解読 ボウヤ書店の使命 ㉕-9
長編小説『路地裏の花屋』の読み直し。
続きから。
《蓮二朗は年齢の割にかなりの健脚だった。履き物は借り物のようにサイズの合わない革靴で、時々かかとが浮き上がって今にも脱げそうに見えるのだが本人はさほど気にもせずさっさと前を行く。時々中西の方を振り返ってはいるが、家に辿り着くまでは何も語りたくないとでも言わんばかりの無口ぶりであったので、中西の方からも特に話しかけることもせず、速足の蓮二朗の後を必死で追った。
大通りを南に下って横断歩道を渡ると住宅街があり、細い路地をい