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君の隣13渡仏

あれからあっという間に1週間経った。
お店はバイトの遥くんに任せてドラマの撮影に来ている。
「おはよう水樹。」
「おはよう、流風。今日はよろしくね。」
「ねえ、流風、今回のドラマってどんなドラマなの?」
「あ、うん、僕らが色々な人に振り回されながらも恋人になるドラマだって。」
「そうなんだ…」
「とりあえず頑張ろうぜ。」
「うん。」
撮影は順調に進んで行った。
お昼の休憩に入る。
控室は流風と一緒で楽しく食事をしていた。
「でもさー、俺びっくりしたよ。彰人さんがフランス行くなんてさー。」
「え?フランス?」
「え、水樹聞いてないの?」
それ以降流風の声は聞こえなかった…。
午後からの撮影は最悪だった。
あまりにひどいので体調不良と間違えられ午後からの撮影は中止になった。
家に帰る車の中でマネージャーの春翔さんに聞いてみた。
「春翔さん、彰人くん、今フランスにいるの?」
「水樹聞いてなかったの?僕聞いてると思ってた。彰人くんにフランスのモデル事務所からオファーが来たんだ。とりあえず1年だったかな。上手くいけば3年くらいになるらしいよ。水樹のストーカー事件の途中だったからとりあえず保留にしてもらってて。」
初めて聞く話ばかり、僕は彰人くんの事何も知らなかった。彰人くんは僕の事よく知ってたのに。
「今から電話してみる?」
「…大丈夫です。たぶん忙しいだろうから。」
何で僕には何も話してくれなかったんだよ。
いつも一緒にいたのに。
家に帰ってもモヤモヤは取れず、結局一睡もできなかった。

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