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君の隣③ドラマ出演

「はぁ?」
春翔さんは何を言っているんだろう。
春翔さんは僕達のマネージャーだ。
この人はいつも優しく僕達を見守ってくれている。
でも、この話は訳がわからない。
「ドラマ?僕が?」
「そう、なんだよね。この前の雑誌の写真を見たドラマのプロデューサーが是非君達を主役に撮りたいって。」
「言ってる意味がわかりません。」
「イメージにぴったりなんだって。」
「はぁ。で、どんな話なんですか?」
「それが…」
なんか言いにくそうだ。嫌な予感がした。
「春翔さん、はっきり言ってください。」
「えっとね、水樹と彰人が惹かれ合う…」
「はぁ?」
無理、無理、無理、無理〜。
なんで、僕達?
「2人の雰囲気がいいんだって。」
雰囲気?
そんな雰囲気微塵も無いと思うけど。
「ほら、お前達演劇部手伝ってた事あっただろう。ショートドラマだし、3日で撮影終わるらしいんだ。これで人気が上がればグループにとってもいいし。」
「でも…」
「お願い、水樹。彰人は即快諾してくれたよ。」
「快諾?」
い、意味がわからない。
「無理です。」
「そこをなんとか。」
「嫌です。」
どうしたらいいんだろう…
困っている僕の肩に誰かが手を回した。
「何で嫌がるんだよ。可愛い水樹は俺の隣だと更に可愛いんだから。」
いきなり耳元で囁かれた。
「うわっ」
慌てて離れようとしたが、彰人くんに捕まれて動けなかった。
「だって、僕達男同士だよ。同じグループの仲間だし、そんなドラマ出たら気まずいじゃん。」
「全く問題ないよ。」
にこりと微笑む彰人くん。
また僕をからかって遊んでるな。
「グループの宣伝にもなるんだ、水樹頼むよ。」
その後グループ全員を含めて話し合い、結局僕は断りきれず承諾した。
「流風〜。助けてって言ったのに。」
「ごめん、ごめん。でもさ、お芝居だしさ。問題ないよ。」
「ひどいよ流風〜。」
「水樹〜。よろしく。」
「もー。わかったよ…」

僕はドキドキする胸を押さえながら家に帰った。
「どうしよう…僕に演技なんてできるんだろうか…」
撮影までの1週間不安と恐怖で眠れぬ夜を過ごした。

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