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君の隣12最後の夜

帰り道いつもの様に夕飯の材料を買って帰る。
今日は多分最後の夜。
お互いに何も言ってないけど、ドラマも終わったし、事件も解決したし。
彰人くんと一緒にいて楽しかったな、ちょっと寂しいなと考えながら歩いていたらあっという間に彰人くんの家に着いてしまった。
夕飯を作って2人で食べる。
気づくと今日は2人とも無言で食べていた。
お風呂に順番に入る。
いつも僕が先。彰人くんが後。
僕が出ると彰人くんが髪の毛を乾かしてくれて、彰人くんが出ると僕が乾かしていた。
「これも最後か…」
彰人くんの髪の毛を乾かしながら呟いていたらしい。
びっくりした彰人くんが振り返った。
「やっぱり帰るんだな。」
「うん、これ以上迷惑かけられないし、事件も撮影も終わったしね。」
「…」
「今までありがとう。彰人くんがいてくれたから事件も解決したし、撮影も緊張しないでできた。これからもよろしくね。」
「明日からは流風の家に行くのか。」
「え?普通に帰るけど。」
「え?流風に何か言われてないか?」
「いや、別に。何にも言われてないよ。」
「そ、そうか…。」
「来週からドラマ撮影開始だって。」
「水樹、俺来週から…」
「ん?何?」
「なんでもない、今日は一緒に寝るか?」
「うん。」
2人で横になってもまだ広いベッドで横になる。
横を見るともう彰人くんは眠っていた。
なんだ、僕だけが寂しいみたいだ。
僕は彰人くんに背中を向けて丸くなって眠りについた。

小さく丸まる水樹を見ながら
「やっぱり寂しいよ。水樹。お前と一緒にいられないなんて…10年拗らせた初恋か…もうそろそろ俺が水樹を手放さなくてはいけないのかな。」
水樹を後ろから抱きしめ、俺は声を出さないように泣いた。

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