

・それをするかどうか

・どうやってするか

・いつするか


🌿インナーワークライフがポジティブな時、パフォーマンスの4要素を高める(インナーワークライフ効果)

1.創造性

2.生産性

3.コミットメント

4.同僚性

特に創造性に関しては、

・認識(チームからのサポート)を感じると高まる

・感情(ポジティブな気分)だと最大で50%高まる

・モチベーション(内発的な動機すなわち関心や仕事へのチャレンジなど)があると高まる

また、視野と思考が拡張され、ミクロではなくマクロで見る傾向も高まる


🌿インナーワークライフ効果の3つの現れ方

1.作業への集中

2.プロジェクトへのエンゲージメント

3.懸命に働こうとする意欲


🌿まとめ

会社が繁栄するためには、経営陣及びマネージャーは部下に対してポジティブなメンタルが持てるよう支援しなければならないようです。

そのために必要なのは、仕事の進捗をサポートすること、相互尊重すること、意見交換ができる心理的安全性を作ること。

ワクワクする小さな目標を立てられるように支援し、日々の成長や小さな成功を重視すること。

成果や数字ばかり追いかけず、進捗に重きを置くということです。

こう書くと赤ちゃんや幼児を見守る母親のように聞こえますが、人間を活かす本質は案外こんな簡単で原初的なことなのかもしれません。

離職者が多い職場ほど成果や数字が絶対で、上の意見に異を唱えることもできず、成果を出すために鞭を使って動かそうとします。

奴隷や競走馬に近いと言えます。

安い賃金でこきを使い、過労で倒れたり、逃げられたら他の人を入れて穴埋め。

それの繰り返し。

これは裏を返せばマネジメント力が無いか、マネジメントに無知であるということです。

実際、最新のマネジメントを自学している会社の人事はおそらく多いとは言えず、社員をマネージャーに昇格させても、マネジメント教育なんて行わない会社の方が多いと思います。

人事が知らないのだから、できるわけもありません。

そうして出来上がっていくのが「私が正しいと思うマネジメント」が蔓延る会社です。

エビデンスの裏打ちの無いマネジメントは博打に近いのではないでしょうか。


🌺本書を活かす

私は「日本の生産性の低さ」と「パワハラ問題」と「ブラック労働」は相互に波及効果を持った負のサイクルだと考えています。

🌿日本の生産性の低さ

・労働生産性の国際比較

日本の労働生産性は、主要先進7カ国(G7)の中で最も低く、OECD加盟38カ国中でも23位にとどまっています。

これは、各国で1時間働いたときに生み出される付加価値額(GDP)を比較したもので、物価水準の違いを調整してドルに換算した結果です。

🌿原因の仮説

パワハラとブラック労働。

1.日本特有の企業文化や労働環境。例えば、新卒一括採用や年功序列制度は、年齢や勤続年数に基づく権力関係を生み出し、パワハラの温床を形成

2.上司による部下への過度な圧力、人格を否定するような言動、過小評価による精神的ストレスなど

3.長時間労働や過度な業務負担、そしてコミュニケーション不足

4.経営陣と人事が科学的なマネジメントに疎く、自身及びマネージャーにマネジメント研修を施していない

🌿デメリット

1.被害者の自尊心を傷つけ、うつ病やストレス関連疾患を引き起こす

2.職場の雰囲気が悪化し、組織全体の士気が低下

3.イノベーションの不足による生産性の低さ。新しい技術やアイデアの導入が遅れる

🌿解決策

1.社員全員が科学的マネジメントの原則を学べるよう、オンラインコースやワークショップを開発

2.パワハラ教育と研修をしなくても、それを補完するマネジメントを身につける

3.特に上司はチームにポジティブなマインドを作る

4.経験豊富なマネージャーが新任マネージャーを指導するメンタリングプログラムを設ける

5.全員でコミュニケーション、相互尊重、助け合い、アイディアの出し合い、それを許容する空気を作る

6.定期的なアンケートやフィードバックセッションを通じて、社員からの意見を収集し、改善

7.週次のミーティングで各チームメンバーがその週に達成した小さな勝利を共有

8.お互いの成功を祝う文化を作る。例えば、月間最優秀従業員には表彰と小さなボーナス

9.定期的なチームビルディング活動や社内イベントを通じて、社員間のコミュニケーションを促進

10.ダイバーシティ&インクルージョンのトレーニングを実施し、職場での相互尊重を強化

🌿最後に

引き続き、最新のマネジメントを学び続けてnoteでシェアします。

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