白桃うさぎ

忙しい毎日を送る中でも、ゆったりとした空間で、平穏な時間を過ごしたい。 ふんわりとし…

白桃うさぎ

忙しい毎日を送る中でも、ゆったりとした空間で、平穏な時間を過ごしたい。 ふんわりとした癒し系のBLが大好き。

最近の記事

君の隣(終)隣にいたい人

翌日は撮影は無く、僕は母校の近くの公園に来ていた。 平日の昼の公園は赤ちゃんを連れたお母さんや、手を繋いで歩く年配のご夫婦でゆったりとした時間が流れていた。 高校の時はよく彰人と流風と3人でこの公園に来ていた。よく3人でアイスクリーム食べたっけ。 まだあのアイスクリーム屋さんはあるのかな。 公園の近くにある小さなアイスクリーム屋さんは水樹のお気に入りの場所だった。 濃厚なコーヒー味のアイスクリームがお気に入り。 自然と昔歩いた道を歩き出す。 銀杏並木をゆっくり歩いていると、突

    • 君の隣13渡仏

      あれからあっという間に1週間経った。 お店はバイトの遥くんに任せてドラマの撮影に来ている。 「おはよう水樹。」 「おはよう、流風。今日はよろしくね。」 「ねえ、流風、今回のドラマってどんなドラマなの?」 「あ、うん、僕らが色々な人に振り回されながらも恋人になるドラマだって。」 「そうなんだ…」 「とりあえず頑張ろうぜ。」 「うん。」 撮影は順調に進んで行った。 お昼の休憩に入る。 控室は流風と一緒で楽しく食事をしていた。 「でもさー、俺びっくりしたよ。彰人さんがフランス行くな

      • 君の隣12最後の夜

        帰り道いつもの様に夕飯の材料を買って帰る。 今日は多分最後の夜。 お互いに何も言ってないけど、ドラマも終わったし、事件も解決したし。 彰人くんと一緒にいて楽しかったな、ちょっと寂しいなと考えながら歩いていたらあっという間に彰人くんの家に着いてしまった。 夕飯を作って2人で食べる。 気づくと今日は2人とも無言で食べていた。 お風呂に順番に入る。 いつも僕が先。彰人くんが後。 僕が出ると彰人くんが髪の毛を乾かしてくれて、彰人くんが出ると僕が乾かしていた。 「これも最後か…」 彰人

        • 君の隣11撮影3日目

          朝から順調に進んで最後のシーンの撮影になった。 何でもないキッチンで会話をしながら夕飯を作るシーンだ。 撮影の前の空き時間にマネージャーの春翔さんからとんでもない話を聞かされた。 このドラマが始まってからすごく人気な事。 そして、何故か僕だけが他のドラマのオファーがきたという事。 「どういう事?」 「今回の脚本家が水樹を気に入ったみたいなんだ。他の人との画も見てみたいって言い出して。監督も賛成して決まったらしい。」 「なんで僕なんだよ。」 「なんとか頑張ってくれないかな。」

        君の隣(終)隣にいたい人

          君の隣⑩ずっと言えないこの気持ち

          家に戻ってきたが、動揺して落ち着かない。 控室で 「彰人くんのまつ毛って長いね。」 って、顔の近くでにっこり微笑む水樹が可愛すぎて… 昨日の病室でも… 静かに眠る水樹の姿があまりにも綺麗で、気持ちを抑えきれずキスをしてしまった。 俺は水樹の事が、初めて会った時から好きだった。 俺が水樹に会ったのは高校3年の春。 俺の所属する写真部に入部してきたのは水樹と流風だった。 ブカブカの制服で可愛い水樹は、部員たちにあっという間に囲まれて困っていたっけ。 笑顔が可愛くて、誰に対して

          君の隣⑩ずっと言えないこの気持ち

          君の隣⑨撮影再開

          あれから1週間あっという間だった。 あの夜、実は僕は目覚めていた。 ぼんやりとしている時、看護師さんが2人入ってきたのでびっくりして目を閉じたんだ。 顔をのぞかれ、綺麗だとか言われて恥ずかしくて更に目が開けられなかった。 その後、入ってきたのは彰人くんだった。 やっと目が開けられると思ったのに僕の顔の近くで綺麗だとか言い出すから、どうしていいかわからなかった。その直後唇に温かいものが触れ、キスされたと気づき、慌てて目を開いてしまった。 何でこんな状況になるんだよ。 まるで王

          君の隣⑨撮影再開

          君の隣⑧影を追って

          まず彰人は水樹を自分のベッドに運び、社長に連絡をした。 社長はすぐに警察と警備に連絡し、メンバーもすぐに駆けつけた。 「どういう事だ?」 「俺も訳がわからないです。」 「水樹は大丈夫なの?」 「今、僕の部屋で休ませています。」 社長やメンバーと話している中現場検証が行われ、部屋のあちこちからカメラや盗聴器が見つかった。 「何故水樹がここにいる事がバレたんだ。」 「水樹の場所を知っているのは限られた人だけです。」 「これも霧島がやったんだろうか。そもそも霧島が犯人なのか?」

          君の隣⑧影を追って

          君の隣⑦君を離さない

          その日の夜、僕は彰人くんの家にみんなを集めて店であった事を全て話した。 「それって霧島って人が犯人って事?」 「逃げて行ったのは怪しいよね。」 「花に詳しいんでしょ、その人。」 みんなが一斉に話している中隣で不機嫌そうにしているのは彰人くん。 「彰人くん、なんか怒ってる?」 小さな声で聴くと、 「怒ってる。なんで俺を呼ばなかった。」 「だって…」 「だってじゃ無いだろ、何かあったらどうするんだ!」 「怖くて声が出なかったんだよっ」 ついつい大きな声が出てしまって、自分でも驚い

          君の隣⑦君を離さない

          君の隣⑥忍び寄る影

          事件から数日休んでいたが、お店を閉めたままにはできない為久しぶりに店を開ける事にした。 僕達は社長の好意で社長の持ちビルに店舗をそれぞれ入れさせてもらっている。 5F弁護士事務所 『courage』クラージュ 千陽さんの弁護士事務所。 4Fアパレルショップ 『color』事務所 彰人くんの経営するブランドの事務所。 3F美容室 『cinq 』サンク 永太さんの経営する美容室。 2Fスポーツジム 『beauté』ボーテ 流風の経営するスポーツジム 1Fフラワーショップ

          君の隣⑥忍び寄る影

          君の隣⑤花言葉

          「う、うー。」 「水樹、大丈夫か?」 目を開けると心配そうな彰人くんが枕元に座っていた。 「今、何時?」 「午前1時。」 「え、そんなに寝ちゃった?彰人くん起きて待っててくれたの?」 「水樹が起きたら僕の家に移動しようと思って。」 「起こしてくれたらいいのに。」 「いや、水樹の寝顔を見るのも悪くないよ。」 「またそんな冗談言って。」 彰人くんの笑顔で少し落ち着いた。 それから僕達は彰人くんの家に移動し、スープを少し飲み、お風呂に浸かって眠る準備をした。 「俺のベッド広いから

          君の隣⑤花言葉

          君の隣④撮影1日目

          朝、控室に行くと彰人くんがもう来ていた。 僕達2人は同じ控室らしい。 「水樹、おはよう。」 「あ、おはよう。彰人くん。」 ぎ、ぎこちない… 台本は読んできた。 今日の予定は知っている。 顔を近づけられたり、抱き寄せられたり、頭を撫でられたりと…僕の心臓耐えられるかな…。女の子ともこんな事した事ないのに。 「どうした?」 不意に肩に触れられ、びっくりする。 「あっ、うん、大丈夫。」 「リハーサル前に練習するか?」 「え。い、いいよ。」 緊張でドキドキが彰人くんに伝わりそうだ。

          君の隣④撮影1日目

          君の隣③ドラマ出演

          「はぁ?」 春翔さんは何を言っているんだろう。 春翔さんは僕達のマネージャーだ。 この人はいつも優しく僕達を見守ってくれている。 でも、この話は訳がわからない。 「ドラマ?僕が?」 「そう、なんだよね。この前の雑誌の写真を見たドラマのプロデューサーが是非君達を主役に撮りたいって。」 「言ってる意味がわかりません。」 「イメージにぴったりなんだって。」 「はぁ。で、どんな話なんですか?」 「それが…」 なんか言いにくそうだ。嫌な予感がした。 「春翔さん、はっきり言ってください。

          君の隣③ドラマ出演

          君の隣②君の視線

          そして、2日後の朝、待ち合わせの公園へ行くと、周りから少し浮いた長身の2人が木の下で待っていた。 「おはよう、水樹。」 「おはよう、流風、彰人くん。」 「2人で立ってるとすごく目立つよ。」 「そう?」 180センチと185センチに見下ろされ若干凹む。 僕だって175センチあるし、女の子の横にいると大きいんだけどな。 いや、もう考えないでおく。 「で、水樹はどこに行きたい?」 流風のSUVの助手席に乗せられ不意に聞かれた。 「え?ノープラン?」 「うん、水樹の憂さ晴らしでしょ

          君の隣②君の視線

          君の隣①僕の後ろを歩く君

          一体僕は何を見せられているんだろう… このテーブルにいる女性は皆向こうを見ている。 女性達の後頭部を見つめながらふと思った。 僕って見えてるんだろうか… 「彰人さんってモデルとアパレル会社を経営されてるんですよね。」 「背が高いんですね。座ってるとわからないわ。」 「私、彰人さんのショップの服よく買いに行くんです。デザインが上品ですよね。」 「うわー。顔小さいですね。」 何かの記者会見? 僕も彰人に質問したほうがいいのかな。 と訳の分からない事を考え、1人で苦笑する。

          君の隣①僕の後ろを歩く君

          NOAH〜君の想いの欠片を集めて〜⑦(終)欠片を繋ぎ合わせたら

          「ごめん、涼夏、ごめんね。」 「…」 全くこちらを見てくれない… 学校内では俺が振られても涼夏に付き纏っているように見えるのかな… 涼夏を誘って中庭のベンチに腰掛けたものの、何を言っても全く反応無し。 「ほんと、ごめん、何でもするから許して…」 「…」 「そのままでいいから聴いてくれる?俺が涼夏に一目惚れしたのは入学式の後だよ。涙を流している姿を綺麗だと思ったんだ。それからずっと涼夏が気になってて、涼夏が久しぶりにカフェの部屋に来てびっくりしたよ。好きな人の話する涼夏の声を

          NOAH〜君の想いの欠片を集めて〜⑦(終)欠片を繋ぎ合わせたら

          NOAH〜君の想いの欠片を集めて〜⑥全ての欠片が揃う時

          小坂くんと名前で呼び合うことになってしまった… 乃亜… ロボットのNOAHは簡単に言えるのに、何故乃亜はすんなり出てこないんだろう。 声が震えてたのバレてないかな。 乃亜くんはやっぱり優しい。 重いじゃがいもは必ず持ってくれるし、涙を流しながら切ってたら、玉ねぎも途中から変わってくれた。 話も名前で呼ぶようになってからとても楽しい。 そんな時事件は起こった。 乃亜くんが火傷をしたみたい。 女の子には笑顔で大丈夫って言ってたけど、手は結構赤かった。 気づくと僕は駆け寄ってい

          NOAH〜君の想いの欠片を集めて〜⑥全ての欠片が揃う時