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映画『ソー:ラブ&サンダー』感想

予告編
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 「3D上映が~」「IMAXが~」などと述べちゃっておりますが、あくまで公開当時の感想文なので、その辺はご容赦ください。


真のヒロイン?


 MCUの人気ヒーロー『マイティ・ソー』シリーズ4作目。ついにジェーン・フォスター(ナタリー・ポートマン)のカムバック! わーい! マイティ・ソーの姿で現れた予告ティザーを見た時はビックリさせられたよね。


 さて、ソー(クリス・ヘムズワース)の元カノでもあるジェーンが戻ってきたのだから、当然、二人のロマンスが描かれるはず……。しかし個人的なことを述べるならば、本作のヒロインはジェーン・フォスターではなく、絶対にストームブレイカーだと思います!笑

 未見の方には意味わからんでしょうけど、お許しを。ストームブレイカーっていうのは、主人公・ソーが愛用している武器のこと。いや原作は詳しくないのですが、物言わぬストームブレイカーが、ぬぅっと静かに画面の端からゆっくりと現れたシーンはめちゃくちゃ面白かったです。元カノと話している姿を見られ、別にやましいこともしていないのに今カノに弁明しているかのようなソーの慌てぶりも良いし、ソーとジェーンが話し終わるまでは姿を現さないストームブレイカーも、まるで敢えて彼氏を泳がせているような、リアルな恋人気取りっぽく見えておかしくなってくる。しかもストームブレイカーの嫉妬を元カノのジェーンに対してだけではなく、ソーが以前に使用していた武器であるムジョルニアにも向けているのもこれまた面白い。元カノだけじゃなく元々カノ(?)まで現れ、若干ご機嫌ナナメ気味の今カノ(?)という構図を、ストームブレイカーの映り込み方だけで表現し、笑わせてくる。劇場でも、このくだりの時が一番笑いが起こっていたかもしれません。


 けれど実は、そんなストームブレイカーの映り込みで僕が個人的に一番良かったと思ったのは、逆に一つも笑いが起こらなかった瞬間にあります(上手く説明できるかな……)。ソーたち一行が、本作のヴィランであるゴア(クリスチャン・ベイル)が居る拠点・影の国に向かう最中。ソーとジェーンのロマンスシーンへの導入部分。誰が見ても良い雰囲気で、過去作からのファンにとっても喜ばしい展開……でも、そんなところでワンクッションあるのが『マイティ・ソー』シリーズらしさ。このズコッとなるようなユーモア感が挟まれるのは最早お約束。まるでソー自身の性格を象徴したような照れ隠しに見えなくもなくて、むしろ愛おしくすら感じられます。

 そして仕切り直し、改めて、二人の想いが繋がる瞬間が描かれる……。とてもロマンチックな雰囲気に支配されたせいで忘れてしまいそうになるけど、この一連のシーンにおいて、ワンクッション挟む前と後で明らかに異なるのが、背景にストームブレイカーが映っているか否か。ストームブレイカーが背景に映っている時は、ユーモアをワンクッション挟むことでロマンスの雰囲気を濁していたけれど、仕切り直した後の画角では、背景にストームブレイカーは映っておらず、そこでは濁されることはありませんでした。ロマンスの邪魔をする・邪魔をしないを、まるでストームブレイカーの存在が左右しているかのような描き方は非常に面白かったです。

 MCUでは、前作の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(感想文リンク)の時から3D上映が再開しており、本作も一部劇場で3D上映が行われていました。奥行きを強く感じさせる3D上映は、映像的な迫力だけではなく、背景の面白さも際立たせてくれるのだと本作で再認識させられました。ちょっとストームブレイカーについての話ばかりになっちゃいましたけど、他にも背景で面白いことが起きているシーンがあるので、そこも見どころです。



 ほぼ白黒で描かれる影の国は、色が失われたことによる温度感の無さや、恐怖感を煽るおどろおどろしさとの相性が好いのは言わずもがなですが、全編がIMAX規格ではない本作に置いて、影の国のシーンの暗い調光が、通常のシネマスコープの映像からIMAXの映像に切り替わるのを滑らかにしてくれている印象があります。また、発展して非常に賑やかになったニュー・アスガルドの街並みや、神々が住まうオリンポスの荘厳な風景との対比にもなっていたんじゃないかな。3D上映は(多分)IMAX上映にもなっているので、ちょっと通常料金以上はかかるけど3D上映の方がオススメです。

 これまでとは違い、神だ何だといった肩の荷を下ろしたように見えるソー。そんな本作からは、これまでのMCUでも幾度となく描かれ続けてきた “人間化” というテーマを想起させられます。ジェーン・フォスターとの愛が描かれ、また敵であるゴアとの戦いについても、単なる勧善懲悪ではなく救済という形で描かれています。ユーモアもアクションもドラマも漏れなく面白く、シリーズではお馴染みというか、アガる楽曲が流れてくる演出も健在。未見なので断言はしづらいですけど、ディズニー+のドラマ版MCUを追っかけていなくても楽しめる一本です。あと物語と全然関係無いけど、ストームブレイカーだけじゃなくヤギもかわいかったですよね笑。


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